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『雑記』 1996年 「勝間田哲朗『錯綜する迷宮銀河の考古学』」
『雑記』 1998年 「上條陽子の転回」 「切断と積層が
生む新世界─上條陽子の新作群について─」 「呉一騏 水墨画の新次元」
『雑記』 1999年 「安藤信哉・自在への架橋」
「呉一騏 水墨画の21世紀へ」 「深沢幸雄・人間存在への深い眼差し」
『雑記』 2000年 「内田公雄の絵画世界」
「水墨の原理・易経の哲理」
『雑記』 2001年 坂東壮一手彩色銅板画集「仮面の肖像」
『雑記』 2002年 「坂部隆芳『山王曼荼羅図』」
「ヴァンジの彫刻について」
「記憶の塔ー上條陽子の箱」
「蒼天の漆黒 内田公雄『2002 W−8』」
「久原大河 『才難は、この若者に降りかかった』」
『雑記』 2005年 「世紀を越えて−大矢雅章と佐竹邦子」
「生動力と構造力 佐竹邦子作品への視点」
『雑記』 2006年 「佐竹邦子の21世紀的展開」
『雑記』 2007年 張得蒂「尊敬すべき人生追及──日本三島市K美術館及び館長越沼正先生に
ついて」
『雑記』 2012年 「見出された、かたち 白砂勝敏氏の木彫椅子について 」
気になる展覧会
バーン・ジョーンズ展 特撮博物館
『悠閑亭日録』Diary2012年
7月31日(火) 展示
午後、田村映二氏の絵を展示。17点うまく収まる。ほっ。
ネットのうなずき。
《 行きすぎた軍国主義から行きすぎた経済主義へ。
軍国化も経済化も避けては通れない道だったにせよ、あまりにもやりすぎてしまった。歴史をふりかえれば、もうすこし「ほどよさ」を追求する道もあったとおもう。 》
《 振り返ってみたとき、あの時が歴史の分水嶺だったと言われる出来事がある。 》
7月30日(月) 休館日
昨晩、ステレオ器機の接続を苦労して繋ぎ、やっと音楽が鳴った、……消えた。アリャリャ。故障。暑い中、購入した電気店に持っていく。はあ。
午後三時、坂部隆芳氏の絵を搬出。
ブックオフ長泉店でミステリー文学資料館/編『シャーロック・ホームズに愛をこめて』光文社文庫2010年初版、105円。日下三蔵の解説で今日泊亜蘭(きょうどまり・あらん)が水島爾保布(みずしま・におう)の息子だと知る。へえ〜。本棚から谷崎潤一郎『人魚の嘆き 魔術師』中公文庫1978年初版を取り出す。水島爾保布の挿絵付。ハリー・クラークの絵を連想させる。中井英夫の解説が読ませる。
7月29日(日) 坂部隆芳展最終日
開館前にオーディオ機器を自宅へタクシーで運ぶ。今夜は自室で音楽をガンガン聴ける。
きょうも開館直後から来館者。絵心のある人ばかり。鑑賞の仕方がちがう。好評裡に終了。ホッ。
ネットの拾いもの。
《 NHKニュース「浜松市やくざ医師会が……」→「浜松市薬剤師会が……」 》
《 ちょうど、聖火が点灯され時、画面の上と左に帯が入り、そこには天気予報のテロップが。
「高温注意報」
おおっ、聖火が大きくなってゆく。うん、まさに高温だ。 》
7月28日(土) 坂部隆芳展中日/クドリャフカの順番
忙中閑有り、米澤穂信『クドリャフカの順番』角川文庫2010年6刷を読んだ。秋の高校文化祭中に起きた連続盗難事件。誰が何のために、ささいなものを盗む? その謎に挑む古典部の四人。『氷菓』『愚者のエンドロール』に続く古典部第三作。前二作はずいぶん前に読んだのでうろ覚え。再読したくなった。高校時代のことはほとんど覚えていない。文化祭で女装した写真はどこかにあったなあ。
《 ブレイクダンスというのは、恥ずかしながら見たことがありません。ダンスはわかりますが、ブレイクという言葉は少し物騒です。いつかちらりと見た、ステージ上のものを壊してまわるようなパフォーマンスでないといいのですが。 》50頁
昨晩坂部さんは展示室で、きょう午後二時から踊る舞踏の練習に精出していた。ブレイクダンスとは真逆の緩やかな動き。「筋肉痛になりそう」と言っていた。
昼前、来月から始まる田村映二展の作品を搬入。そこへ坂部隆芳さん。日大高校の美術部、日本大学芸術学部の先輩後輩。初対面、話しに花が咲く。舞踏はちょうど良い人数。駐車場は満杯で他へ留めてピッタリ。無事終了。やれやれ。
ネットのうなずき。
《 Facebookの「いいね」は男性的な表現だけど、だからといって女性は「いいわ」にしたら、何かすごい問題な気がする。 》
《 各国入場選手の中からイケメンを探す楽しいお仕事。 》
7月27日(金) 坂部隆芳展初日
昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。有栖川有栖『有栖川有栖の密室大図鑑』新潮文庫2003年初版、山田風太郎『虚像淫楽』角川文庫2010年初版、計210円。後者は知人への贈呈用。
『有栖川有栖の密室大図鑑』に紹介されている天城一『高天原(たかまがはら)の犯罪』1948年は、鮎川哲也・編『透明人間大パーティ』講談社文庫に1985年に収録されている、とあるので本棚から取り出す。その解説から、
《 さて、この天城作品を一読した講談社校閲部は二十に及ぶ意味の通らぬ個所を発見したらしい。そこで作者に連絡すると、折返し氏からそれらはすべて誤植であるとういう返事が届いた。五十枚の短篇に二十個所の誤植があるとは、昨今はやりの言い方をすれば「ギネスブックもの」だと思うが、わたしは、天城氏の文字が小さすぎることも誤読される一因ではないかと思う。伝え聞くところでは、氏はGペンをさらにヤスリで削って細字書き用に工作し、それで執筆するとのことである。それはともかく、校閲部が発見してくれたお陰で、本篇は初の完全版になったわけである。 》
『有栖川有栖の密室大図鑑』、「文庫化にあたって」から。
《 (いや、そんなこと以前に恥ずかしいミスをいくつもやらかしていた)。この度の文庫化にあたって、できるかぎりの修正・更新を行ったが、これとてニ○○ニ年十二月現在のものである。ご諒解ください。 》
今朝友だちから届いたメール《 朝顔の蔓を起動修正したよ 》。
ネットの見聞。
《 以前、車内で漫画を読んでいる若者の姿を憂いた記事をしばしば見かけたものですが、漫画を含めて雑誌を読んでいる人も全く見かけなくなりました。 》
《 35度超えたら高校野球は中止すべきだと思うんだが。 》
7月26日(木) 器機の危機
《 楽天が鳴り物入りで投入した電子書籍サービスに、発売当日から不具合が続出した。担当の執行役員は「申し訳ない」と陳謝。顧客の声を聞きながら、スピーディに改善していきたいという。 》
という記事から欧米で大ヒットというErika Mitchell女史の電子書籍小説『 Fifty Shades of Grey 』を連想。
《 お話は単純です。シアトルに住む大金持ちのグレイさんが、処女で英文学を専攻する女子大生とムチ、蝋燭、三角木馬、陵辱、拘束など色々やるという筋書きであります。
要するにSMです。「やだ、ここまで書いちゃうの」ということで、本書、暇を持て余した中年以後の既婚女性に大評判です。 》
《 2012年7月の時点でアメリカでの発売部数は二千万部を超えています。 》
朝一番でステレオ器機を接続、アフロ・キューバン・オールスターズのCD『 A Toda Cuba le Gusta 』1997年を試聴。自室とは違った音の広がり。いやあ、タマラン、タマラン。仕事にならん。ところが、なんとアンプが故障。突然音が出なくなった。十数年前に購入したものなので、壊れるのは無理もないが、なんできょうに。トホホ。でもきょうでよかった。昼過ぎ、来館した坂部隆芳氏の車に同乗して近所の大型電気店へ。「現品限り」のアンプを購入。さっそく設置。音が出た〜。展示の準備を終える。やれやれ。こんなに暑いのに冷や汗たらたら。
ネットのうなずき。
《 たぶん名文というのは、「私」を省略しても絶対誤解されない文のこと。 》
7月25日(水) 搬入
午後、坂部隆芳氏の新作絵画を搬入。
ネットの見聞。本、三題。
本の巨大迷路! London 2012 Festival The audience in a labyrinth of books.。
巨大な本棚のよう。アメリカ・カンザスシティの公立図書館の立体駐車場Is This the World's Greatest Parking Garage?、外壁が本の背になっている。
本の匂いのする香水、「Paper Passion 」。「 A Perfume That Smells Like Books For Booklovers 」。本好きにはたまらない匂いって?
ネットの拾いもの。
《 当たり前なんだけど輸送機が自力で飛んでこないで輸送されてくるのなんかマヌケ。 》
《 陶芸家は峠以下に住んでいるらしいですよ。 》
7月24日(火) 地球・精神分析記録
展示品を収納。元へ戻す作業なのであれこれ考えずにすむ。午後一時収納完了。ガランとした風景。
ネットのうなずき。
《 どうにも今日は書きモードになれないようなので、すぱっとあきらめて読みモードに切り替える。 》
一昨日取り上げた山田正紀『地球・精神分析記録』徳間文庫1981年初版を読んだ。表紙裏の紹介から。
《 "異変"、そして集合的無意識と神話の消滅──それが悲劇の始まりだった。人類は空虚な自我を抱く形骸と化し、世界が神話そのものに変貌したのみならず、神話自体が四体の実在するロボットと一個の巨大電子頭脳にその象徴を譲ったのだ。この悪夢から地球を解き放つべく神話ロボット破壊を運命づけられた四人の男女の異常な体験とその結末は……!? 》
すっ飛んだ作品だ。加納正洋の解説から。
《 大友克洋は、
まんがは絵であることを再確認させてくれた。
山田正紀は、
SFはアイデアであることを再確認させてくれた。
共通するのは視点のクールさである。 》
ネットのうなずき。
《 この国の政府は一体、日本国民と米政府のどちらを向いて仕事をしているのか。 》 東京新聞24日付「社説」
リオ会議(Rio+20)でのムヒカ・ウルグアイ大統領の演説から。
《 「貧乏なひととは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」 》
ネットの拾いもの。
《 十羽ひと唐揚げ ( で、でかい ) 》
7月23日(月) 休館日
真夏が戻った。
ブックオフ長泉店で二冊。川瀬七緒『よろずのことに気をつけよ』講談社2011年初版、杉浦民平『ノリソダ騒動記』講談社文芸文庫1998年初版、計210円。
自宅からステレオ装置(CDプレイヤー、アンプ、スピーカー)を美術館へ運ぶ。28日(土)の坂部隆芳氏の舞踏に使用。
今朝の見聞。
《 野田総理は「オスプレイ配備は米国の方針。日本がどうのこうの言う話ではない」と発言。宮城県の上空(新川や秋保の山側)をはじめ、各地で低空実験飛行するのに。史上最悪の米国隷属政権。原発再稼働、TPP、デフレ増税‥、国民そっちのけ。経団連と米国の喜び組。 》 衆議院議員 斎藤 やすのり
《 イギリス人の好きなスポーツは二つある。一つはサッカー。もう一つはその他のスポーツ。 》
7月22日(日) 企画展最終日/女囮捜査官5 味覚
昨夜私もNHKの番組を見てドキッ。
《 さっきのNスペでやってた、2号機のSR弁が開かなかったのは圧力上昇時の格納容器の構造的欠陥という指摘は、ひょっとしてNHKのスクープなのか? これ本当だとしたら他の同型の原発も共有している根本的欠陥ということになるが。 》 森岡正博
山田正紀『女囮捜査官5 味覚』幻冬舎文庫1999年初版を読んだ。シリーズ最終巻。
《 新宿駅西口地下通路で女性の切断死体が発見された。第二の殺人を示唆する匿名電話を受けて捜査陣は新宿駅西口に張り込む。囮捜査官の北見志穂も捜査に加わるが、眼前で同僚を殺されたうえ、容疑者とおぼしき女性も、死体となって発見される。 》 裏表紙から。
《 このときをさかいにして特被部は音をたてて壊滅の淵になだれ込んでいくことになる。特被部の部員たちは全員が絶望的な死闘のなかに追い込まれていくことになるのだが、このときにはまだ誰ひとりそのことに気がついてはいなかった。 》65頁
立て続けに起きる密室殺人事件。そして不可解な捜査本部解散。
壮大な構図のなかの仰天の真相そして壮絶な結末。一筋の光。
《 ──わたしは日本でたったひとりの女囮捜査官なのだ。 》394頁
《 死んでいった仲間たちの声を背中に聞きながら、志穂は闇のなかをひたすら走りつづけていった…… 》394頁
《 完結編である。大団円である。おそらくこんな展開が結末が待っていようとは、誰も想像していなかっただろう。 》 麻耶雄高「解説」より
はい、まったく。
《 センスは発想力に劣らず重要だ。私は本格作品を本格たらしめているのはなによりその本格的センスじゃないかと薄々思っている(ただ「センス」と口にした時点で何も云ってないことと同じになるので薄々としか思わないが)。 》 麻耶雄高「解説」より
最終的にはセンスへ行き着くか。今まで読んだ彼の本はどれも文章のセンスがよかった。絵画でも彫刻でも、最後にはセンスに関わってくる。センス、品、品格。
読者の偏愛する山田正紀作品ベスト10。ばらけて面白い。
《 11:!!!(10で収まる訳ないじゃんという心の叫び) 》
徳間文庫の『地球・精神分析記録』の表紙は、深沢幸雄氏の銅版画『この遙かな遠い道』1979年。その深沢幸雄氏からきょう、巻紙のお手紙が届く。閉館のお知らせへのお返事。
《 残念におもいますが、越沼的情熱でよくがんばったと謝意と敬意を送らせて下さい。 》
《 ぼくの例の技法書 中国の要請で年内に中国版が出版されます 》
深沢幸雄、八十八歳。胸が熱くなる。
ネットの拾いもの。
《 「東京で開催してください」「招致しました」 家政婦のミタ・オリンピック編 》
7月21日(土) 女囮捜査官4 嗅覚
曇天。涼しい。エアコン要らず。
山田正紀『女囮捜査官4 嗅覚』幻冬舎文庫1999年初版を読んだ。正統的な本格推理小説だ。表紙裏の紹介文から。
《 連続放火事件の現場で女性の全裸死体が発見された。全身のムダ毛を剃られ、日焼け止めクリームをくまなく塗られた
遺体の傍には被害者を模したユカちゃん人形が……。犯人の狙いは? そして二つの事件の接点は? 》
この巻では嗅覚が鍵になっている。連続放火事件と連続殺人事件の交差、接点がよく考え抜かれている。そこが殺人現場である
理由もトリッキー。事件は八月三日の夜に起きたが、何よりも今との接点はこのくだり。
《 この夏の電力消費量はついに史上最高に達したらしい。
東京電力では広報を通じ、しきりに節電をうったえかけている…… 》86頁
東京タワーの展望台が解決の糸口になるのだけれど、今なら東京スカイツリーの天望デッキか。
ネットのうなずき。
《 あたしたちは自分で思っているよりも、目に映る世界のことをほんの少ししか見ていない。ときどき、カメラのファインダーを覗くと、そんなことを感じる。 》
椹木 野衣(さわらぎ のい)氏のツイッターから一部を引用。昨晩の原発再稼動反対デモ。
《 身動きの取れない官邸前から移動。田中康夫がびしょ濡れで白い風船を配ってた。 》
《 国会議事堂に向かう歩道もこれ以上進めない。みな白い風船を持っている。 》
《 もう、これは官邸前抗議行動とは呼べない様相のものになっている。車道に溢れるというわかりやすい達成感の代わりに、
活動の全体がつかめないほど広く人々の範囲が広がり、その所々に拠点のようなものができては消えている。 》
《 抗議行動が広域化することで、音の響きと交錯も複雑化している。背後で太鼓の乱打、拡声器での演説、ホイッスル、
手拍子、鐘の音、そして再稼働の声が、四方八方から不揃いで聞こえてくる。さらに公園の樹からはフェイザーが掛かったような蝉の合唱がドローンのよう。これらのすべてが音楽でもある。 》
《 ふと背にしていた看板を振り返ると憲政記念館のものだった…。 》
《 それにしても凄い盛り上がりだ。国会議事堂前の広い道の左右を再稼働反対の声が埋めている。 》
《 官庁街が縁日みたいに。 》
《 20時になると、みな一斉に帰り始めた。写真は国土交通省前の横断歩道。歩きながらも声はやまず。 》
《 今日の首相官邸前の抗議行動。官邸からは離れるけど、空間に余裕がある国会議事堂前、左右歩道の盛り上がりが凄かった。
特に右手前に陣取った太鼓部隊と、議事堂直近の角付近。官邸の近くで叫んでも「音」としか認識しないドジョウ親父なわけだし、近づくことに拘らず、好きな場所でやればいいと思う。 》
《 今日の官邸前の抗議行動。型通りの「集会」や「デモ」ではない可能性を感じた。車道に出れないなら無理に出る必要もない。どこまでも長く、歩道に沿って延びていくのも手だ。劇場型の空間は崩れるけど、人の声と音は彼方まで広がり、随所でいろんなことが起きて、全体は誰にも見尽くせないものとなる。 》
7月20日(金) 女囮捜査官3 聴覚
昨日とは打って変わって戻り梅雨のような雨。エアコン要らずの涼しさ。
山田正紀『女囮捜査官3 聴覚』幻冬舎文庫1998年初版を読んだ。サイコ・サスペンス本格推理とでも呼べばいいのか。
グイグイ惹き込まれ、あっちこっち翻弄され、やったら面白かった。裏表紙の文から。
《 女囮捜査官の北見志穂は、凶暴な殺人犯を射殺したことで追いつめられ、軽度の神経症に陥っていた。直後、誘拐事件が
発生し、犯人は志穂を名指しで身代金の運搬役を命じた。犯人は誰? 》
恩田陸の解説から。
《 まず生後二週間の赤ん坊が誘拐されるというのがうまい。犯人の顔が覚えられる心配もなく、本人を確認するのが難しい。
ついでに言うのなら、誘拐の動機も凄いんです。(略)読み終えた時に、サブタイトルの「聴覚」の本当に意味するところが
くっきりと見えてくるはずだ。 》
ネットのうなずき。
《 そもそも「対案を出せというレトリック」は基本的に「対案は出せないはず」ということを前提に用いられるんだよね。
そんなレトリックが「建設的な議論」など生み出すはずがない。 》
《 それにしても、他人の本棚を覗くというのは、なぜこんなにもおもしろいのだろうか。 》
ネットの拾いもの。
《 今夏から僕の中で「道路に落ちていて一見死んでるように見えるセミが近づくと突然暴れだす現象」は「セミファイナル」
と呼ぶことになりました。 》
《 ひとは靴のみで歩くにあらず。――世の中にはサンダルというものもある。 》
《 仕事をしています(誰にともなく) 》
7月19日(木) 女囮捜査官2 視覚
昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で三冊。伊坂幸太郎『フィッシュ・ストーリー』新潮社2007年初版帯付、平松洋子『
台所道具の楽しみ』新潮社1999年初版、村上春樹『1Q84 BOOK2』新潮社2009年10刷、計315円。
昼過ぎ、エアコンの設定温度を29度にしてるけど、涼しく感じる。外は……人っ子一人いない。年配の女性も女子高生も
車で来館。
山田正紀『女囮捜査官2 視覚』幻冬舎文庫1998年初版を読んだ。首都高速道路を舞台にした猟奇連続バラバラ殺人事件。
ドンデン返しの驚愕の結末。これまた本格推理だ。
ネットの見聞。
《 核燃料の取り出しが今日始まりましたね。原発の使用期間が40年。今回、廃炉にする期間が40年。最終ニュートラライズ
まで何万年。なんて非効率な物を一時の為に使っているか、都度、思い知らされる。 》 松田公太
《 「エネルギー・環境の選択肢に
関する意見聴取会」は、博報堂が7854万円で落札。対抗の電通は1億2000万円を入札。あの茶番に。
ネットで見逃していた一行。
《 「姫野カオルコ」を全て漢字で書くと「姫野嘉兵衛」です。「嘉兵衛」で「カオルコ」と読みます。 》
ネットのうなずき。
《 ウソはつくな。すぐばれる。気の利いたことは云うな。後が続かなくなる。 》
ネットの拾いもの。
《 知人が都美術館のマウリッツハイス美術館展を見てきて「疲労困憊した」というメールをよこす。
今日は、65歳以上無料デーなので、2時間待ちだったとか。うわっ、ばかですねえ。 》
《 カラスがだらしなく低空飛行していた。木陰ばかりを選んでいるらしい。 》
7月18日(水) アーティスト症候群
大野左紀子『アーティスト症候群』明治書院2008年3刷
を読んだ。帯には坂本龍一、日比野克彦、横尾忠則、ジュディ・オング、工藤静香、八代亜紀、片岡鶴太郎、村上隆、
草間彌生、蜷川実花、ジミー大西、ピカソ、アンディ・ウォーホル、ゴッホなどなど。彼らが俎上に上がる。消しゴム版画の
ナンシー関みたい。
《 これは紛れもなく、優等生の作品である。優等生だけに、破綻も隙もないが芸風は古い。普通、そういうのをよくできた
凡作と言う。しかしそんなことは誰も言えない。 》 ジュディ・オングの木版画
《 だが、絵は正直である。茨城あたりの県道沿いのスナックのママに「一枚お店に飾っておこうかな」と思われそうな
雰囲気がある。いや、狭いスナックなんかに飾ると、かえってあの不安定さが増幅されて良くないかもしれない。 》 工藤静香
の絵
《 片岡鶴太郎は「画伯」というより「画箔」である。(略)つまり鶴太郎は、「型」を真似るのが大変上手かったということ
である。それ以上でもそれ以下でもない。 》
前半はこんな評が続き、後半は自らの経験に基づいたアーティスト論。
《 だから今、アートとアートでないものの違いは、それが発表される環境、流通する業界、語られる文脈によってのみ
識別されることになっている。 》126頁
《 アーティストの技術は、アイデアを過不足なく具現化するためにあるのであって、職人的なワザだけをいくら
「すごいでしょう」と見せても無意味である。 》132頁
《 職人は昔から匿名に甘んじる存在であり、アーティストはその固有名詞が重要である。職人は技術を重んじ、アーティストは
オリジナリティを追求する。 》142頁
《 職人の製作物は生活用品であり、アーティストの制作物は「用」とは無縁の芸術と呼ばれる。 》142頁
《 言い換えればアートは誰のため? 何のため? という受け手の問いを喚起し続けるだけのジャンルとも言える。職人や
クリエーターは「応える人」であるが、アーティストはいつも「問う人」として受け手の前に現れるのである。 》164頁
《 芸術家とは常に歴史の尖端に立ち、前人未到の地に挑戦するものである。誰も考えようとしなかったところで考え、
誰もしようとしなかったことに挑むものである。 》203頁
と、前世紀に流通していたアーティスト論芸術論を紹介し、著者は省みて考える。
《 もし、前のものを批判し乗り越えていくという近代美術以来の命題を本当に根幹に据えていたら、飽和状態のまま延命
していくだけのアートから降りることが、一番正直な選択ではないだろうか。 》227頁
美術は世界認識の一手段と、私は考える。二十一世紀、芸術は根本的な転換期にあると思う。アーティストの意図から
ではなく、受け手の認識から美術品を再評価する。歴史的に意義のある作品と美術作品として後世に遺すべき優れた作品を
区別すること。職人芸、芸術という区切りを取っ払ったところから、商品と作品を洗い直す。賞味期限切れの芸術作品、
芸術論から斬新な美術論の構築へ。( 誰がする? )
ネットのうなずき。
《 「バスに乗り遅れるな」というのは日本人を鼓舞する最も効率的な言葉であるが、そこには「バスの行き先を決めるのも、
バスを製造するのも、バスを運転するのも私たちではない」という深い諦観がこびりついている。人類がどこにゆくのか、
その行き先を誰が決めるのかという問題について、それは自分ではないかということについて一瞬も考えたことのない
人間だけが「バスに乗り遅れるな」という言葉に絶望的な切迫感を感じるのである。 》 内田樹
《 政治と宗教の話はしてはいけない、とは、なんとはなしの大人ルールになってるけど、葛藤や対立を避けるような会話
ばかりを選んでる場合じゃない時代に、生きてしまっていることを自覚した夜。 》
ネットの拾いもの。
《 吊吊吊吊 ←これクラフトワークの絵文字らしい。 》
7月17日(火) 晴天真夏日
梅雨明け真夏日。昨日と違ってきょうは朝から部屋(美術館)にこもる。まずはドアから天窓まで全開にて風を通す。
おお、風が抜けてゆく……熱風だ。昼、打ち水。焼け石に水、のような。
昨夜の灯籠流しの帰り道、店舗の変化に気がついた。鍼灸院、整骨院の類がやたら増えている。最近の特徴だ。思い返せば、
1980年代はブティック全盛、1990年代は美容院そして2000年代は鍼灸院、整骨院と介護施設。
ネットの見聞。
《 ニューヨークタイムズによれば、いまや米国の有機農業がペイすると知った大企業が次々と有機農業企業を買収
してしまったとのこと。ケロッグやペプシなどによる買収。 》
ネットの拾いもの。
《 購入者の口コミ数が多いだけで、安易に良い商品だと思ってしまうことを「楽天」的という 》
《 蒼井優って年とると大山のぶ代方面に行くんだろうなー、とCMを観ながらいつもぼんやり思うんだけど、若い頃の
大山のぶ代を検索してみたら概ね正しい印象のよう 大山のぶ代19歳。 》
7月16日(月) 休館日
午前中はグラウンドワーク三島の東日本大震災支援「子どもを元気に富士山プロジェクト」の一環で、宮城県から来た
子どもと付き添いの30人ほどを、源兵衛川での水遊びに案内。真夏日の陽光を浴びて、水が冷た〜い!とビックリしながら
大人もえらく喜ぶ。
午後はIZUフォト・ミュージアムの天才アラーキーこと荒木経惟(のぶよし)展へ。展示写真に見るほどのものはなし。
机上に並んだ四百冊ほどの写真集を主に若い人たちが熱心に開いている。昭和の時代の欲望と情念が噴出している印象。
既視感。
夜は近くの桜川へ灯籠流しに行く。毎年のことだけれど、暗い水面に流れてゆく灯籠に神妙な気分になる。死の異世界。
旧日録 2012年 1月 続 2月 続 3月
続 4月 続 5月
続 6月 続
7月
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