携帯によろしく 第十四章(1)

「一平ちゃんのお母さまとお兄さんとお姉さんにー?!」
「そうだわねえー!?」
「今週なら、休みを取ろうと思えばいつでも取れるんだけどー!?」
と育子が言ったのです。

「そうかあー!?雑誌の締め切りが済んだからなあー!?」
「俺のほうも、今週はそんなに忙しくないと思うんだー!?」
「じゃあー!?今週にしようかあー!?」
と一平が言うと、
「だったら!?わたしの両親にも会ってもらえるー!??」
と育子が言ったのでした。

「もちろんだよー!?」
「あれ!?」
「こういう場合は、どっちに先行くのがいいんだろー??!」
と一平が言ったのです。
それから一平はすぐ携帯を取り出し、実家へと電話したのでした。

「お姉ちゃん!?」
「ご無沙汰でーす!!?」
と一平が言うと、
「なにー!?急に電話してきて?!」
と驚いたように言ったのは、姉の好子(よしこ)でした。

「お兄さんいるかなあー!??」
と一平が言うと、
「さっき帰ってきたところよー!?」
「ちょっと待って!替わるねえー!?」
と好子が言ったのでした。

「もしもしー!?」
「一平ちゃん?!なにー?!」
と言ったのは、義理の兄の隆二(りゅうじ)でした。

「ちょっと訊(き)きたいんだけどー!??」
「お兄さんさあー!?」
「結婚する前に姉さんを!?」
「自分の両親に先き会わせたー?!」
「それとも、姉さんのほうの親に先に会ったー??!」
と訊いたのでした。

「えっ!?」
「急にそう言われてもなあー!??」
「どうだったかなあー!??」
「ちょっと待ってえー!?」
と言って受話器を置いた隆二でした。そして、
それからじきに携帯に声が聞こえたのでした。

「好子に聞いたら!?」
「俺が先、好子の両親に話をしに言ったんだってー!?」
「そしてしばらくしてから、俺の両親に好子を紹介したそうなんだあー?!」
と少し笑いながら、隆二が答えたのでした。そして、
「このあいだ電話で言っていた子?!」
と隆二が言うと、
「うん!そうなんだけどー!?」
「じゃあー!?先あいさつにいってくるよー!?」
と一平が言ったのでした。

「がんばってなっ!!?」
と隆二が言うと、
「ありがとう!!」
「ところでお兄さん!?」
「来週なら土日時間取れるかなあー!??」
と一平が言ったのです。すると、
「来週ー?!」
「いいよー!?」
「まあ!?俺がいてもあまり関係ないけど!?」
「こっちに来るの?!」
と隆二が言ったのでした。

「じゃあー!?お邪魔しますんで!!?」
「また電話しますからって、お袋に言っててください!?」
と一平が言うと、
「分かったー!?」
「お母さんには、そう伝えてくよー!?」
「じゃあーねえー!?」
と言って電話を切った隆二でした。

「よしー!こっちはオッケー!!?」
「じゃあーさあー!?育ちゃん?!」
「ご両親の都合、聞いてくれるかなあー!??」
と一平が言うと、
「はーい!」
と答えると育子は、自分の実家へと電話したのでした。

「もしもしー!?」
と育子が言うと、
「お姉ちゃん!?なにー?」
「きょうは!??」
と妹の明子(あきこ)が、電話に出るとすぐにそう言ったのでした。

「お母さんいるー!??」
と育子が言うと、
「ひとりいるけど!?」
「ちょっと待ってえー!?」
と明子が答えると、受話器を置く音が聞こえたのでした。


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