携帯によろしく 第七章(1)

ウインカーを出し進路変更した右ハンドルの外車が、
一平の前に横付けしたのでした。
白石 優の姉の小百合が運転していたのです。
助手席の窓を開け、
「すいません混んでいたもので、少し遅れました。」
「どうぞお乗りください!?」
と、一平に向って言ったのでした。

「はい!じゃあー失礼します。」
と言って一平は、助手席に乗り込んだのでした。
小百合を見て一平はすぐに、
”ずいぶんきれいな人だなあー!?”と、心の中で思ったのです。

すると小百合が、
「何か言いました?!」と訊ねたのでした。すぐに一平は、
「いいえ別に!?ただおきれいだなあーと思っただけです!。」
と正直に答えたのでした。
「山本さんは、お世辞がお上手ですね!?」
と少し笑みを浮かべ、小百合が言ったのです。

そして一平はシートベルトをすると、
「シートベルトをしましたから、出発してください!?」
と小百合のほうを見て、言ったのでした。
「はい!ではまいりましょう!?」
と小百合は言い、後ろから車が来ていないか確認し、
車を出したのです。

「電話で、入院している病院を聞きませんでしたが!?」
「どちらの病院ですか?!」
と言うと、
「慶応大学病院です。」と答えたのです。
そして道すがら、泰三から伝言で聞いた事と、
たいらくんから聞いた事とほぼ同じ内容の説明を、
小百合が話したのでした。

「この間お話したように、基本的に家族しか面会できませんので!?」
「優とお付き合いしていた方だと、先生に話したら!?」
「それならかまいません!?」
「むしろ会ってもらった方がよいかもしれません!?」
「と言われたので!?」
と言って、なみだ目になって話した小百合でした。

「優の仲良かったお友だちにも、この間会ってもらったんですよ!?」
「命は取り留めていますが、予断を許さない状態だそうです!?」
と小百合はなみだ目で言ったのです。
一平は話を聞いていて、最初からずっと涙が止まりませんでした。

病院に着き駐車場に車を止めると、新病棟の7階へと、
エレベーターで小百合と一平は向ったのです。
7階に着くとナースステーションに寄り、
それから病室に入ったのでした。
一平は病室に入ると、ベッドに横たわっている優を見て、
「ユー!?」とひとこと言ったきり、
涙を流し、何も言えなかったのです。

「山本さん!?イスにお座りください!?」
と言って小百合が、ベッドの横にイスを持って来たのでした。
我に返った一平は、
「これ飾ってください!?」
と言って、お見舞いの花束を小百合に手渡したのです。
「ありがとうございます。妹も喜んでると思います」
と言って、小百合は受け取ったのです。

小百合はベッドの近くの花が挿(さ)してある花瓶を持つと、
「さっそく換えましょう!?」
「山本さん!?遠慮せずにお座りなってください!?」
と、言ったのでした。
「ありがとうございます。」と一平が涙声で言い、座ったのです。

「声をかけてやってくださいね!?」
と言って、小百合は花瓶と花束を持って、病室を出て行ったのでした。
小百合に促(うなが)された一平は、
「ごめんよ!こんなことになっていたなんて!?」
「なんにも知らずに、ごめんよ!!」
と言ったあと、大声で泣いたのでした。

少し時間が経ち、一平の気持ちが落ち着くと、
デートしたときの話などをユーに向って話したのでした。
ひとりで十分ほど部屋にいたのです。
一平が持ってきた花を挿した花瓶を持って、
小百合が病室に戻って来たのでした。
しばらくすると、母の菊枝が病室に入って来たのです。

小百合が、 「山本さん!?母です。」と紹介すると、
一平はイスから立ち上がり、
「山本一平と申します。」
「優さんが、まさかこんなことになっていたとは知らずに!?」
「申しわけありません。お見舞いに来るのが遅れまして!?」
と言って、お辞儀をしたのでした。

「とんでもない、お忙しい中ありがとうございます。」
「母の菊枝です。」
「先生には許可を得ていますので、またお寄りください!?」
と菊枝が言うと、
「お母さま!?山本さんにお見舞いのお花をいただきました。」
と小百合が言ったのです。

「ありがとうございます。」
と言って、菊枝がお辞儀をすると、
一平もお辞儀をしたのでした。


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