携帯によろしく 第二章(1)

高田馬場の駅で一緒に降りた二人は、一平のアパートに向かったのです。
歩きながら、
「駅からどのくらいかかるの?」
と育子が訊くと、
「そうだなあー!?自転車だと5分もあればいいけど!」
「歩くと10分ぐらいかかるかもしれないなあー!?」
と、一平が答えたのでした。

「八景島は、風が出てきてだいぶ寒くなったけど、
こっちはそうでもないなあー!?」
と一平が言ったのです。すると、
「やっぱり、すぐ海だからねきっと!」
「風があったし、冷たかったけど!?」
「こっちは風があまりないもの!」
と、育子が答えたのです。

一平のアパートへの道すがら、ふたりで八景島でのことを話したのです。
一平のアパートが見えてきました。
「あのアパートだよ!」
と、一平は指差して、そう言ったのでした。
「あれ?!」
「あれって!。マンションじゃん!!」
そう育子が言ったのです。
それは、5階建てのマンションでした。
「一平ちゃんが、アパートって言うから!?」
「もっと安いのを想像してたの!」
「高そおー!?」
そう育子が言ったのでした。

玄関の両側が駐輪場になっていました。
「左側が俺のほうの駐輪場だよ!」
そう言うと、左側の駐輪場の真ん中ぐらいのところにに行き、
「これが俺の自転車!」
そう言うとハンドルを握ったのでした。
「へえー!そうなの?!」
と育子が言ったのです。
「じゃあ中に入ろうかあー!?」
そう一平が言うと、玄関に向かって歩いていきました。
そのあとを育子がついて行ったのです。

玄関を入るとすぐに郵便受けがいくつも両側に並んでありました。
「郵便受けのところと、
この入り口のところには防犯カメラがついているんだよ!」
「だから何時何分にこの入り口を、
入ったか、出たかわかるようになっているんだって!!」
「不動産屋の人が言ってたよ!」
と、一平が説明すると、
「へえー!?そうなの!」
と言った育子でした。

自動ドアを通ると、右側がエレベーターになっていて、
左側が階段になっていました。
「育ちゃん!?エレベーターで3階まで来なよ!」
「俺は、階段で行くから!」
一平はそう言うと、スタコラサッサと階段を駆け上って行ったのです。
「3階!?」
そうつぶやくと育子はエレベーターを使い、
3階に来たのでした。
エレベーターのドアが開くと、
「やっぱり、俺のほうが早かったね!」
一平はそう言うと、うれしそうに笑ったのでした。

「部屋は、どこなの?!」
育子が訊くと、
「こっちだよ!」そう言うと、右のほうに行ったのです。
育子はすぐあとをついていきました。
「ここ!」そう言うと一平は、
ポケットから小銭入れを取り出して、チャックの口を開けると、
そこから鍵を取りだし、ドアを開け、灯りをつけたのです。

「少し散らかってるけど!?」と言うと、靴を脱ぎ、
スリッパを履きました。
そして、育子にお客用のスリッパを持つと、
「これ履いて!?」と言って置いたのです。
育子は、「ありがとう!」と言って、靴を脱ぎ、
スリッパを履いたのでした。

「とりあえず、ここに座ってくれる?!」
そう言うと、テーブルの椅子を引き出したのでした。
「ありがとう!」
そう育子は言うと、その椅子に座ったのです。
そしてショルダーバッグをその椅子に掛けたのでした。
「コーヒー飲む?それともコーヒー飲む?!」
と一平は言うと、電気ポットの再沸騰ボタンを押したのでした。
「え、へっ!!コーヒーしかないんだよ!」
と言って頭をかいたのでした。

「インスタント?!」と、育子が訊くと、
「うん!ごめん!いつもあれさ!!?」
そう言ってテーブルの横に置いてある、小さめのダイニングボードの、
透明ガラスのところを指差したのでした。



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