携帯によろしく 第十四章 (2)

「もしもしー!?」
「どうしたのー?!このあいだ”忙しくてしょうがないって”言ってたのにー!?」
と言ったのは、母の紀美子(きみこ)でした。

「あのねえー!?」
「会ってもらいたい人がいるんだけどー!?」
と育子が言うと、
「前、話していたヒトー?!」
と紀美子が言ったのです。

「うん!」
「で、さあー!?」
「今週!お父さんの都合どうかなあー!??」
と育子が言うと、
「お勤めしているかただから!?」
「土日のほうがいいんでしょ?!」
と紀美子が言ったのでした。

「うん!」
「ちょっと待ってえー!?」
と言うと育子は、受話口のところに手をおき、
「一平ちゃん!?土日のほうがいいんだよねえー!?」
と一平に訊いたのです。

「土日のほうが都合はいいんだけどー!?」
「木曜日でも金曜日でもいいよ!!」
「休み。取るからさあー!?」
と一平が答えると、
育子は手で押さえていた受話口のところを離し、
「お父さんに合わせるって!」
と言ったのでした。

「わかったわっ!」
「お父さんに聞いて、あとで電話するからー!?」
と紀美子が答えたのです。すると、
一平が自分を指さし、
電話に出ることを育子に手で合図したのでした。

育子は「ちょっと待って!今替わるから!?」
と言って、一平に携帯を手渡したのでした。

「初めまして!」
「山本一平と申します!」
「今週ふたりとも休みが取れるので!?」
「勝手を言って申しわけありませんが!?」
「よろしくお願いいたします!」
と一平が言うと、
「こちらこそ!よろしくお願いします!」
「あとで!育子のほうに電話入れときますので!?」
と紀美子が言ったのでした。

「じゃあー!?育ちゃんと!?」
「いいえ!育子さんと替わります!」
そう一平は言うと、
携帯を育子に手渡したのでした。

「もしもしー!?」
と育子が言うと、
「育子!いつも育ちゃんって呼ばれてるんだあー!?」
と紀美子がうれしそうに言ったのです。すると、
「お母さん!冷やかさないでよー!?」
「じゃあー!?電話待ってるから!?」
と育子がうれしそうに言うと、
「そんなに遅くならないと思うけど!?」
「じゃあねっ!切るから!?」
と紀美子は言うと、電話を切ったのでした。

育子は携帯をしまうと、
「ご飯食べよー!?」
と言ったのです。すると一平が、
「なんか、すごーく腹減ったよー?!」
と言ってコロッケを一口、口に入れ、
ビールを飲んだのでした。

「どおー!?味は?」
と育子が言うと、
「もちろんうまいよー!?」
と一平は言い、
今度はハンバーグを食べたのです。

育子はまた「どおー!?味は?」と言うと、
「レストランのハンバーグ並みだよー!?」
「やっぱり手作りは違うねっ!!」
と一平は言ったのでした。そして、
「ビールはヤッコをつまみに飲んじゃうよー!?」
「そのあと、ご飯にするから!?」
と、うれしそうに一平は言ったのでした。

それからふたりが楽しく会話をしながら食べたのです。
「食った食ったー!?」
「もう食べれないよー!?」
と言って、おなかをさすった一平でした。

そして食事も終わり、育子が片づけを始めたのです。
「わたし流しで洗うから!?」
「一平ちゃん!食器持ってきてくれるー??!」
と育子が言ったのです。

「分かったー!?」
と一平は言うと、食器を流しのところまで運んだのでした。
そして育子が食器を洗っていると、携帯が鳴ったのです。
育子はすぐに水を止め、
タオルで手を拭くと、携帯にでたのでした。






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