本来コーヒー紅茶などをお出しし御もてなししなければいけませんが、
インターネットの都合上それができません。
ご自分で好きなものを勝手に用意していただき、
キーボードなどの上にこぼさぬよう注意して、
ときどき飲みながらでもお読みくださいませ。 m(_ _)m
一平(いっぺい)が車に乗り込みシートベルトをすると、
それを見て小百合(さゆり)は、車を発進させたのでした。
車は新宿駅東口(しんじゅくえきひがしぐち)に向かったのです。
途中、信号機で止まったのでした。
「実はこれなんですけど!?」
「一平さんがユーに送ったものですか?!」
「ジュエルボックスではなく!?」
「これだけ机の引き出しに入っていたんです!?」
と言って小百合が、ちらっと一平のほうを見て、
ケースごと一平に手渡したのでした。
一平は自分が優(ゆう)の誕生日に、
「結婚を前提に付き合って欲しい」と言って、
手渡した金の指輪が入ったケースであることは、すぐわかったのです。
「ユーは最初、お誕生日プレゼントなら受け取るけど!?」
「結婚を前提のお付き合いとしてのプレゼントは受け取れないと言いました!!?」
「”一平さんのことは好きだけど”!?」
「”結婚なんて今は考えていないから”!?」
「そう彼女は言ったのです!!?」
と一平が話すと、すぐに信号が変わったのでした。
小百合はまっすぐ前を見つめ、その話を聞いていたのです。
信号が変わるとすぐ車を発進させたのでした。
その時、小百合の目から涙があふれ出ていたのでした。
しばらく沈黙の時間が過ぎていったのです。
3度目の信号で止まると、
意を決したように小百合が、
「きょう先生からお話がありました!!?」
「これ以上治療を続けても回復の見込みはないそうです!!?」
「99パーセント意識は回復しないそうです!!?」
そう言うとハンドルに手を置き、
その上に顔を伏せたのでした。
一平も覚悟していたとはいえ、
そのことを聞いてびっくりしたのでした。
そして信号は青に変わったのです。
顔を伏せたままの小百合を見て一平はすぐ、
「運転変わりましょう!!?」
「助手席へ来て!!?」
と大きな声で言ったのでした。
我(われ)に返った小百合は、
「はい!!?」と答えたのです。
すぐに一平は後ろを見て安全を確認すると、
助手席のドアを開け、車の前を回り運転席に乗り込んだのでした。
そしてシートベルトをしたのです。
そのあいだ、後ろの車からはクラクションが鳴りっぱなしでした。
急いでアクセルを踏んだ一平でした。
一気に加速したのです。
すぐに後ろの車もついて来たのですが、
3台後ろの車で信号が黄色から赤に変わってしまったのでした。
しばらく走るとまた信号で止まったのです。
「小百合さん!?だいじょうぶ!??」
と一平が言うと、
「すみません!!?一平さん!?」
とハンカチで涙を拭きながら、小百合は答えたのでした。
「ショックだったでしょう!?」
「よく運転してこれましたねえー!?」
と一平が言うと、
「虫の知らせか!?」
「午前中に、優の部屋の掃除をナツさんとしていたら!?」
「見つけたんです!!?」
「それで一平さんに訊いてみようと!?」
そう小百合が言ったのです。
「もし一平さんからのものだったら!?」
「お返ししようと、そう母と決めたんです!!?」
と小百合が言うと、
「これは優に、誕生日プレゼントとしてあげたものなので!?」
そう言うと一平は、
小百合の手にケースを握らせ、
その上から一平の手を被(かぶ)せたのでした。
すると信号が青に変わったのです。
一平は急いで手を離すと、ハンドルを握り、
サイドブレーキを離し、アクセルを踏み込んだのです。
車は徐々に進んで、渋滞なので駅前までは行かず、
東口近くの道路に車を停めた一平でした。
「きょうのところはこれで!!?」
「またお見舞いに行かせてもらいますので!?」
「その時は前もって、小百合さんの携帯に電話を入れますので!!?」
と一平が言うと、
「ではお電話をお待ちしています!!?」
と、小百合が言ったのでした。
一平は急いで車を降り、車の後ろを回ったのです。
すると、小百合も助手席のドアを開け降りると、
車の前を回り、運転席に乗り込んだのでした。
小百合がすぐ助手席の窓を下ろすと、
助手席側に来た一平が窓から覗(のぞ)き込むように、
「じゃあー!?お気をつけて!!?」
と言ったのです。
「一平さん!?」
と小百合が言うと、
「なに!?」と一平が言ったのでした。すると、
「いいえ!?別に!!?」
そう言うと小百合は、助手席の窓を閉め、
一平は小百合に向かって手を振ったのでした。
小百合は笑みを浮かべ手を振ると、
車を発進させたのでした。
「この続きを読んでやってもいいよ!」
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