携帯によろしく 第十四章(6)

朝礼が済むと課長が、
「泰三!一平!残ってくれー!!?」
と言ったのです。そしてふたりに、
「きょう九時に担当の松平(まつだいら)君が説明に来るそうだから!?」
「部長も俺も立ち会うけど!」
「ふたりにも聞いてもらいたいんだー!?」
「十分前には会議室に来てくれるかあー!??」
と言ったのでした。

ふたりは顔を見合わせたあと、
ほぼ同時に、
「わかりましたあー!?」「わかりましたあー!?」
と言ったのです。
それからふたりはペコッと頭を下げると、
いったん自分の席に戻ったのでした。

「今回は大きなプロジェクトらしいけど!?」
「どこの仕事だろー!??」
そう思った一平でした。
同じように泰三も、
「大きな会社の設計っていう話だけどー!?」
「どこの会社かなあー!??」
そう思ったのでした。

それから時間は過ぎ、
九時二十分前になると一平が立ち上がり、
ノートとペンケースを持って、
泰三の机に向かったのでした。

「せんぱーい!?」
「もうそろそろ行きますかー!??」
と一平が言うと、
「おおー!?そうだなあー!??」
「行くかあー!?」
と泰三は答えると、引き出しを開け、
やはりノートとペンケースを持って、立ち上がったのでした。
そしてふたりは、いっしょに会議室へと向かったのです。

ふたりが会議室に入りイスに座ると、
すぐに課長と部長がいっしょに部屋に入って来たのです。
そしてふたりがイスに座るとすぐに、
入り口のドアをノックして、
「失礼します!?」
と言って、事務員の斉藤絵里(さいとう えり)が、
コーヒーを載せたお盆を持って入って来たのでした。

四人の前にコーヒーを置くとそれぞれが、
「ありがとう!?」
「ご苦労さん!?」
「あいかわらずかわいいねえー!?」
「がんばってるねっ!?」
と言ったのでした。

「もうじき、たいらくん(松平のあだ名)が来るから!?」
「すまないけど、すぐにもう一つ持ってきてくれるかなあー!??」
と一平が言ったのです。すると、
「はい!課長さんから聞いていますので、すぐお持ちいたします!?」
と絵里は笑みを浮かべ答えると、
部屋を出て行ったのでした。

九時五分前に泰三の携帯が「ブルブル」と鳴ったのでした。
ウインドウを見ると、
「松平 健一(まつだいら けんいち)」
と表示されていたのです。
「松平君からです!?」
と部長と課長に向かって言ったあと、すぐ電話に出た泰三でした。

「もしもしー!?」
「今、駐車場に着きました!すぐそちらに向かいますので!?」
「皆さんにお伝えください!!?」
とたいらくんが言うと、
「はーい!伝えときまーす!!?」
「あわてなくていいからねっ!?」
「じゃー!?きります!?」
と泰三が言い、携帯を閉じるとポケットにしまったのでした。

「松平君が駐車場に着いたそうです!?」
「じきに来ると思います!!?」
と泰三が部長と課長に向かって言ったのでした。

「今混んでる時間帯ですから!?」
「しょうがないですよねえー!?」
と課長が言うと、
「そうだなっ!!?」
と部長が答えたのでした。

カバンを持ち駐車場を出ると、
たいらくんはいつものように、受付の女の子とくだらない話をちょこっとし、
ゆっくりと歩いてエレベーターに乗り、
設計部の階で降り、会議室に来たのでした。

ドアをノックし、
「失礼しまーす!!?」
と言って会議室に入ると、
「申し訳ありません!!?」
「五分ほど遅れてしまいました!!?」
と言ってお辞儀をしたのでした。

「まあそれはいいから!?」
「話を聞こうかあー!??」
と部長が言ったのでした。

「はい!!ではさっそく始めたいと思います!」
とたいらくんが言い、席のところまで行くと、
ドアをノックし、「失礼します!?」と言って、
絵里が入って来たのです。

「こちらに置いていいですか?!」
と絵里がコーヒー皿を持って言うと、
「ありがとう!!?」
「ええ!そこでいいです!?」
とニコニコしながら、たいらくんが言ったのでした。
絵里は会釈すると、すぐに会議室から出て行ったのです。

それからたいらくんは、カバンの中から書類を取り出し、
四人に配ったのです。
そして、新しいプロジェクトの説明を始めたのでした。






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