かつて、医療事故によって医療従事者が逮捕されることが続いたことがありました。
これは何を意味するかと言うと、命と常に向き合う仕事をしている人が「予期しえなかった事故」を招いてしまったとき、重い刑罰を負うということにつながるということです。
そしてそれが医療全体が委縮してしまうような事態になりかねない時期があったのです。
そこで、厚生労働省は、平成27年10月1日から医療事故調査制度をスタートさせました。
これは、医療従事者の過失を探し、刑罰を与える制度ではありません。
世の中で一番大切な「命」を守る仕事につき、時には数秒で判断しなければならないという重責を背負っている人たちの「予期しえなかった事故」をなくすために発足した制度です。
目的は「再発防止」なのです。
事故が発生した医療機関が院内調査をし、それが制度の対象事例と認められ場合、日本医療安全調査機構は分析・検証をします。そして日本医療全体に注意喚起をして「医療安全」につなげる制度なのです。
よって法的責任は追及はしません。院内調査報告書にも個人名は明記しないことになっています。
法的責任を追及するためにこの制度を利用できるのかどうかはわかりません。
そもそも目的が違うからです。
この制度は、始まったばかりで改善点はあると思います。
しかし、医療機関側や日本医療安全調査機構と共に話を進めることは、真実を知りたいと希望している遺族にとって有用な制度になってくると考えています。
まずは、医療機関側と遺族側がとことん話し合いをします。私は5回面談をしました。
それでも納得がいかない場合は、遺族側が2万円を支払い、日本医療安全調査機構に「センター調査」というのを申し込むことができます。病院側からも10万円で依頼ができます。
私共のケースの場合は、最後の面談で医療機関側から謝罪がありました。
それでも医療機関側が「センター調査」を依頼しました。何かを確認したかったのだと思います。
私が体験しているセンター調査について
センター調査進行状況は約1か月に1回の割合で、遺族側と医療機関側に同じものが報告されます。
必ず毎回、担当者の方からもお電話を頂きます。とても感じの良い方です。
初回は、調査方法がフローチャート図で送られてきました。
毎回、そのフローチャートを使って、「これからは○○に入ります」という進行状況がフローチャート内に赤字で表示されて送られてきます。
その中で途中経過の詳細は報告されません。詳細はすべての調査が終了した段階で報告されます。
また、遺族側にもヒアリングのための質問書が届くことがあります。難しい質問はありません。わかる範囲で回答します。
この調査は、遺族側と医療機関側の両者の疑問を解決させるためには有効だと感じました。
そして、日本医療界に注意喚起と再発防止がなされ、ヒューマンエラーで人命がおびやかされることがなくなるよう切に望んでいます。
センター調査結果
2017年12月22日付でセンター調査の結果が出ました。ご覧になりたい方はこちらまで。