遺恨

私が医療機関側に求めていた原因究明は、日本医療安全調査機構の「医療事故調査・支援センター」の調査による「センター調査報告書」のレベルでした。

「医療事故調査・支援センター」では、それほどまでに「血の通った」報告書を出してきたのです。

しかし、医療機関側が調べた「院内調査報告書」は到底血の通った報告書とは言い難いものでした。

「院内調査報告書」を受け取った直後は、あまりにも簡素だったので院内調査報告書とは思わず、これから本格的に院内調査が始まると思ったくらいでした。

なぜ、センター調査ほどの報告書が院内調査で出せないのだろうと不思議に思っていました。

遺族側が医療機関側に出した44個の質問に対しての書面での回答も、あまりにも温もりのないものでした。

医師免許を持っている人は、探求心を持って論文を書き、学会に参加して常にアップデートをしていると思っていました。

「院内調査報告書」は本当に主治医本人が書いたものだろうか。もしかしたら事務員が書いているのではと疑っていました。

表面上全てが終了したと言っても、常にいろいろな疑問が湧きおこり、心に医療機関側に対する「遺恨」はくすぶっていました。

その回答を主治医からいつか聞きたいという気持ちと、もうこれ以上会いたくないという気持ちの両面があり、ずっとこの気持ちを抱えていくんだろうと思っていました。

しかし、医療安全の活動をしていくうちに、その疑問点の回答が少しずつ見えてきて、徐々に気持ちが変化していきました。