2019年春

仕事を辞め、息子が大学生になって、アパートを借りて一緒に住むことにしました。新天地で生活にも慣れ、私にも時間の余裕が出てきました。

そのときに新聞の折り込み広告に、市内有名病院の市民講座の広告が入ってきました。目についてたのは「頸椎ヘルニア」の文字でした。予約不要の講座だったので行ってみることに。

脊髄・頸椎の病気を専門にしている医師の話はとても自信に満ちていて、経験値がわかるようなオーラがありました。

そこで、確認したい気持ちが出てきて、主人が施術された術式について質問をしてみました。

『頸椎ヘルニアにおける手術で、頸椎前方除圧固定術というのがありますが、一般的に行っている術式ですか?』

するとその医師は、

『当病院では、前方除圧固定術は1980年代にやめています。窒息になる危険性があるので、経験の少ない若い医師などがやれば、すぐに窒息するので怖くてできません。』

と言われました。私は呆然としました。聞かなければよかったという思いと、ここを訪ねていれば主人は生きていたかもしれないという思いが交錯して、どういうふうに帰ったか覚えていません。とても後悔しました。

後に、協力医であるDr.Kとお会いした時、このことを話すと、

『医師がする術式には個々に得意・不得意があるので、ご主人の主治医はその術式に自信を持っていたはず』

と言って下さったことは救いでした。絶対にこの病気にはこの術式という決まりはないし、大きな病院は組織として動くので、そういうことになるのだと考え、ここで立ち止まってはいけないと思いました。

このことがきっかけになって、医療界の安全意識ってどうなっているのかを知りたくなりました。