携帯によろしく 第十三章(10)

一平を見送った育子は、後片付(あとかたづ)けを始めたのです。
食器を洗い、水切りきりカゴに並べ終わると、
エプロンをはずし、いつものイスに掛けると、
洗濯するものを集め洗濯機に放り込み、
洗剤と柔軟材を入れ、洗濯機を回したのでした。
それから掃除機で各部屋を掃除したのです。

掃除がもうそろそろ終わる頃、
風呂場の乾燥機のブザーが鳴ったのでした。
そのまま掃除を続け、終わると洗面所に行き手を洗い、
すぐに風呂場に行き、洗濯物を取り込んだのでした。

アイロン掛けするものは掛け、
洗濯物をたたみ、それぞれのタンスにしまったのでした。
それが終わると育子は、
「わたしの部屋も掃除しなくちゃあー!?」
「忙しくてぜんぜんできなかったからねっ!!?」
そうひとり言(ごと)を言うと、
ジャージを脱ぎ、きのう着てきた服に着替えたのです。

着替えを終え育子は、
「もうこんな時間!?」
時計を見てそう言ったのでした。
11時を少しまわっていたのです。
急いで戸締りをすると、玄関に鍵を掛け出かけたのでした。

一平のマンションから歩いて高田馬場の駅まで行き、
電車に乗り池袋で地下鉄に乗り換え、
有楽町線氷川台駅の、自分のワンルームマンションまで歩いて行ったのです。
育子は、12時少し前に部屋に着いたのでした。

玄関を開け、部屋の窓を開け空気を入れ替えると、
すぐにジャージに着替え、掃除を始めたのです。
しばらくすると、一平から電話が掛かってきたのでした。

「もしもしー!?」
「育ちゃん!?げんきー!?」
と一平がうれしそうにテレビ電話で言ったのです。すると、
「はーい!!?元気よー!?」
「なにー!??一平ちゃん!?」
と育子もうれしそうに言ったのでした。

「きょう3時過ぎないと、残業になるかどうかわからないんだあー!?」
「4時ごろには電話できると思うんだけど!?」
と一平が言うと、
「わかったわ!?」
「ちょうどよかったあー!?」
「一平ちゃん!?きょう何か食べたいものあるー!??」
と育子が言ったのです。

「別にこれといったものはないけど!?」
「風呂上りに、育ちゃんの作ったヤッコを食べたいなあー!?」
と一平が言ったのでした。すると育子が、
「わかったあー!?」
「でもー!?」
「残業って普通どのぐらいの時間!??」
と育子が一平に言ったのです。

「いつもならだいたい2時間ぐらいだから!?」
「はっきりしたら4時ごろ電話するからー!?」
と一平が言うと、
「うん!じゃあー!?」
「電話待っているからねっ!!?」
「わたしのこと愛してるー!??」
と育子が画面に唇を近づけ言うと、
「もちろんいっぱい愛してるよー!!?」
と一平も画面に唇を近づけ、ふたりはいっしょに、
「チュ!!」と言ったのでした。(ばかばかしい!!)

そして画面を離しお互いの顔を見て、
一平は唇を尖らせ、もう一度、
「チュ!!」と言ったのです。
すると育子も一平と同じように唇を尖らせ、
「チュ!!」と言ったのでした。

「じゃあー!?ねえー!?」
と一平が言うと、
「はーい!!?」
「電話待っていますから!?」
と育子は答えたのです。そして、
「じゃあー!?もう切るねえー!?」
と一平が言うと、
「はーい!!?」
そう言うと育子はすぐ携帯を切ったのでした。

電話を切ると育子はまた掃除を始めたのです。
掃除が全部終わったのが1時を少し過ぎていました。

「おなか空(す)いたわねえー!?」
「どうりで空いたと思ったわ!?」
「もうこんな時間だもんねえー!?」
と、時計を見てそう言った育子でした。

掃除機を片付け、手を洗うと、
育子は、そうめんを茹でお昼ご飯としたのです。
昼を食べ終わり、洗い物を済ませると、
部屋の戸締りをして、カーテンを閉め、
ガスをチェックしたあと、
服を新しい服に着替え、玄関に鍵を掛け、
自分のマンションを出た育子でした。






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