携帯によろしく 第十三章(6)

「でも!?すごく元気になっちゃってるんだけどー!?」
と一平が言うと、
「よーしよーし!?」
「いい子だから、ベッド入るまで我慢(がまん)しててねっ!!?」
と育子は言って、
一平の息子(むすこ)をなでなでしたのでした。

一平はうれしそうに、
「わかったあー!?」
と返事をすると、息子をピクピク動かしたのでした。(くだらん!!)

「おもしろーい!!?」
「じゃあー!?先(さき)出るねえー!?」
と育子はニコニコしながら言うと、
風呂場を出てドアを閉めたのです。

「うけたみたいだなあー!?」
「もう少しの我慢だぞー!!?」
そう一平は自分の息子に向かって言うと、
息子をピクピク動かし、
「はーい!!?」と言ったのでした。(ほんとにくだらない!)

それから一平は、
湯舟に浸かると、何を思ったのか、
湯舟の水面を海にみたて、
「潜望鏡!!?」と言って、
自分の息子を水面から、上げたり下げたりしたのでした。(バッカじゃない!!)

一平がお風呂で遊んでいる頃、
育子は着替えを終え、風呂上りの一杯の支度(したく)をしていたのです。

テーブルのまん中にレンジでチンした野菜炒めを盛った皿を置き、
一平と育子の席の前には、
それぞれ冷蔵庫から取り出した冷ヤッコを置いたのでした。
いつものようにガラスの皿にヤッコを載せると、
ぶつ切りのマグロを細かく刻み載せ、
その上に刻んだネギをぱらぱらと載せたものです。

すべて支度を済ませ、
「一平ちゃんまだかなあー!?」
そう育子は言うと、
風呂場に向かって歩いて行ったのでした。

育子は風呂場のドアをノックすると、
「一平ちゃん!?支度できたけどー!?」
「まだあー!?」
と言ったのです。

「今掃除して水抜いたから!?」
「出るよー!?」
と一平が言ったのでした。すると育子が、
「えっっ!!?」
「水抜いちゃったのー!?」
と驚いたように言ったのです。

「まずかったー!??」
と一平が言うと、
「だってもし地震でもあって!?」
「水が出なくなったら!?トイレに流す水が困るでしょー!?」
「万が一のために!?」
「お風呂の残り湯はとっとかなくっちゃあー!?」
と育子が言ったのでした。

「ごめん!!?」
「今度からそうするよー!?」
と一平が言ったのです。そして、
「じゃあー!?出るからあー!?」
と言ったのです。

「わかったわ!?」
「テーブルで待ってるからねっ!!?」
と育子は言うと、
冷蔵庫のところまで行き、そしてドアを開けると、
冷やしておいたジョッキを取り出し、ビンビールを1本出したのでした。

じきに一平が着替えを済ませ、
テーブルの席に座ったのです。そして、
「育ちゃんご苦労様!!?」
「こんなに豪華(ごうか)に支度してくれたんだあー!?」
と一平はうれしそうに言ったのです。

「そんなに豪華でもないけどー!?」
「お夕飯がラーメンだったから!?」
「お腹(なか)空(す)くと思って!!?」
「野菜炒めも作ったの!?」
そう言うと育子は、
「一平ちゃんどうぞ!!?」
と言って、ビールビンを持って注(つ)ぐ格好をしたのでした。

一平は育子にジョッキを差し出したのでした。そして、
「ジョッキ冷えてるなあー!?」
「ありがとう!!?」
と、うれしそうに一平は言ったのです。

育子がジョッキにビールを注ぎ終えると、
今度は一平が育子のグラスにビールを注いだのでした。
それから久しぶりに会ったふたりは、
ビールを飲み、つまみを食べながら、遅くまで話をしたのです。






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