携帯によろしく 第十三章(4)

しばらく抱き合っていたふたりでしたが、
一平が、
「お風呂一緒に入ろうかあー!?」
と言うと、
「きょうはあわてていたんで!?」
「パジャマ用意してこなかったの!?」
と育子が言ったのです。

「ふたりだとちょっと狭いけど!?」
「抱き合って眠ればいいよー!?」
「もう寒くはないから!?」
と一平が言ったのでした。

育子は一瞬考えたのですが、
「わかったわ!?一平ちゃん!?」
「換えの下着とジャージはあるから!?」
「先にとにかく着替えましょ!?」
と育子が言ったのです。

それからふたりは通勤の服を脱ぎ、ジャージに着替えたのでした。
そして一平は風呂掃除をし、風呂を沸かしたのです。
育子は、コップとジョッキを冷蔵庫で冷やし、
スパーで買った物を冷蔵庫に入れると、
ふたつの部屋の窓を開け、
一平の風呂掃除のあいだに、全部の部屋を掃除したのでした。

そして、一平が台所の育子のところに来ると、
「一平ちゃん!?」
「パソコンの机の上、片づけてちょうだいねっ!?」
と言ったのです。すると、
「掃除してくれたんだあー!?」
「ありがとう!!?」
「すぐ片づけるよー!?」
そう言うと一平は、育子のおでこにキスしたのです。

一平はすぐにパソコンの部屋に行き、片づけを始めたのでした。
そのあいだに育子は、ヤッコと野菜炒めを作り、
テーブルの上に風呂上りにふたりで乾杯する用意をしたのです。
それから育子はあしたの朝のメニューを、
テーブルのイスに座り考えたのでした。

一平はパソコンの机の上を片づけ終わると、
パソコンのスイッチを入れ、いつものように、
「メールでも見てメール」などと言いながら、メールを見たのです。
メールを見終わる頃、
風呂のブザーが鳴ったのでした。
急いでメールを見終わり、パソコンのスイッチを切ったのです。

一平が台所の育子のところに行き、
「育ちゃん!?風呂沸(わ)いたから入いろー!?」
と、ものすごーくうれしそうに言うと、
「わたしが先に入るから!?」
「一平ちゃん!?」
「いいって言ったら入って来てちょうだいねっ!!?」
と育子が少し恥ずかしそうに言ったのでした。

「うーん!!?」
「わかったあー!!?」
と、満面に笑みを浮かべ、ニコニコしながら返事をした一平でした。
そして育子はテレビの部屋に行き、
タンスから着替えの下着を取り出しそれを持つと、
着替えるため、洗面所のカーテンをきっちり閉めたのでした。

育子が洗濯機を覗(のぞ)き、
「一平ちゃん!?」
「このワイシャツ下着といっしょに洗ってもだいじょうぶー!?」
と言ったのです。すると、
「ウォッシャブルだから!?」
「だいじょうぶだあー!?」
と一平は、志村けんの物まねで答えたのです。

「似てるー!!?」
「わかったー!?」
そううれしそうに育子は言うと、
洗濯機に自分の下着を放り込み、
洗剤と柔軟剤を入れ、洗濯の支度をしたのでした。
それから風呂に入ったのです。

育子は身体(からだ)全体を、ていねいにボディーシャンプーで洗うと、
シャワーで洗剤を洗い流したのです。
それから湯舟(ゆぶね)に浸(つ)かり、
「一平ちゃん!?入っていいわよー!?」
と少し大きな声で言ったのでした。

一平は少し緊張していたのか、
ちょうどトイレに入っていたのです。
トイレのドアを少し開け、
「今行くー!?」
「育ちゃん!!?」
とダジャレを言ったのでした。

きっちり、用を済ませ一平は、
洗面所のカーテンを開け着替えに入ると、
すぐカーテンを閉めたのでした。
育子がジャージをたたんでカゴに置いていたので、
「ジャージは洗わないよねえー!??」
と風呂場に向かって一平が言うと、
「うん!まだきょう着たばっかりだから!?」
と育子が答えたのです。

一平はきれいにたたんで、育子のジャージの横に置き、
着替えのパンツもいっしょに置いたのでした。
そして洗うパンツを洗濯機に放り込むと、
「入るよー!?」
と一平はうれしそうに言ったのです。






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