携帯によろしく 第十三章(3)

窓を開けてすぐ育子が、
「あれ!?」と言ったのでした。
それはちょうど一平がカバンを持って、
パソコンの部屋には入ろうとしていた時でした。

「どうしたの育ちゃん!?」
と一平が言うと、
「今、外から誰かに覗(のぞ)かれていたような気がしたのよー!?」
「人があわてて、エレベーターのほうに行ったような感じがしたの!?」
と育子が言ったのです。

「まだ調査しているのかなー!?」
と一平が言うと、
「なにー!?調査って!!?」
と育子が言ったのでした。

一平は、
”これこれしかじか”(古い!!)
と言って、テーブルのイスに座り、
育子をイスに座らせると話し始めたのでした。
(十二章まで読んでいただいた方はわかると思いますので!)

「へえー!?そんなことがあったんだあー!??」
「一平ちゃんと合わない間に!!?」
と育子が言ったのでした。そして、
「それで優さんは、どんな具合いなの!?」
と育子が言ったのです。

「きょう育ちゃんと会う前に小百合さんと会ったんだけど!?」
「医者に99パーセント意識は回復しないって言われたそうなんだ!!?」
「みんなある程度は覚悟はしていたと思うけど!?」
「じかに言われてしまうとショックだよ!!?」
と一平が辛(つら)そうに言ったのでした。

「ご家族、お気の毒ねえー!?」
と育子が辛そうに言ったのです。すると、
「そんな訳(わけ)で、一度小百合さんと会ってもらいたいんだけど!!?」
「いいかなあー!??」
と一平が言うと、
「わたしが会っていいのー!??」
と育子が言ったのでした。

「会わないほうがいいような気がするんだけど!?」
「お互いにとって!!?」
と育子が言うと、
「うーん!?」
「そうかもしれないなあー!?」
と言って一平は腕を組んだのです。

「ときどき、お見舞いにユーのところには行くけど!?」
「了解して欲しいんだ!育ちゃん!!?」
と一平が言うと、
「それはかまわないけど!?」
「一平ちゃん!小百合さんのこと好きなの!?」
と育子が、女の勘(かん)で訊(き)いたのでした。

「女性としてすばらしいと思うんだけど!?」
「結婚相手としては俺には似つかわしくないよー!?」
「お嬢さんじゃあーねえー!?」
と一平が言うと、
「わたしはお嬢さんじゃないから、似つかわしいんだあー!?」
と育子が言ったのです。

「ぜんぜん!!?」
「そういう意味じゃないよー!?」
「住んでる世界が違うんだ!!?」
「うまく説明できないけど!?」
と困ったように言った一平でした。

「なんとなくわかるような気がするけど!?」
「やっぱり、小百合さんのことが好きなんだあー!?」
と育子が言うと、
「だから違うって言ってるだろー!?」
「もうこの話はもうよそー!?」
「結婚して欲しいのは育ちゃんだけなんだから!!?」
と一平が、育子の目を見つめ言ったのです。

「ごめんね!一平ちゃん!?」
「やきもち焼いたりしてー!?」
と、うつむいて育子が言うと、
「いいんだよー!?俺こそごめん!!?」
そう一平は言うと、
イスから立ち上がり、テーブルを回り、育子のところへと行ったのでした。

一平は育子の手を持ち、立ち上がらせ抱き寄せると、
軽く唇にキスしたのでした。

一平が唇を離すと、
「わたしのこと好き!?」
「それとも!?」
「わたしのこと愛してる!?」
「どっち!??」
と育子が一平の目を見て言うと、
「育ちゃんのこと大好きだし!?」
「ものすごーく愛してる!!?」
と一平が言ったのでした。

すると育子は軽く目を閉じたのです。
一平は育子を力強く抱きしめ、
めちゃんこ強烈なキスをしたのでした。






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