携帯によろしく 第十三章 (2)

一平は小百合の車を見送り、すぐに病院へ向かったのでした。
ビルの入り口から少し歩きエレベーターに乗り、
10階の病院の階で降りたのです。
受付で事情を説明すると、
育子が来るまで、医師の説明を待ってもらえることになったのでした。

一平が待合室で週刊誌を読みながら待っていると、
20分ほど遅れて育子がやって来たのでした。
「電話で事情を説明しておいた山形ですが!?」
と受付で育子が言うと、
肩を叩(たた)かれたのでした。

「育ちゃん!?」
と一平がニコニコして言うと、
すぐに育子が振り向きうれしそうに、
「ごめん!?一平ちゃん!!?」
「遅くなって!!?」と言って、合掌(がっしょう)したのでした。

受付の人がファイルを見ていたのですが、
突然、
「すいません!!?」
「6時に交代だったので、伝達がうまくできていませんでした!!?」
「ブライダルチェックだったんですねっ!?」
と、ふたりに向かって言ったのでした。

「お電話での苗字が別々だったので!!?」
「勘違いしていました!!?」
「申し訳ございませんでした!!?」
と言って、受付の女の人がお辞儀をしたのでした。

「いいんですよー!?別にー!!?」
と一平がニコニコして言うと、
「先生にはちゃんと連絡しておいてくれたんでしょうか!?」
と育子が言ったのです。すると、
「はい!おふたりがお揃(そろ)いになられた時点で!?」
「先生には連絡するよう言われています!!?」
「ソファーで少々お待ちください!!?」
と受付の女の人は答え、会釈したのでした。

それから奥へと受付の女の人が向かって、
5分ほどすると戻って来たのでした。そして、
「ではこちらへどうぞ!?」
と言って片手を差し出し、診察室のほうに歩いて行ったのでした。
一平と育子は、すぐその後(あと)をついて行ったのです。

ふたりは診察室に入るとイスがふたつ置いてあったのです。
受付の女の人が、
「すぐ先生は見えられますので、そのイスにお座りください!!?」
と言うと、診察室を出て行ったのでした。
それからじきに医師が来て、ふたりに30分ほど、
ブライダルチェックの結果の説明があったのでした。

ふたりは医師の説明を受けたあと、
診断書を受け取り、支払いを済ませたのでした。

「診断書は別料金だったのかあー!?」
「結果さえわかれば別にいらないけど!?」
と一平が言うと、
「でもあれば、ふたりいっしょに受けた証拠になるから!?」
「よかったね!!」
「ふたりとも健康だってわかってさあー!?」
と育子が、うれしそうに言ったのでした。

一平と育子は病院を出ると、エレベーターで1階まで降りたのでした。
病院の入っているビルから出てきて、
「なんか安心して腹減ったなあー!?」
「ご飯食べようかあー!?」
と一平が言ったのです。

「そうねえー!?おなかすいたねえー!?」
「じゃあー!?どこ行こうかあー!??」
と育子が言うと、
「育ちゃんの行きたいとこでいいよー!?」
「女の子の方がレストランは詳しいから!?」
と一平が言ったのでした。

「レストラン!?もったいないわよー!?」
「あした、わたしお休みだしー!?」
「一平ちゃんと行った!!?」
「高田馬場の駅近くのラーメン屋さんでいいわよー!?」
「そのあとスーパーで買い物して帰ればあー!!?」
と育子がうれしそうに言ったのでした。

「ほんとにいいのー!??」
と一平が言うと、
「うん!!?」
と育子は言うと笑ったのでした。

それからふたりは、
新宿から電車で高田馬場まで行き駅近くのラーメン店で、
30分ほど並んだのですが、夕飯を食べたのです。
ラーメン店を出ると、いつものスーパーに寄り食材を買い、
一平はいつものカバンを左手で持ち、
右手にスーパーの袋を持ったのでした。
ふたりで話をしながら、一平のマンションに向かったのです。

マンションに着くと、
ふたり並んでエレベーターに乗り、
3階で降り、一平が鍵を開け玄関に入ったのでした。

すぐ後(あと)から育子が玄関を入り、一平からスーパーの袋を受け取り、
テーブルのイスを引き、その上にスーパーの袋を置いたのです。そして、
「空気入れ替えるねっ!!?」
と言って、すぐに台所の窓を開けたのでした。






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