携帯によろしく 第十三章(5)

「ちょっと待ってえー!!?」
「洗い物入れたら、洗濯機のスイッチ入れてくれるー!?」
と育子が大きな声で言ったのです。
「わかったあー!?」
と一平は答え、スイッチを入れ洗濯機を回したのでした。

「育ちゃん!?タオルを持って入ったあー!??」
と一平が訊くと、
「一平ちゃんが用意してくれてあったタオルを使ったからー!?」
「もう1枚はそのままだから!?」
と育子が答えたのでした。

「わかったー!?」
「洗濯機のスイッチ入れたから!?」
「入るよー!?」
と一平は言うと、風呂場のドアを開け中に入ったのです。
一平が湯船を見ると、
育子が後ろを向いて湯舟に浸かっていたのでした。

「育ちゃん!?」
「湯加減はどおー!??」
と一平が育子を見て言うと、
「うーん!?ちょうどいいわ!!?」
と育子は、後ろを向いたまま答えたのです。

「そう!それはよかった!!?」
「今すぐに洗っちゃうからねっ!!?」
と一平が言うと、
「そんなに急がないでいいから!?」
「身体(からだ)、ちゃんと洗ってねっ!!?」
と育子が言ったのでした。

「わかったあー!?」
そう一平は答えると、
いつもよりていねいに身体を洗ったのです。そして、
「いつも頭もいっしょに洗っちゃうんだけど!?」
「もう少し待っててくれる!?」
と一平が言うと、
「うん!?待ってるから!?」
と育子が答えたのでした。

一平はいつもよりていねいに洗ったのです。
育子が浸かっている湯船のほうに、
シャンプーの泡が飛ばないように気をつけながら、
慎重に時間をかけ洗ったのでした。

「いつもこんなに時間をかけて洗わないんだけどさあー!?」
「育ちゃんといっしょに入るためだからなあー!?」
とうれしそうに言うと、
「一平ちゃん!?まだあー!??」
と育子が言ったのです。

「うん!?もうすぐ終わるよー!?」
と一平は答え、
ハンドシャワーの勢いを小さくすると、
片手を使いていねいにシャンプーを洗い流したのでした。
そして、「終わったよー!?」
と言ったのでした。

すると育子が急に湯舟から立ち上がったのです。そして、
「結構熱かったあー!?」
と言ったのです。
育子は全身を桜色に染め、顔も桜色でした。

「育ちゃん!?」
「俺が洗い終えるまで、我慢(がまん)してたのー!??」
と一平が言うと、
「うーん!!?」
「ちょっとだけねえー!?」
と育子が思わず一平のほうに振り向いて言ったのでした。

すると一平はすぐ湯舟に入り、育子をやさしく抱きしめたのです。
そして、「愛してるよ!育ちゃん!!」
と一平は言うと、
育子のおでこにキスしたのでした。
それからふたりはお互いを見つめ、唇と唇を重ねたのでした。

ふたりはしばらくしてから身体を離すと、
「一平ちゃん!?」
「わたし、お風呂上りのビールの支度(したく)をするから!?」
「先に出るねえー!?」
と育子が言ったのです。

「もう出るのー!??」
と一平が少しがっかりして言うと、
「聞き分けてちょうだいねっ!!?」
と育子がニコニコしながら言ったのでした。
一平は育子の身体を見ながら、
「はーい!!?」と本当にうれしそうに言ったのです。(単純!!)






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