携帯によろしく 第七章(6)

一平と小百合は、白石家の玄関を出たのでした。
そして、ガレージに向ってゆっくり歩いて行ったのです。
「きょうは本当にお忙しいのにありがとうございました!。」
「病院に来てくださるときは、いつでも前もってお電話をいただければ!?」
「わたくしが、一平さんをお迎えに行きますので!?」
「ご遠慮せずにお電話をください!?。」
「携帯の電話番号。お伝えしてありますよねえー!?」
と道すがら、小百合が言ったのでした。

「はい!先輩からいいえ!?」
「二宮さんから伝言で、伺っております!」
「でも小百合さんもお忙しいのではありませんか?!」
と一平が訊ねると、
「いいえ!習い事は、午後3時には終わりますので!?」
「遅くとも4時以降は、自由時間が持てますから!?」
「ぜひお電話してください!!?」
と小百合が言ったのです。

一平は少し考えて、
「わかりました!せっかくそう言って下さるのなら!?」
「病院へ伺うときには、前もって小百合さんの携帯に!?」
「電話させていただきます!。」
と、一平は言ったのでした。

ガレージのドアを開け、ガレージにふたりは入ったのです。
「一平さん!免許お持ちでしょ!?」
「運転なさいます?!」
と小百合が言ったのでした。
一平は小百合がそういう前に、
”一度はこういう外車を運転したいもんだなあー!?”
と一瞬ですが考えたのです。

「いいえ!?きょうは免許証持ってきていないんで!!?」
「だいいち、外車なんて運転したことないんで!!?」
「結構です!!?」
と、あわててそう言った一平でした。
「わかりました!?」
小百合はそう言うと、運転席のドアへ行ったのです。
一平は助手席のドアへ行き、ふたりは車に乗り込んだのでした。

シャッターは閉まっていたのが、徐々に上がっていったのです。
小百合はそのあいだにナビに入力したのでした。
シャッターが上がりきると、小百合はゆっくり車を走らせたのです。
「あれ?!来たときは前から入ったのに!??」
「今はそのまま出ましたけど!??」
と一平が今頃気づき、小百合に訊ねると、
「ターン装置がついているんです!?」
「フルオートではないんですけど!!?」
と答えたのでした。

「あのー!?よくビル型の駐車場にある!?」
「あの装置ですよねえー!??」
と一平が驚いたように言うと、
「はい!そうです!!?」
と小百合は、いとも簡単に言ったのでした。

車は環七通りに出ると、北上したのです。
そして、早稲田通りに入ると、東に向って走ったのでした。
やがて一平の住んでいるマンションに着いたのです。
すると、来客用の駐車場の1つが空いていたのでした。

「もしよかったらコーヒーでも飲んでいきませんか?!」
「来客用の駐車場が空いてるので、そこに車を止めればいいので!?」
と一平が言うと、
「そうですか?!」
「では少しだけ寄らせてもらいます!?」
と小百合は答えたのでした。
そして、車を駐車場に停めたのです。

一平はいつものカバンを持って車を先に降りると、
小百合が車から降りるのを待って、
いっしょにマンションまで、歩いて行ったのでした。
「ここの3階なんです!」
そう一平は言うと、きょうはエレベーターに乗って、3階で降りたのです。

部屋の前の玄関に着くと、小銭入れからいつものように鍵を出し開け、
先に玄関に入り上がると、お客さん用のスリッパを出し、
「どうぞ上がってください!」
「今空気入れ替えますので!?」
「ちょっとこのイスに座ってて、いただけませんか?!」
と一平は言い、一個のイスをテーブルから引き出したのでした。

「はいわかりました!?」
「おじゃまします!?」
小百合はそう答えると、そのイスに座ったのです。
一平は急いで、
流し台のところの窓と、奥のふたつの部屋の窓を開けたのでした。
「男臭いでしょう!?」
と一平は苦笑いして言うと、
「いいえ!?かすかにレモンの香りがしますけど?!」
と、小百合が言ったのです。

一平が緩(ゆる)やかな風が入ってくる、流し台のほうを見ると、
棚の隅に、レモンの芳香剤が置いてあったのでした。






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