携帯によろしく 第二章(3)

少し顔をこわばらせて言ったのです。
「きょう初めて会った育ちゃんに言うのも何なんだけど!」
「振られたかもしれないんだ!?」
「とにかくよくわからないけど!」
「よくよく考えてみると、この部屋に引っ越してから、
様子がおかしかったような気がする?!」
と言ったのです。

すると育子が、
「なーんだあー!暇だって言ったのは、
彼女にデートをすっぽかされたからかあー!?」
「友達と映画に行く予定だったなんて嘘でしょう!??」
そう育子が言うと、
「友達と映画に行く予定だったのは嘘じゃあないし、
彼女とデートの予定はなかったよ!」
「ホントだよ!信じてくれよ!!育ちゃん!?」
と、一平は真剣な顔でそう言ったのでした。

「一平ちゃんって、珍しいわねえー?!」
「初めて会った人間にそんなことを話すなんて!?」
「ふつう話さないわよ?!」
と育子が言うと、
「俺!育ちゃんに嘘言えないんだよ!?」
「なんか知らないけどさあー?!」
と言って腕を組み、育子の顔をジーっと見つめる一平でした。

「そんなに見ないでよ!」
「恥ずかしいから!?」
そう言って一平から目をそらし、少し下を向き、
「でも彼女に振られたって証拠はないでしょ!??」
と育子が言うと、
「携帯に電話したら男の人が出て、番号間違えじゃあないかって言うんだよ!」
と一平が言ったので、
「じゃあ!?私の目の前でその人の携帯にかけてよ!!?」
と、育子が言ったのです。

「ああいいよ!ホントに男の人が出たんだから?!」
と言って一平が電話を掛けようとして、
ポケットから携帯を取り出すと、

「ちょっと待って!」
と言うと、ショルダーバッグを持って開け、
中からメモ帳と、ボールペンを取り出して、
「その人なんて名前なの?!」
「電話番号も書いて!」
そう育子は言うと、一平の前に置いたのでした。
「名前は、しらいしゆう!」
と言うと、メモ帳に漢字で”白石 優”と、書いたのです。

携帯の電話帳を見て電話番号を表示させると、
それをメモ帳に書き写したのでした。
141421356(あれ?。むかしどこかで見たような?!。)(国道2号?)
そう書いたのでした。
そして一平は携帯を育子に見せて、
「ねっ!間違いないだろー!!?」
と言ったのでした。
育子は、メモ帳を手元に持ってくると、
それを確認したのでした。

「間違いないわ!」
「じゃあ!一平ちゃん掛けてみてよ!?」
そう育子に言われた一平は、
ユーの携帯にかけたのでした。
「もしもし!」と一平が言うと、
男の声で「もしもしー!」と言ったので、
「あのー?!白石優さんの携帯ではないでしょうか??!」
と訊くと、
「違うよ!番号間違えてるんじゃあないの?!」
と言ったので、
「きのうこの番号で通じたんですけど!」
「141421356。ですよね!!?」
と言うと、
「だ。か。ら!。間違いだって言ってるんじゃん!!」
「ばあーか!!?」
そう言うと、向こうで切ったのでした。

すると一平は、
「ふざけんなよ!!」そう言って、もう一度掛け直そうとすると、
「やめて!!一平ちゃん!!?」
「お願いだから!?」
と、育子は言うと、一平の持っている携帯を取り上げたのでした。
「ごめんね!疑ったりして!?」
そう言った育子の目から涙があふれていました。
「ごめんね!一平ちゃん!!」「ごめんね!」
そう育子は言うと、テーブルに顔を伏せ、
声を出して泣き出したのでした。

一平は育子が急に泣き出したので、
どうしていいのかわからなかったのでした。
一平は育子のところに行くと、
「俺こそごめんな!」
「育ちゃんを泣かせちゃって!!?」
そう言うと、髪の毛をなでたのでした。






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