ブログ小説 妙なこと 第十七話 (1)

正月の三が日も終わり、4日の朝、
いつものように母の美津子が最初に起きたのでした。

着替えると夫婦の部屋から台所にいったのです。
台所の石油ファンヒーターにスイッチを入れようと、
人差し指をスイッチの上に持って行き、
いつものように押そうとして、
触(さわ)るか触らないか微妙(びみょう)なところで、
スイッチが入ったのでした。

「あれっ??!」
「今、ちゃんと押してないのに!?」
「スイッチが入ったような気がしたんだけどー??!」
「気のせいかしら!??」
と、美津子が首をかしげ、ひとり言を言ったのです。

ちょうどその時、
「どうしたのー??!」
と次男の修二が二階から下りて来て、美津子に訊いたのです。すると、
「いやっ、別にー!?」
「それより修ちゃん!休みなのに早いわねえー!??」
と美津子が言ったのでした。

「お母さん!?」
「暮れに言ってあったじゃん!?」
「4日から図書館に行くってえー!!?」
と修二が言ったのです。するとすぐに、
「ごめん!!?」
「うっかり忘れてたわー!?」
「今すぐ支度(したく)するからねえー!?」
そう言うと美津子は、朝ごはんの支度にとりかかったのです。

支度をしながら、
「ヒーターにあたってないで!?」
「居間のファンヒーターのスイッチを入れて!?」
「あと、コタツのスイッチも入れて来てよー!!?」
「エアコンはダメだからねえー!?」
「それと!部屋が暖(あたた)まったら弱にしてよー!!?」
と美津子が言うと、
「わかったよー!!?」
「今入れてくる!?」
と言って修二は、居間へと向かったのでした。

先にコタツのスイッチを入れると、
「省エネだかなんだか知らないけど!?」
「最初ちょっと臭(にお)うんだよなあー!??」
と文句を言いながら、頭の中でスイッチを入れるイメージで、
指がスイッチに触(さわ)る寸前に、
石油ファンヒーターのスイッチが入ったのです。

「なんだよー!!??」
「触ってないのにスイッチが入った!!?」
とびっくりして思わずそう言った修二でした。

「静電気かなー??!」
「でも静電気じゃー!?入らないと思うけどー?!」
「俺!ことしから超能力がついたのかなあー!??」
と、訳のわからないことを言ったのです。
そしてコタツに入ると、テレビのリモコンスイッチを押した修二でした。

美津子はガス炊飯器のスイッチを入れ、朝の味噌汁の支度をすると、
急いで洗面所に向かったのです。
顔を洗い歯を磨き、急いでそれらを終わらせると、
また台所に戻って来たのでした。

「きょうまでのんびりできると思って!?」
「すっかり忘れていたわー!?」
そう言っているうちに、
味噌汁が沸騰してきたのです。
すぐにガスコンロのスイッチを止め、
味噌汁を少しお玉ですくい、味見をした美津子でした。

それから美津子は、修二が持っていくお弁当のおかずを作ったのです。
おかずが出来上がる頃に、ちょうどご飯が炊き上がり、
10分ほど蒸らし、炊き上がったご飯をジャーに入れ替えたのでした。

そしてきのうの夕飯のカレーを温めると、
美津子が大きな声で、
「しゅうじー!!?」
「御ご飯できたわよー!?」
と、居間のほうに向かって言ったのでした。

「はーい!!?」と修二は答えると、
リモコンスイッチを持つとテレビをとめ、
コタツのスイッチを切り、ファンヒーターをとめ、
急いで台所に行き、テーブルの席についたのでした。

「いっただっきまーす!!?」
と言うと、
「しゅうじー!?顔洗ったあー??!」
と美津子が言ったのです。すると、
「あとで洗うよー!!?」
と修二が言ったのでした。

「先に洗ってらしゃい!!?」
と美津子に言われた修二は、
「はーい!?」
「言われると思ったけどー!?」
と言って、イスを引き立ちあがると、洗面所へ向かったのでした。

「まったくー!?」
「油断するとごまかそうとするんだからー!?」
「お父さんに似たんだわねえー!?」
と美津子が言うと、
「お母さん!?なんだってえー!?」
「誰が俺に似てるってえー!??」
と言って父の義雄が、台所に入って来たのでした。


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