妙なこと 第十七話 (14)

美津子もうれしそうに修二と話をしながら、
朝の支度を始めたのでした。
修二も珍しくテーブルを拭いたり、
みんなの食器を並べたりして、手伝いをしたのです。

美津子は、
ガス釜でご飯を炊いている20分ほどのあいだに、
味噌汁を作り、野菜炒めを作り終えると、
10分ほど蒸らし、ご飯をジャーに移しかえたのでした。
修二は食器を並べ終わると、
どんぶりに3個パックの納豆の中身を全部取り出すと、
卵を1個割り、青ネギとからしを加えしょうゆをたらし、
それを箸を使い納豆と混ぜたのでした。

ふたりが朝の支度を終えた頃、義雄が台所に来たのです。
「しゅうじー!?」
「ほんとに早く起きたんだなあー!??」
と、目をこすりながら義雄が言ったのでした。
そして、
「ところでどうして早く起きたんだあー!??」
と言ったのです。

「お母さんが知ってるよー!?」
と笑いながら修二が答えると、
「お父さん!今話しますから!?」
「先に顔を洗ってきてくださいよー!?」
と、うれしそうに美津子が言ったのでした。

「なんだよー!?」
「ふたりともうれしそうにー!??」
「とにかく顔を洗ってくるからー!?」
と義雄は言うと、
洗面所に向かったのでした。
そしてじきに台所へ戻って来たのです。

「とにかく座ってください!?」
と美津子が言うと、
三人はテーブルのイスに座ったのでした。
そして、「実は!?」
そう話を切り出すと、
朝起こったことを話した美津子でした。

「へえー!!?」
「二人が見たんだったら信用するしかないなあー!?」
「ところで!」
「居間のファンヒーターは試したのかー!??」
と義雄が言うと、
「そんな時間はありませんよー!?」
「先に朝の支度をしたんですから!?」
「珍しく修二も手伝ってくれたんですよー!?」
と美津子が言ったのです。

「珍しくねえー!?」
と修二の顔を見て笑いながら義雄が言うと、
「ご褒美(ほうび)は現金がいいんですけどー!?」
と言って手のひらを出した修二でしたが、
「お年玉に含まれています!!?」
と、笑って答えた義雄でした。

「なんだあー!?」
「お兄ちゃんといっしょじゃん!!?」
「言っただけ損(そん)したあー!?」
と修二が言ったのです。

「とにかくご飯食べる前に!?」
「居間のファンヒーターを試してみるかー!?」
と義雄が言うと、
「お父さん!?」
「もしできたら!?」
「おこづかいくれるー??!」
と修二がまじめな顔をして言ったのでした。

「千円かあー!??」
と義雄が言うと、
「いまどき千円ってことはないでしょう!?」
「5千円が相場でしょう!?」
と修二がうれしそうに言うと、
「いくらなんでも!5千円は高すぎるだろう!??」
「いいとこ3千円だなっ!!?」
と義雄が言ったのでした。

「お父さん!?」
「わたしも3千円もらえるんですかあー!??」
と美津子がうれしそうに言ったのです。
すると義雄が、
「しょうがないなあー!?」
「男がいったん言ったことだから!?」
「でもチャンスは1回限りだよー!?」
「最初出来なかったらそれで終わりー!!?」
「いいなっ!!?」
と言って義雄はズボンから財布を取り出し、
そっと中身を見たのでした。

それから三人はイスから立ち上がり、
居間へ向かったのでした。

居間のファンヒーターの前に来ると、
「じゃあー!?」
「やるよー!?」
そう言うと、
「ズッ・ズッ・ズッ・ズッズン!!」
「きてます!」
「ハンドパワーです!!」
と言って、修二は人差し指をスイッチにゆっくり近づけていったのです。

義雄と美津子がじっと見つめていると、
スイッチに触る寸前まで近づけたのですが、
何も起こりませんでした。

「へんだなあー!?」
「さっき台所ではできたのにー!!?」
「ねえー!お母さん!??」
と修二が言うと、
「ほんとだわねえー!?」
「なんでかしら!??」
と美津子も不思議そうに言ったのでした。

「ワッハッハッハッハー!!?」
とすごーくうれしそうに笑うと、
「よかった!!?」
「失敗して喜ぶのも、珍しいけどー!?」
と義雄はうれしそうに言ったのでした。
すると今度は美津子が、
「じゃあー!?わたしがやってみますから!?」
と言うと同じようにやったのですが、
何も起こりませんでした。

それから三人は台所に戻り、
ファンヒーターの話をしながら、朝食を済ませたのでした。
そしてそれ以来、
ファンヒーターでは同じ現象は起こらなくなったのです。
なぜかその年だけ、
1月4日の朝と5日の朝に起こったことでした。とさ!

もしかすると、
あなたの家のファンヒーターでも起きるかもしれません。
きてます!!(それが何かはわかりませんが・・・)

これで、お。し。ま。い。

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  妙なこと 第十七話 以外の話 も、
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