妙なこと 第十七話 (7)

「もちろんスイッチを入れなきゃって、考えましたよー!?」
と美津子が言うと、
「だったら!?」
「眼の錯覚(さっかく)の可能性もあると思うけどなあー!?」
「自分で頭で考えていたのより!?」
「早くスイッチを押した。あるいは文字を早く認識した。!?」
「どちらかだと思うけど!!?」
と義雄が言ったのでした。

「眼の錯覚ですかねえー!?」
「でも押す寸前に表示されたんですよー!?間違いなく!!?」
「それが2度ともですよー!??」
と美津子が納得できないままそう言うと、
「だったら誰かがファンヒーターをコントロールしているかだけど!?」
「コンピューター制御できる部品は入ってるから!?」
「可能だけどー!??」
と義雄は言うと、腕組みしたのでした。

「お母さんだけだったら眼の錯覚の可能性が大きいけど!?」
と言うと、美加はコタツから立ち上がり、
ファンヒーターのそばに行ったのでした。
そして頭の中で、
「強に戻してみよう!?」
そう思ってからスイッチを押したのです。
しかしいつもと同じように、しっかり押したあとに、
表示が弱から強に替わったのでした。

美加は、美津子と義雄のほうを振り向き、
「いつもと同じよー!?」と言ったのです。
そしてすぐもう一度スイッチを押し、弱に戻したのでした。
そしてコタツに戻ったのです。

今度は義雄がコタツを出て立ち上がると、
美津子の後ろに立ちひざをして座ったのです。
そして肩を揉み始めたのでした。

「どうしたんですかー!?」
「お父さん!!??」
と驚いたように美津子が言うと、
義雄が美津子の肩を揉みながら、
「正月お母さんひとり大変忙しかったから!?」
「疲れが出たのかと思って!?」
「結構こってるようだ!!?」
と言ったのでした。

「それはどうもありがとうございます。」
と言って軽く頭を下げ、
「ああー!そこ!?」
「気持ちいいー!!?」
と言ったのでした。

「そうだねえー!?」
「お正月の疲れが出てきたんだわよー!?」
「目にいいっていうと??!」
と言ってすぐ美加は立ち上がり、
洗面所に向かったのでした。
洗面器に熱湯を入れると、タオルをしばらく浸し、
蒸しタオルを持って居間に戻って来たのです。

「お父さん!?」
「座椅子お母さんに貸してあげて!?」
と美加が言うと、
「おおー!?そうだっ!!?」
「お母さんこっちへ移(うつ)って!?」
と言うと脇を抱え、無理やり美津子を立たせたのです。
そして義雄の座椅子に移動して、そこに座ったのでした。

「ちょっと待ってよー!?」
と言って、座椅子の角度を調整した義雄でした。
「このくらいかなー!??」
「お母さんよりかかってみて!?」
と義雄に言われた美津子は、
素直にゆっくりと座椅子に寄りかかったのでした。

そして美加が蒸しタオルを、
「軽く目を閉じてみてえー!?」
と言って、目のところに当てたのでした。
「ああー!?」
「疲れが取れる感じだわー!?」
「ありがとう美加!?」
と、うれしそうに美津子が言ったのでした。

「お母さん!?」
「しばらくそうしていなよー!?」
「ねっ!お父さーん、いいでしょ!?」
と美加が言うと、
「もちろんいいに決まってるさあー!?」
そう言うと、また肩を揉み始めた義雄でした。

「お父さん!?」
「もう肩のほうはいいですよー!?」
「大変ですから!?」
と美津子が言うと、
「ほんとにー!??」
「遠慮しなくていいんだぞー!?」
と義雄が言ったのでした。

美加がすぐに、
「そうよ!年に何度もあるわけじゃないし!?」
「遠慮しなくてもいいのよ!?」
「めずらしく本人がやる気になっているんだからさあー!?」
と笑いながら言うと、
「めずらしくって言う言い方はないだろう!!?」
「みかー??!」
と言って笑った義雄でした。






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