妙なこと 第十七話 (3)

「そんなことより!?かずおー!!?」
「あなた時間、間に合うのー!??」
と美津子が言ったのです。すると、
「お父さんにきのう駅まで送ってもらうことになってるから!?」
「お父さんもう起きているよねえー??!」
と和雄が言ったのでした。

「もう着替えて居間にいるはずだけどー!?」
「見てくれるー!??」
と美津子が心配そうに言ったのです。
するとすぐに和雄は、居間に向かったのでした。

「お父さん!?」
「したくできてるー??!」
と和雄が言うと、コタツに入っている義雄が、
大あくびをしながら、
「できてるよー!!?」
「お前ご飯はー??!」
と言ったのです。

「時間がないからいいよー!?」
「顔を洗ったらすぐ行くからさあー!?」
と言うと、洗面所へと向かった和雄でした。

すると義雄が和雄に向かって、
「荷物はー!??」
と言うと、
「玄関にもう置いてあるー!!?」
と和雄が歩きながら答えたのでした。

和雄と入れ替わりに台所に戻った美加は、
皿に自分の分をよそるといつものイスに座ったのです。そして、
「だけどー!?お雑煮とおせちに飽(あ)きたからってえー!?」
「カレーはどうかと思ったけどー!?」
と美加がカレーを食べながら言ったのです。

「俺はぜんぜん平気だよー!?」
「お姉ちゃんがジャンケン弱すぎだよー!!?」
と修二が笑いながら言うと、
「シチューならクリームでもビーフでも!?」
「どっちでもよかったんだけどおー!?」
「まさか2:1で負けるとは思わなかったわよー!?」
と美加が言ったのでした。

「まったく!せこいんだからなあー!?お姉ちゃんはー!??」
「確率じゃなくって!強いものが勝つー!!?」
「それがジャンケンさあー!?」
と、えらそうに言った修二でした。

それはきのう、昼ご飯を食べたあとのことです。
「もう3日目だと!おせちやお雑煮は飽きるなあー!?」
「夕飯は何か違うものでも食べるかー?!」
と義雄が言ったのがきっかけでした。

「そうかあー!?」
「おじいちゃんちへ行って!!?」
「カニも食べたしー!刺身も食べたしー!」
「すき焼きも食べたしー!焼き鳥も食べたしなあー?」
と言ったあと、
「家(うち)でも!」
「カニも、刺身も、焼き鳥も、から揚げも食べたしなあー!?」
「おせちはどこでも食べたからー!?」
「何がいいかなあー!??」
と修二が言ったのでした。

「お鍋にするー!??」
と美津子がうれしそうに言うと、
「鍋は暮れに食べたからいらなーい!!?」
とすぐに美加が言ったのでした。すると和雄も、
「俺も鍋はいいよー!?やめよー!!?」
と言ったのでした。

そしてしばらく考えていた修二が、
「やっぱり、カレーがいいなあー!?」
と言ったのです。

「カレー??!」
と和雄は言うと、
「だったら!シチューのがいいなあー!?」
「やっぱりビーフシチュー!!?」
とうれしそうに言ったのでした。

「俺はカレー!!?」
「お兄ちゃんはビーフシチュー!!?」
「お姉ちゃんはー!??」
と修二が言ったのです。すると、
「さっきお昼食べたばかりなのにー!?」
「ふたりともよく浮かんでくるわねえー!?」
「しばらく考えさせてよー!?」
と美加が答えたのでした。

「じゃあー!?」
「お父さんとお母さんはー!?」
「なに食べたいのー??!」
と和雄が言うと、
「俺はお前たちに合わせるからー!?」
「なんでもいいー!!?」
「お母さんはー??!」
と義雄が言ったのです。

「わたしは別に何でもいいですよー!?」
と美津子が答えると、
「じゃあー!?あとは美加だけかあー!?」
「お母さんの支度があるんだからー!?」
「早く決めちゃおうぜー!!?」
と和雄が言ったのでした。

「わかったわよー!?」
「じゃあーねえー!?」
「クリームシチュー!!?」
と美加が答えたのです。すると、
「じゃあー!?決まったなあー!?」
「当然ジャンケンだ!!?」
と和雄がうれしそうに言ったのでした。

ここしばらくは兄弟でジャンケンをやっていなかったのですが、
三人の中で一番強いのは和雄で、
美加が一番弱かったのでした。

「むかしはお兄ちゃんが一番強かったけど!?」
「今はどうかなー!??」
と修二が不敵な笑いを浮かべそう言ったのでした。
そして三人でのジャンケンが始まったのです。
「最初はグー!!!」
「ジャンケンポン!!!」
そう言って始まったのでした。

最初のジャンケンで美加が負けたのです。
それから和雄と修二がジャンケンをしたのですが、
3回続けて”あいこ”でした。
そしてとうとう最後に修二が勝って、
その日の夕飯はカレーに決まったのでした。






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