妙なこと 第十七話 (13)

いつもと同じに朝早く起きた美津子は、
着替えてから夫婦の部屋を出ると、階段を上がり、
修二の部屋へ行ったのでした。

美津子はドアをノックし、
「しゅうじー!!?」
「ほんとに起きるのー!?」
と言ったのです。すると、
「もうそんな時間かあー!?」
と修二は言うと、
「今行くー!!?」
「ファンヒーターのスイッチ入れないでよー!?」
と、ドアに向かって言ったのでした。

急いで起き上がると、
修二は着替え始めたのでした。
急いで着替えを終えると、
階段を下り、急いでトイレに駆け込んだのでした。

「あー!?すっきりした!!?」
と言うと修二は、急いで台所に行ったのでした。
しかし誰もいませんでした。
美津子は洗面所にいたのです。
洗面所から物音がしていたので、
修二はすぐに洗面所へ行ったのでした。

「お母さん!?」
「もう顔洗ったあー!??」
と修二が言うと、
「はい!洗いましたよー!?」
「あなたも洗いなさい!?」
と美津子が言ったのでした。

「じゃあー!?すぐ洗うから!?」
と言ったあと、
「ファンヒーターのスイッチ入れるの待っててよー!?」
と修二がまた言ったのです。すると、
「まさかあなた!?」
「わたしと同じこと経験したんじゃないわよねえー!??」
と美津子が言ったのでした。

すぐに手を洗い、
「同じことってえー!??」
と顔を洗いながら修二が言うと、
「お母さんねっ!きのうの朝なんだけどー!?」
「ファンヒーターのスイッチを入れようとしたら!?」
「スイッチを押す寸前にスイッチが勝手に入ったのよー!?」
と美津子が言ったのです。

急いで修二は顔を上げ、タオルで拭くと、
「うそー!!??」
「お母さんもー!??」
「俺もだよー!?」
と、びっくりして大きな声でそう言ったのでした。

「やっぱり!!」
「わたしだけじゃなかったんだわねえー!?」
と少し安心したように美津子は言うと、
「じゃあー!?」
「きょうは修ちゃんやってみてくれるー!?」
「台所のファンヒーター!!?」
と言ったのでした。

「うん!!?」
「きのうは居間のファンヒーターだったから!?」
「やってみるよー!?」
と修二は言うと、
「ズッ・ズッ・ズッ・ズッズン!!」
「きてます!」
「ハンドパワーです!!」
とうれしそうに言ったのです。

「それってえー!?」
「ミスターマリックの音楽だよねえー!?」
「なんで今なの??!」
と美津子が不思議そうに言うと、
「だって!!?」
「なんか超能力みたいじゃん!!?」
と修二がうれしそうに言ったのです。

「あれってさあー!?」
「マジックだよー!?」
「100%(パーセント)できることだからさあー!?」
「でも!このへんな現象は、できる時とできない時があるんだから!?」
と美津子が言うと、
「いいじゃん!?」
「好きなんだから!?」
「このフレーズと音楽!!?」
と修二が言ったのでした。

「まあー!?いいけど!!??」
と美津子が少し笑いながら言うと、
ふたりは揃って台所へと向かったのでした。

台所のファンヒーターの前に来ると、
「じゃあー!?やってみて!!?」
と美津子がスイッチのところを見つめ言ったのです。
すると修二は、
「じゃあー!?いくよー!?」
と言ってひとさし指をゆっくり近づけていくと、
スイッチに触(さわ)る寸前に緑色のランプが点灯し、
スイッチが入ったのでした。

きのうの朝起こったことと同じことが、
きょうの朝も起こったのです。

スイッチが入ると、
「きてます!きてます!!」
「ハンドパワーです!!」
と修二が人差し指を立て、うれしそうに言ったのでした。

「修二!見たわよねえー!?」
「間違いないわよねえー!?」
と少し興奮気味に美津子が言うと、
「ハンドパワーです!!」
と修二がニコニコしてそう言ったのでした。






▲Top