

2018年10月
健康寿命を規定~カルシウム不足

9月17日敬老の日、総務省発表によると、70歳以上が2618万人で、国民の5人に1人の割合になったそうです。
さらに90歳以上は219万人と長寿化も進んでいるようです。
人生100年時代を健やかに生きるためには、健康寿命 (健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)を 延伸していくことが大切ですね。
長寿者やその直系家族を対象とした最新の臨床研究により健康寿命を規定する要因が解明されてきました。

今回は、その要因のひとつカルシウム不足についてお話したいと思います。
1日のカルシウム摂取量(左グラフ図参照)は、男女ともにどの年代でも不足しています。
また、カルシウムは、体内に吸収されにくく、さらに、吸収率は年齢(右グラフ図参照)とともに低下してしまいます。


<カルシウム不足になると>
体内のカルシウムは、体重の約1.7%、そのうちの99%が骨や歯に存在します。
残りの1%は、血液中や細胞などに存在し、一定の濃度に保たれることによって、 身体のさまざまな機能が正常に働くよう調整されます。
カルシウムが不足すると、カルシウムパラドックス(右図参照)がおこり、骨の健康だけでなく、 いろいろな病気の原因になると考えられています。
<骨粗しょう症は、寝たきりの原因に>
骨粗しょう症とは、骨がスカスカになってもろくなる病気です。
その患者数は、約1280万人。女性は、男性の3倍になるといわれています。
それは、女性が女性ホルモン(骨量を保つ働きがある)の影響で、閉経期以降に急激に増加するからです。
骨粗しょう症なると、ちょっとした転倒でも骨折しやすくなってしまいます。
中でも寝たきりの原因となる大腿骨頭部(太もものつけ根)の骨折は、70歳以降に急激に増加しています。
このように、カルシウム不足は、骨粗しょう症や骨折の原因の1つとなり、 健康寿命へも影響をもたらします。