ドライブは誰といっしょに(^◇^) 第一話(1)

「おーい!。」「早く乗れよ!。」
そう良太(りょうた)が大きな声で言いました。
「自分が予定より遅れてきたくせに!。」
と、小さな声で瑞樹(みずき)が言ったのです。
「何か言った?!。」と良太が訊くと、
「ううん。何も!。」そう答えた瑞樹でした。
ふたりはこれから友達の家まで行き、
友達を乗せてドライブに行く予定です。

「ちょっと待ってよ!。」
「急いでるときは、必ず何か忘れ物をするんだから?!。」
そう瑞樹が言ったのです。すると、
「だからさっき!。事故があって渋滞してるから遅れるって、
電話掛けたじゃんかあー!。」
と、良太が言ったのです。
「ほとんど動いてないから、30分以上送れるって言ったじゃん!。」
「こんなに早く着くんだったら、もう一度電話くれればいいのにー!。」
と、瑞樹は言ったのでした。

「ばーか!。ポリがいるのに、車から携帯で電話したら、
捕まって、余計遅れるじゃんか!。」
「ばからしい!。そんなこともわからねえのかよー!?。」
と、良太が言うと、
「だって携帯で、車から電話掛けてきたじゃんかー!?。」
と瑞樹が言うと、
「その時は、10分ぐらい停まってたの!。」
「だから掛けたんだよー!。」
そう良太が言ったのです。

「そんなことよりよー!。忘れ物ないか確認しろよ!。」
「まあ!。とりあえず財布があれば何とかなるから!。」
そう良太が言うと、持っているポーチを覗き、
「あっ!。お財布忘れた!?。」と、言ってすぐ、
「いいかっ!?。良太が持ってるから!。」
と、瑞樹が言ったのです。
「おーい!。ふざけんなよおー!。」
「早くもってこいよ!。早く!。」
そう言われた瑞樹は、しぶしぶアパートに戻り、
財布を取りに行ったのでした。

「まったく!。いつもながら、油断できないヤツだなあー?!。」
「ふつう!。財布忘れねえだろー!?。」
「ん?!。待てよ、財布に中身は入ってるだろーなあ?!。」
と、良太は言うと、
急いで運転席を降り、瑞樹のアパートの階段を上って行ったのです。
「おーい!瑞樹!。財布あったか?!。」
と、良太が訊くと、
「ううん?!。ない!。」
「おかしいわ?!。」
そう言うと、少し涙ぐんでるのでした。

「いいか!。落ち着いてよく考えろ!。」
「俺が車から呼ぶ前に、お前はどうして待っていたんだ?!。」
そう良太が訊くと、
「どうしてって?!。」と、瑞樹が言うと、
「だから、どんな状態。格好で待っていたんだ?!。」
そう良太が言ったのでした。
「30分遅れるって言うから、きょうは暑いから、
アイスクリームを食べながら待とうと思って、冷蔵庫を開けて、
冷凍室からアイスクリームを取り出して食べていたら、
良太の大きな声がしたんで、急いで食べ残しのアイスクリームを、
冷凍室に戻したの?!。」
と、瑞樹が言って、
冷蔵庫を開け、冷凍室の食べかけのアイスクリームを、見せたのでした。

「おおー!。確かにあるなあー!。」
そう言って良太は、食べかけのアイスクリームを、見たのです。
「それから急いで玄関を出て鍵を閉めて、下に下りたの!。」
「いつもポーチに入れておくのに、入ってなかったの?!。」
と瑞樹が言うと、
「ところでいくら入っていたんだ!?。」
と良太が訊くと、
「3万円!。」と答えたのです。
「3万?!。いいや、もう時間がないし、
あいつらをこれ以上待たせるのも悪いから、行こう!。」
そう言うと、良太は瑞樹の腕を持って、
玄関の鍵を掛けさせると、階段を下りて、いっしょに車に戻ったのでした。

「荷物はトランクに入れたな!?。」そう良太が訊くと、
「うん!。ポーチは持っているから!。」
「お金、良太が払ってくれるの?!。」
と、瑞樹が言うと、
「立て替えて貸すに決まってんだろ!。」
「レストランはもう予約してるんだからあー!?。」
そう、ぶっきらぼうに言ったのです。
そして自分のポケットから財布を出し、
中から1万円札3枚を取り出すと、瑞樹に渡したのです。

瑞樹はうれしそうにそれを受け取ると、
「サンキュー!。」
と言って、ポーチの中に入れたのです。
「ああ!。よかった!。持つべきものは、友達ね!。」
と、言ったのでした。


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