

2017年4月
家庭常備薬・漢方軟膏


紫雲膏・神仙太乙膏
紫雲膏と神仙太乙膏とは、両者ともやけどや外傷などの皮膚障害に用いられる漢方軟膏です。
ほぼ共通する疾患に用いられますが、それぞれの適応には特徴があります。
紫雲膏(しうんこう)
中国の明代に珍実功が著した「外科正宗」に記載されていた潤肌膏をもとに、江戸時代の名医、華岡青洲が創案した軟膏です。
<成分> | トウキ・シコン・ゴマ油・ミツロウ・豚脂 |
<効能・効果> | ひび・あかぎれ・しもやけ・魚の目・あせも・ただれ・外傷 火傷・痔核による疼痛・肛門裂傷・湿疹・皮膚炎 |
<特徴> | 赤紫色でゴマ油の香りの軟膏 高い保湿作用と肉芽形成作用(組織修復作用)があります。 患部が乾燥気味で、赤くなったり、膿がでたりしていない場合 に用いられます。 |

火傷の場合、
患部を水で十分に冷やした後、実際の患部は目に見えるより広範囲なので広めに直接または、ガーゼ等にたっぷりつけて用います。
神仙太乙膏(しんせんたいつこう)
中国の宋代に編集された「太平恵民和剤局方」に収載されている軟膏で、 広く万能的に使え、優れた効果のあるところから「神仙」と名付けられたそうです。
<成分> | トウキ・ケイヒ・ダイオウ・シャクヤク・ ジオウ・ゲンジン・ビャクシ・ゴマ油・ミツロウ |
<効能・効果> | かゆみ・軽いとこずれ・切り傷・虫刺され・やけど |
<特徴> | 黄色で独特な臭い(カレーのような臭い?と言われていますが・・・)の軟膏。 清熱と保湿、両方の働きをもつバランス型で、肉芽形成作用も高いので、幅広く応用できます。 使用時のポイントは、ガーゼを使う場合は、神仙太乙膏を多めに、直接塗る場合は、すり込まないようにします。 |

効能・効果には、記載されていませんが、近年、アトピー性皮ふ炎に、漢方軟膏を使われる方がいらっしゃいます。 店頭でも、「紫雲膏と神仙太乙膏とどちらが良いですか?」とご質問を受けますが、症状によって使い分けていただきたいと思います。 ”どっちかしら?”と迷われたら、ご相談くださいね。
100%天然成分の漢方軟膏
簡単にご紹介しましたが、家庭の常備薬として、備えておくと便利ですよ。
ただし、漢方軟膏は、衣服その他に色うつりしやすいので、ご注意ください。