ケッタイ小説 ふたりの会話(1)

近所の主婦ふたりが、道で出会ったのでした。

「奥様!?きょうも暑いですわねえー!!?」

「ほんと!。暑いですわねえー!?」
「このあいだは、ありがとうございました!?。」

「えー?なんでしたっけえー??!」

「メロンですわよー!?メ。ロ。ン。」

「あああー!?メロンねえー!??」
「うちの親戚(しんせき)の者が、メロンの・・・??」
「えーとー??なんていう名前でしたっけえー!??」

「お、ほっほっほっほっ!!?。」

「奥様!?」
「親戚の方のお名前なんか、わたくし知りませんことよ!??。」

「いいえ!?そうじゃありませんのよー!??」
「メロン作ってる人で、一番偉(えら)い方のお名前ですのよー!?」

「メロン作っている方でですかあ??!。」

「ええー!???」

「く、くみあいちょう(組合長)さんのことですか??!」

「そうです。そうです!。」
「うちの親戚の者が、メロンの組合長しているんで、送ってきたんですのよ!!?」

「へえーそうなんですか!?」
「貴重でお高い物をすいません!?」
「一個でしたけど!!。」

「いいえー!?とんでもない!!?」
「ご近所にお配りしたら、たりなくなったので!」
「もう100個。送ってもらったんですのよー!!?。」
「今度は、じ。ば。ら。(自腹)で!!。」

「それはたいへんでしたわねえー!!??」
「お金もないのに!!!。」

「いいえー!しょっちゅうそういうことがありますのよー!!?」
「ですから、金庫のお金がすぐ足りなくなるんで!!」
「お隣の土地に銀行を作らせたんですのよー!!?」

「えっ!!??いつー??!。」

「このあいだですわよー!?この、あ。い。だ!!。」

「そうですかあー!??」
「それは気がつきませんでしたわ!!??。」
「おほっほっほっほっ!!?。」

「ところで奥様!?うわさで聞いたんですけど!!??」
「このあいだ政府のお役人がお宅に来たんですって??!。」
「何かあったんですか?!」

「ああー!?あのこと!??」
「たいしたことないんですのよ!!?」
「大阪城と姫路城。ご存知ですわよねえー!??」

「もちろんですわ!!?」
「学生の頃、見学に行きましたものー!?」

「あれなんですけど!!。」
「国のものだということになっているんですけども!!??」
「実はうちの物なんですー!?」

「えっ!??。どういうこと??!。」

「名義を貸してあるんですのー!?」
「いわゆる”名義貸し物件”っていうのかしらねえー!!??」
「わたくしもよくわからないんですけど!!?。」
「先祖代々。うちの物らしいんですよねえー!!??」
「だから!。国宝の担当者が変わるたびに、うちに来るんですよー!!??」
「まったく大変ですわよねえー!??。」
「お役所勤めも!??。」

「へえーそうなんですかあー!??」
「知りませんでしたわー!!??」

「担当者が大変困るので、内密にしてくださいね!!?」
「奥様は、口が堅いっていうので有名なので!!。」
「お話したんですから!!??。」

「わかってますわよー!?」
「絶対しゃべりませんわ!!?。」
「というかあー!?。しゃべれませんわ!!?」
「こんなホラ話!!。」

「あーあ!、おもしろかった!!。」
と、ひとりが言うと、
「ほんと!、おもしろかった!!。」
と、もうひとりが言ったのでした。

そしてふたりの主婦は、
ニコニコしながらその場から、
お互い違う方角に歩いて行ったのでした。


もしもこのふたりが会話したらの物語です。
会話の中に真実が見え隠れしています。
一話完結で、全九話です。
「この続きを読んでやってもいいよ!」
と思っている方は、次へ(第2話) をクリックしてくださいね。






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