ケッタイ小説 ふたりの会話(3)

いつもは空を飛んでる鷲(ワシ)さんと鷹(タカ)さんがなぜか道で出会ったのでした。

「ワシさん、お久しぶりですねえー!??」

「これは、これは、タカさん!?」
「お久しぶりです!?」

「ワシさん!ところで息子(むすこ)さんのお加減(かげん)は?」

「ありがとうございます。」
「ワシとしたことが、しつけを怠(おこた)ったばかりに!?」
「あれほど”人間のいる所には近づくな”と言っておいたのに!!?」
「皆さんにご心配をおかけしまして!?」
「申し訳ございません。」

「いいえ!とんでもない!?」
「タカのくせに、人間に色目を使うものも多くて困ります。」
「人間にへつらって、操(あやつ)られている者もいますから・・・!?」

「おかげさまで、もう毛がはえてきたんですよ!!」

「それはよかったですねえー!?」
「どこのケガだったんですか?」

「頭。あ、た、ま、なんですよー!!?」

「それはお気の毒に!!?」
「危(あや)うくハゲワシになるところでしたねえー!??」

「そうなんですよー!!?」
「遠い親戚に、評判のよくないワシがいるらしいんです!。」
「腐(くさ)った肉をあさって生活する。」
「”掃除屋”と言われてるのがいるそうなんです!!?」
「お恥ずかしい限りです。」

「それでもワシさんのところはいいですよー!?」

「えっ!?何がですかあー??!」

「実際にいるんですから!!?」

「と、いいますと??」
「何か気にかかることがあるんですか?!。」

「ええ、まあ?!!」

「ところでタカさん!?うわさで聞いたんですけど!!??」
「こんなこと言っていいのでしょうかねえー??!」
「あくまで、うわさなんですけど!!?」

「何ですかあー??!」
「はっきり言ってください。」
「遠慮しないで!?」

「じゃあ!遠慮なく言いますけど!!?」
「わたしのとこには遠い親戚にハゲワシがいるので・・・」
「まあー!?しょうがないと思っているんですが!?」
「タカさんのとこにも、評判のよくないハゲが、いるそうですねえー!??」

「それなんです!それなんです!!。」
「まったく、人間ってヤツはいいかげんですねえー!??」

「いいかげんは、今に始まったことじゃあないでしょう!」
「タカさん!!?」

「まあーそれはそうですけど!!?」
「それにしてもふざけているんですよー!!?」

「ええー??珍しいですねえ!?」
「タカさんが、そんなにむきになるなんて!!?」

「聞いてくれますかあー?!」

「ええ、えー!?いいですよー!。」
「ワシさんがうわさで聞いた、その評判のよくないハゲっていうのは・・・」
「ハゲタカのことですよねえー!!??」

「そうです!そのハゲタカのことなんですよ!!?」
「わたしが怒っているのは!!?」
「まあ!?失礼ないいかたして済みませんが!?」
「わたしの親戚にはそんな腐った肉をあさって生活する。」
「そんな者はいないんですよ!!。」

「えー!!そうなんですかあー??!」
「じゃあー!?やっぱりうわさだったんですかー??!」

「バカな人間どもの誰か知りませんが!??」
「かってにそう呼んだんですよー!!?」
「鷹(タカ)と鷲(ワシ)の区別もつかない人間が!!?」

「って!ことは・・・ワシの遠い親戚のハゲワシを!?」
「タカと、見間違えたってことですか??!」

「そうなんです!!。」
「その通りなんです!!。」

「じゃあー!?ワシのせいじゃーなかったんですねえー!!?」

「そうですよ!。」
「悪いのは勝手にハゲワシと、タカの区別もつかなかった!!。」
「人間です!!。」

「ワシは、ワシだけにワシのせいかと思いました!?」
「人間のヤツラのしわざだったんですね!!。」
「実際にいないハゲタカって言う名前をつけたのは!!?」

そう言うと、ワシさんはうれしそうにしたのでした。
ほんとのことを教えたタカさんも、うれしそうにしたのでした。

そして鷲(ワシ)さんと、鷹(タカ)さんは、おじぎをすると、
ニコニコしながらその場から、
お互い違う方角に、歩いて行ったのでした。

もしもこのふたりが会話したらの物語です。
会話の中に真実が見え隠れしています。
一話完結で、全九話です。
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