ケッタイ小説 ふたりの会話(5)

ドリアンさんと納豆さんが道で出会ったのでした。

「これはこれはドリアンさん!お久しぶりです。」

「はいはい、お久しぶりですねえー!?」
「納豆さん!?お元気ですか?」

「おかげさまで健康です!。」

「お互いとも匂いには、ほとほと困っていますね!?」

「とんでもない!納豆さんのとこでは!?」
「最近、匂わない納豆があるそうじゃーないですかあ?!。」

「そうなんです!。すこし高いですけどおー!?」

「わたしのところでも誰か研究して!」
「匂わないドリアンを作ってくれませんかねえー!??」

「そうですねえ!?」
「いろいろ品種改良された、くだものができているんですから!??」
「できてもおかしくはないと思うんですけど!!?」

「そうですよねえ!?」
「ドリアンさんは、くだものの王様と呼ばれているそうですから!?」
「わたしも自分でくさいと思いますが!?」
「あなたの匂いは、もっと強烈ですねえー!!?」

「まさか、あなたにまでも、そう言われるとは思いませんでした!!?」
「あなたとわたしとは、くさい仲なのに!!。」

「すいません!つい口がすべって!!?。」

「ホテルでは持ち込み禁止のところが多いそうですねえー!??」

「そうなんですよー!!?」
「たくさんの方々に味わっていただきたいのですが?!。」
「味わっていただければ、わたしのよさがわかるんでしょうけど!!?」

「そうですとも!?」
「匂いで敬遠する方が多いと聞いています!。」
「もしよかったら!?」
「匂わない納豆を作った会社に相談に行ったらどうでしょう!??」

「まあー考えときますヨ!!?」

「ところでうわさに聞いたんですが?!。」

「なんですか??!」

「ドリアンさんのところには」
「黄金のトリオが存在してるそうですねえー!!?」

「えっ?黄金のトリオですか・・・??」
「よく、おみやげで売れてるトリオがあるらしいんですが?!。」
「そのことなんでしょうか??!」
「そのトリオなら知っていますけどおー!?」

「それはなんですかあー??!」

「ええ!。ひとつは、ドリアンチップ。」
「もう一つは、ドリアンキャンディー!。」
「最後の一つは、ドリアン羊羹(ようかん)です!!。」

「そ、それです!!。」
「それこそが、黄金のトリオです!!!。」

「へー!?そうなんですかあー??!。」
「ところで納豆さん、話は違うんですが?!。」
「このあいだ、道を歩いていたら関西弁で話してる人がいたんです!。」
「おう!ドリアン って、聞こえたのでわたしが振り向いたんですよー!?」

「そしたら??」
「どうなったんですかあ??!。」

「その関西弁を使う人が腰を抜かして、鼻をつまんで!」
「はいずりながら逃げて行ったんですー!!。」

「それはお気の毒にー!?」

「なぜ?おう!ドリアンって言ったのか不思議でなりませんでした!?。」

「それは関西弁で、人を脅(おど)すときによく使う”ことば”ですよー!!?」
「おんどりゃあー!。ってね。」
「それをドリアンさんが、聞き間違えたんですよ!?。」
「まあー!?似てるって言えばー、似てますねえー!!??」

「それからは、関西弁の人が来ると気を使っちゃいます!。」

「ぜんぜん気を使わなくて大丈夫ですよー!?」
「悪いことばを使って脅かしてるような人は、」
「どんどん積極的に、近づいて行ってください!!?。」
「できたら、おみやげに黄金のトリオを持ってネ!!。」

「そうですか?いいんですね!!。」
「積極的に今度から近づきましょう!?。」
「わたしには、おう!ドリアン って聞こえる人のところに!!。」

そしてドリアンさんと納豆さんは、おじぎをすると、
ニコニコしながらその場から、
お互い違う方角に、歩いて行ったのでした。

もしもこのふたりが会話したらの物語です。
会話の中に真実が見え隠れしています。
一話完結で、全九話です。
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