ケッタイ小説 ふたりの会話(4)

禁煙者(きんえんしゃ)ノスモクさんと、
喫煙者(きつえんしゃ)のタバコさんが道で出会ったのでした。

「ノスモクさんお久しぶりです!。」

「いやあー!?ほんとにお久しぶりです。」
「タバコさんお元気ですか?!。」

「えー!?なんとかやっています!!?。」

「相変わらず、タバコ吸っているんですか?。」

「ええー!今のところ病気もせずに、毎日1箱はかならず!!」

「病気になってからじゃあー遅いんで。」
「いっそのこと、やめたらどうですか?!。」

「家内にも言われていますよー!?毎日!!?。」

「そうですかあー!??」
「でもやめれないんですよねえー!?」

「そうなんですよ!。」
「これがどうしてもつい手持ち無沙汰(ぶさた)でね!?」
「でも最近ではいろんなところで、喫煙者は締め出しをくらってますよ!!?」

「このあいだも親戚の葬式に行きましたら!?」
「葬議場(そうぎじょう)も火葬場(かそうば)も中は禁煙でした!?。」
「外に作ってある小屋の中で灰皿が置いてありまして」
「そこで、みんなの視線を感じながら吸いましたよ!!?。」
「なんか犯罪でも犯してる心境でしたよ!!?。」

「そうでしょう!そうでしょう!!??」
「誰でも喫煙が身体(からだ)に悪いってのを、知っていますからねえー!?」
「それなのに吸うか!!?」
「って、感じでしょ!?。」

「”喫煙権という権利はないのか”って言いたくなりますよ!!?。」

「聞いた話によりますと!?」
「同じ部屋の中で10本タバコを吸った人がいると。」
「吸ってない人も、1本吸ったと同じ状態になるそうですよ!!?。」

「それで最近吸わない連中が、吸うのだったら部屋を出て吸って!!?」
「そんなこと言うんですよ!!?」
「まったく困った世の中です!。」
「むかしは、政府が専売として売っていたんですからねえー!??」

「わぁっはっはっ!!。」
「そうでしたねえー!?」

「ノスモクさん!?」
「笑い事ではありませんよ!!?」
「タバコを吸わせてタバコ税として税金は取り!!」
「しかも病気で早く死んだ人は!?」
「年金も、支払わなくてもいいんですからねえー!!?」
「国は二重の儲(もう)けですよ!!?。」

「むかしは、そういう考えがあったかもしりませんねー??!。」
「酒飲ませて、タバコ吸わせて、早く死なせて!!?。」
「年金払わなくて済む!!?。」

「でも今は医療費負担が多いので!?」
「健康で少しでも長生きしてもらって!!?。」
「税金を確実に取る方法に、切り替えたのかもしれませんね!!?。」

「健康で、税金を多く長く納めてくれる人が、国にとって必要な人!?」
「って、ことでしょうかねえー!??。」

「もしわたしがこのまま喫煙を続けたら・・・」
「それは国にとってありがたい人ってことになるでしょうねえー!??」
「もっとも早死にしたらの話ですが!??」

「それでもタバコの税金を納めてるから国にとって必要な人ですね!。」
「でも、喫煙者は禁煙者よりはるかに病気になる確率が高いので!?」
「国の医療費負担のことを考えると・・・?」

「わかりましたよー!!?。」
「結局、タバコはやめろって、言いたいんでしょ!!?。」
「わたしのような喫煙者は、国家反逆者(こっかはんぎゃくしゃ)扱(あつか)いなんですね!!?。」
「最近、どうもみんな犯罪者を見るような目で、見るんですよ!!?。」

「だったら、健康のためにタバコの吸いすぎには注意しましょう!?。」
「なんてこと書かないで!?」
「国の医療費負担が増えないように!!。」
「タバコはやめましょう!。」
「健康に注意しましょう!。」
「って、書いたらいいのにねえー!??」

「まーあ。そうなると、タバコを売るなってことに!!?」
「人間に害になるものを売るなって!!?」
「そういうことになるので、たぶん書かないんでしょうねえー!?」
「そのところはよくわかりませんが??!。」

「でも今は、タバコや酒だけでなく。」
「人間に害になる、いろんなものが増えてるような気がしますねえー!!。」

「そうですね!!。」
「その多くは、見た目ではわからないものがすごーく多いです!!。」
「安全、健康に対する企業責任が問われる時代ですよ!!。」
「健康に対する自分自身の責任が、問われる時代だともいえますね!!。」

「わかりました!。わかりました!!。」
「結局!タバコをやめろってことですね!!。」
そう言うとタバコさんは、燃やすゴミのゴミ箱に、
タバコの箱を投げ入れたのでした。

そしてノスモクさんと、タバコさんは、おじぎをすると、
ニコニコしながらその場から、
お互い違う方角に、歩いて行ったのでした。

もしもこのふたりが会話したらの物語です。
会話の中に真実が見え隠れしています。
一話完結で、全九話です。
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