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「感謝だね〜」 163-130311 永山 進 牧師 |
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私がアメリカの教会で初めて目にした光景は、賛美歌を口ずさみながら掃除をしている二人の老婦人の姿だった。その一人の方は蜂須賀さん、当時70歳後半。 彼女の口癖は、どういう時にも「感謝だね〜」だった。ある時、友人が我々仲間を乗せ、サンフランシスコから、教会のあるサン・レアンドロに向かっている時、フリーウェイの最後尾を運転していたにもかかわらず、運悪くスピード違反で捕まってしまった。彼もまた貧乏学生。20ドルの罰金は大きかった。 教会につくなり彼は怒りを覚えながら、その事を蜂須賀さんにぶちまけた。すると即「感謝だね〜」の言葉が返ってきた。彼女いわく「事故に遭わなくて良かったね。感謝だね〜」と言いながら20ドル札を彼の手に握らせた。 その彼女が自宅のバスルームで転び、大腿骨を折ってしまった。病院に見舞いに行った私達は、今度こそは彼女の口から「感謝だね〜」の言葉は聞けないだろうと思った。彼女は髪を三つ編みにしてベッドにもたれていた。私達は口々に「蜂須賀さん、大変だったね」と言った。すると開口一番、彼女のロからは、例の「感謝だね〜」の言葉が返ってきた。私は直ぐに「何故感謝なの?」と尋ねた。 すると彼女いわく、「炊事も洗濯もしなくて、聖書をゆっくり読み、一日中お祈り出来るから感謝だね〜」。 彼女の生い立ちは決して恵まれたものではなかった。彼女の両親ま、まだ小さかった彼女を日本に残したまま、「アメリカで一旗上げよう」と行ってしまった。彼女自身も大きくなってからアメリカへ渡って行ったが、その生活は楽ではなかった。その頃のアメリカは日本人に対する人種偏見がひどく、低賃金で働かされていた。 そんな蜂須賀さんを変えたのは、聖書を通して知った真の神、救い主イエス・キリストの、永遠に変らない愛であった。 聖書に、「わたしは決してあなたを離れず、また、あなたを捨てない」(ヘブル13章5節) また、「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。‥・」(イザヤ43章4節) 蜂須賀さんとの出会いは、私にとって生涯忘れる事のできない素晴らしい想い出となった。天国での再会が楽しみである。
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