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「無縁社会 でも、あなたは一人ではない」
152-110404
永山 進 牧師

 某テレビ局で、「無縁社会」と言う番組が放映された。「自分は社会から必要とされていないのではないのか。何の為に生きているんだろう」。「誰一人相談する相手も、話し相手すらも居ない」。「自分が死んでも、誰も気付いてくれないんじゃないか。寂しい。」等々。それぞれの心境を語っていた。中には、自殺を図ろうとした人もおり、事態は想像以上に、深刻である事を思わされた。

現代社会は核家族化が進み、昔のような大家族は、特に都市部ではほとんど見かけなくなっている。それに加えて、今日の社会形態は、契約社員や非正規社員が増えており、社会全体が、かつてのような人間の絆が生まれにくくなっているようだ。もし、この状態が続いて行くようなら、それこそ日本の将来に大きな不安をもたらす事になりかねない。

 かつて、わたしが某教会で奉仕していた時、一人の男性が電話をかけて来た。「今、自殺をしようと、家を出てきたのだが、その前に、誰かに話を聞いてもらえないかと、電話帳を見たら、そちらの電話番号のところに、『すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。』(マタイ11章28節)とあったので、電話しました。話を聞いてもらえますか。」と言うことだった。最初、電話で話を聞いていたが、直接会って、話をした方が良いのでは、と思い、彼のところに出向いて行った。幸い、話している間に、彼は気を取り直してくれた。後日、彼は、教会に来るようになり、神様から愛されていることに大きな喜びを見出し、更に、人生の意義と、新しい価値観を発見した。今は、はつらつとした日々を送っているようだ。

 聖書に、「人が、ひとりでいるのは良くない。わたしは彼のために、彼にふさわしい助け手を造ろう。」(創世記2葦18節)と書かれている。これは人類の父祖、アダムとエバの創造にまつわる記述である。このことからも、人は、ひとりで生きられる存在ではなく、助け合ってこそ、生きられるのである、ということがわかる。

 私も、振り返ってみると、本当に、多くの人に助けられて来た。残りの人生、少しでも他人の役に立てたら、と思うこの頃だ。




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