ブログ小説 妙なこと 第一話 (1)

久しぶりに晴れ渡った日曜日の昼下がり、
5月のゴールデンウィークも10日ほど過ぎた日のことでした。
「きょうは、みんなで昼飯でも食いに行こうかぁー!?」
そう言ったのは父の義雄(よしお)でした。
家族が休みの日に全員揃ったのは久しぶりのことでした。

母の美津子(みつこ)もうれしそうに言いました。
「ほんとに久しぶりねー、全員揃うなんて!!」
「いつだたっけ!みんな揃ったのは?!」と、次男の修二(しゅうじ)が言いました。
「俺は、研修でずーといなかったからなー?!正月か!?」
長男の和雄(かずお)が言いました。

「お兄ちゃん。何、言ってんの!?お正月は1日しか家にいなかったくせに!!」
と、長女の美加(みか)が言いました。
「そうかぁー、そう言われてみればそうだなー!?」
「じゃーいくかぁー!?」と、和雄が言うと、
みんな各自(かくじ)、支度(したく)にかかり始めました。

「お父さん、俺運転しようか?!」
「もう免許とって1年以上過ぎたんだぜ!」と和雄が言うと、
「ばかいえ!お前の運転じゃー命がいくらあっても足りないよ!!?」
と義雄が言ったのです。

「わたし、お兄ちゃんの運転じゃー行かない!」と美加が言うと、
「俺も!」「おかあさんは?」と、修二が言いました。
「わたしはどっちが運転してもいいけど!?」と美津子が言うと、
「すげーおかあさん、度胸いいじゃん!」と修二が言い、
「みろ!わかる人にはわかるんだよ!俺の運転のうまさは!!」
と、和雄がえらそうに言ったのでした。

美津子はそういう運転のうまさとかいうことよりも
和雄に気を配ったつもりで言ったのです。
けっきょく、運転はいつもどおり、父の義雄がしていくことになりました。
「さあ、早く乗れよ12時前に店に入らないとまた並ばなければならないから」
と、義雄が言ったのです。
家族みんながてんでに返事をしました。
「はぁーい」。「よしゃー」。「わかってます」。「どすこい、どすこい!」。

もう11時30分を5秒ほど過ぎていました。
急がなければなりません。
車で20分ほどのところに安くてそれなりにおいしいお店があります。
休みの日には、12時を過ぎてから行ったのでは、
30分は並ぶのを覚悟で行かなければなりません。
いつもその店に行く人たちは、みんなそれを知っているので、
12時にはもうかならず満席になっています。

店には10分ほど前に着きました。
いつも先に行って順番をとるのは修二の役目です。
それに生きがいを感じてるようです。早いです。
店員が「お客様、何名さまでしょうか?」、すると修二が、
「お客様、大人5名さまです!」と言うと、
店員が、「プッ」と言うのを楽しみにしているようです。
全員席についてメニューを見ています。
いつも頼むものはほとんど変わらないのに!!。

安くておいしい店というのが通りが1つ違うところにもあるのですが、
いつ店の前を通っても駐車場がほとんどいっぱいですが、
そこの店には1度しか行ったことがありません。それっきり行っていません。
家族全員、口をそろえて言います。
「あの店、うまくないのにいつも駐車場がいっぱいなんておかしいよ!」

確かにどっちがうまいかと訊ねられれば、
間違いなく、この家族が行く店のほうがうまいです。
昼食時、夕食時は、この家族の店のほうが入っています。
しかし、それを過ぎると一気に少なくなります。
もうひとつの店のほうは、昼食時、夕食時を過ぎてもやや減りますが、
ひっきりなしに人が来ます。
この家族のミステリーのひとつです。

私は、これはテレパシーわざを使う宇宙人の仕業とにらんでいます。
テレパシーを使うので証拠がありません。
テレパシーの声を録音する機械があれば証明できるのですが?。
残念です!!。
あの家族が食事を終えて出てきたようです。


「この続きを読んでやってもいいよ!」
と思っている方は、次へ (NEXT)をクリックしてくださいね






▲Top