本来コーヒー紅茶などをお出しして、御もてなししなければいけませんが、
インターネットの都合上それができません。
ご自分で好きなものをイッパイ用意していただき、
キーボードなどの上にこぼさぬよう注意して、
ときどき飲みながらでもお読みくださいませ。 m(_ _)m
「お父さん、出たわよ!」
美加が、バスタオルで髪の毛を拭きながら、
義雄のとこに来て言いました。
「おお、そうか!」「じゃあー、入るとするかなぁー!?」
義雄はそう言って服を脱ぎ始めました。
「お父さん!やめてよ!?お風呂場で着替えて!!」
と美加が言うと、
「わかった、わかった!」そう言うと、
途中まで脱いだ服を持って、風呂場に向かった義雄でした。
「お父さん、着替えは?」と、美津子が訊くと、
「おお、タンスから出してこっちにある!」と義雄が言い、
「洗い物は洗濯機の中に入れといてね!」と、美津子が言ったのです。
「洗濯機、回ってるぞ!」と義雄が言うと、
「また美加ね!じゃー、あいてるカゴに入れといて!?」
と、美津子が言ったのです。
「わかった!」そう答える義雄でした。
「まったく、自分のしか洗わないんだから!?」
「洗剤もお水も、もったいないんだからぁー?!」と、つぶやく美津子でした。
「次は誰が入るんだ!?」そう言いながら、義雄が風呂から出てきました。
「俺はあとにする」「修二お前は?」と、和雄が言うと、
「どうしよーかな、やっぱりあとにするよ」と、修二が言い、
「じゃあ、めし、めし」。「おい!、美加は?」と義雄が訊ねると、
「おねえちゃんは、まだ髪の毛のお手入れさ!」と、修二が言ったのでした。
「まったっくあいつ、時間かけったって金髪になるわけじゃないのに!」
と、和雄が言ったのです。
「修ちゃん、呼んできて!」と、美津子が言うと、
「またおれ、たまにはお兄ちゃんに言ってよ!」と修二が言ったのです。
「よし!おれが呼んできてやる!!」そう言って和雄が席を立ったところで、
「お、ま、た、せ。!」と言いながら、美加が来ました。
みんなで美加のほうを見ました。
みんな口々に言いました。
「なんだ!」。「あれー!」。「およよ!」。「ごっつあんです!!」。
「おまえ、あたまがおかしくなったのか?!」と和雄が言いました。
すぐ続けて修二が言いました。
「おまえ、あたまがよくなったのか!」
ワンテンポ遅れて義雄が言いました。
「おまえ、金髪に染めたのか?!」
「違うわよ!、か。つ。ら。」と、美加が答えると、
「小五郎か!」と、間髪を入れずに言ったのは、義雄です。
「お父さん、面白くない!」そう言ったのは、美津子でした。
よくわからない家族です。
「今度、学園祭でファッションショーに出るのよ!」と美加が言うと、
「いつだ!」そう義雄が訊ねると、
「再来週。お父さん来ないでよ!」と、美加が言い、
「そりゃー、そうよねえー?!」と、美津子が言ったのでした。
「おねえちゃん!かっこいいじゃん!!」と、修二が言ったのです。
美加は、けっこう頭もよく、美人で、ユーモアもあり、
修二の自慢の姉です。
「へ、へ、へ、へ。どう?!わりと似合うでしょう!?」と、美加が言うと、
「ほんと!似合うわよ!」
「どうしたの、それ?」と、美津子が言いました。
「友達の知り合いの人から借りたの!」と美加が言うと、
「美加、そいうのってたかいのよ!なくしたらたいへん!!」
「弁償しなきゃー、ならないじゃないの?!」と、美津子が言ったのです。
「そうだって、だからあした返すのよ!」と美加が言うと、
「ならいいけど!早くしまってご飯にしなさい!!」
と、美津子が言ったのでした。
「はぁーい」と、ルンルン気分で答えた美加だったのです。
おとこ3人は、ぽかんとした表情で美加の後姿を見ていました。
修二が言いました。
「お姉ちゃんきれいだったけど、女ってすげーなー!?」
「髪の色と形であんなに変わるなんて!」
「修二!?きれいなんていうなよ!あいつ調子にのるから!!」
と、和雄が釘をさして言いました。
「”似合ってる”って言っとけばいいからね!」と、美津子も言いました。
「ほんとに、女は化け物だなあー!?」と、余計なことを義雄が言ってしまったのです。
「わたしも女よ!」「化け物??!」
と、美津子が義雄のほうに顔を向けて言いました。
「一般論を言ったまでで、お母さんのことを言ったわけじゃーないから!?」
「ね。ね!!」と頭を振りながら、弁明する義雄でした。
美加がこっちに来ます。
それを見た義雄が、わざと大きな声でいいました。
「久しぶりだなー、全員で夕飯食うなんて!」「わぁ、はっはっ!」
和雄が調子を合わせて、
「お父さん、最初はビールからにする?!」
「そうだなー、ビールにするか!」
和雄が気を利かせて、
「お母さん、ビール少し飲む?」と言うと、
「そうねえ、少し飲もうかしら?!久しぶりにみんな揃ったから!?」
と、美津子が答えました。
「美加と修二は、何にするんだ?」と義雄が言うと、
「おれは、ウーロン茶。もう注いであるよ!」と修二が言い、
「わたし、ワイン。しかも赤の!」と、美加が言ったのでした。
「おまえ、ワインは一気に飲まないと、味が落ちちゃうんだぞ!」
「お父さん、ビールのあとワインでいい?」と和雄が言うと、
「お父さんは何でもいいんだよねえ!?お父さん?!!」
と、美津子が顔をのぞくように言ったのです。
「うん。俺は、何でもいい!」と、義雄は言ったのですが、
少し笑っているけど、少し引きつっているようでした。
「じゃー、乾杯するか!?」と、義雄が言うと、
「なんに乾杯するの?」と、修二が訊いたのです。
「そうだなー、じゃあ!?みんなの健康を祝してかんぱい!!」
義雄がそう言ってジョッキを高く上げたのです。
みんないっせいに、手に持っているものを上げたのでした。