妙なこと 第一話 (7)

「修二、行くか?!」と、和雄が言い、
「うん!」と修二が答えると、
「居間へ、い、ま、行くか?!」
と、少し大きな声で歩きながら和雄が言ったのです。
「プッ!」と、京子が笑いました。
それを聞いた和雄は、ニコニコしながら居間に行きました。

居間に行ったのを見届けた美津子が、言いました。
「困るのよ!お父さんに似てきて、くだらないシャレを言うんで!?」
と、美津子が言うと、
「でもいいわよー、お兄ちゃんやお父さんのは単純で!」
「修二のは、わからないときが多いいもの?!」
「こういう、程度の高いシャレはお姉ちゃんにはわからないかな?!」
「なんて言うのよ!」
「そんなことより、京子だめよ!あんな単純なシャレで笑ちゃー!?」
「お兄ちゃん、調子に乗るから!」と、美加が釘をさして言いました。

似たもの兄妹(きょうだい)であります。
「京子さんとこも、たいへんねー?!」
「去年からお兄さん中国へ転勤で、今年からお父さんも中国ですって!?」
と、美津子が訊ねると
「ええ。4月から、出向(しゅっこう)というかたちなんですけど!?」
「父は、”ていのいい左遷(させん)だ!”って言っていましたけど!?」
と、京子が答えました。

「お母さんはどうしていらしゃるの?!」と、美津子が訊くと、
「母は、近くのスーパーにパートで勤めているんです!」
「きょうは遅番(おそばん)で9時までなんです!」と、京子が答えたのです。
「それは、寂しいわねー!?」「それまでここにいなさいよ!」「ね?!」
と、美津子が言うと、
「ありがとうございます!」と、京子が言ったのでした。
「そうよ!帰りはお兄ちゃんに送らせるから!?」
そう言うと、美加は居間に向かいました。

「お兄ちゃん、京子9時に帰るから送ってってね!」
と美加が言うと、
「おお、いいけど9時までいるのか?!」と和雄が言い、
「うん!」「京子のお母さんが今日はパートが9時までだって!」「だから・・・」
と、美加が言ったのでした。

「京子ちゃんのお兄さんも、お父さんも中国だって言ったなー、美加?!」
と義雄が言うと、
「えっ、お兄さんだけじゃーないんだ。お父さんも中国かあー?!」
と、和雄がそう言ったのです。
「そうそう、お兄ちゃんは、知らなかったんだっけ!」と、美加が言うと、
「じゃあ、今は二人っきりか?!」と、和雄が言いました。

「そう、不用心だからときどきお兄ちゃん、京子んちへ行ってあげて!」
と、美加が言うと、
「行ってやりたいけど。来週まではうちから通うけどな。」
「再来週からまた、研修かもしれないからなー、はっきりわからないけど!。」
そう答える和雄でした。
「そうなんだあー!?」と言って、少しがっかりした美加でした。

そんなやりとりを聞いていた、修二が言いました。
「俺が行ってやってもいいよ。バイト代いくらくれる?!」
「何言ってんだ!ボランティアにきまってるんだろ!」と、和雄が言うと、
「未来のお嫁さんのボディーガードなのに?!」と、修二が言ったのです。
「ほんとか!。」と、びっくりしたように、義雄が言いました。
「何言い出すんだ修二。まだ結婚なんか考えていないよぉー」
と、和雄が言うと、
修二が追い討ちをかけて言います。

「だって好きなんでしょ。顔に書いてあるよ!」
美加も加わります。
「ほんとだ!好き、好き、京子って書いてある!!」
「ふざけるな!バカきょうだいめ!!」そう言う和雄でしたが、
きょうだいは、自分も含まれるのだと、言ってから気がつく和雄でした。
「何、騒(さわ)いでるの?美加も行ったきり帰ってこないんだから!?」
そう言いながら美津子が、京子と居間に来ました。

美加もこれ以上からかうと、ほんとに怒り出すと思ったのでしょう。
「行こう、行こう!」そう言って美加が二人を連れて、台所へ戻りました。
義雄がテレビの野球中継を見ながら言いました。
「好きだからといって、結婚するとは限らないからなぁー!?」
「そうだね!」と、和雄が野球中継を見ながら言いました。
きょとんとした顔で二人を見る修二でした。

「最近は、野球も9時までだっていうじゃないか!?」と、義雄が言うと、
「お父さん、うちはだいじょうぶだよー。有線だから!?」
「こういうとき便利だね。有線は!?」と、修二が言いました。すると、
「ばーかぁ。お金を払っているんだからあたり前だー!」
「いいよなー。お前はのんきで!」
「俺は毎月3万づつうちへ入れてんだぞ!」と、和雄が言いました。

「4月に1回入れただけじゃん。5月はまだのくせに!」修二が言うと、
「うるさい!勉強しろ!。宿題はやったのか?!」と、和雄が言い、
「高校なのに、宿題なんかあるわけないじゃん!」
と、修二が言ったのでした。
「どのクラスにも変な奴が2,3人必ずいるよなー!?」
「修二はその中のひとりだな、きっと!」と、和雄が言うと、
「ほめてくれて、ありがとさん!。個性的って言ってほしいねー?!」
と、修二が言ったのです。

「あ、は、は、は、は、」そのやりとりを聞いていた義雄が、大笑いしました。
「お前たち二人。漫才コンビ組めるんじゃあーないか!?」と、義雄が言うと、
「まんざい?!」と言って、和雄と修二が顔を見合わせました。
二人がタイミングを合わせて、両手を挙げて言いました。
「ばんざい!。ゼンザイ!。まんざい!!」
すかさず義雄が言いました。
「面白くない!」。

二人はそれを聞くと、立ち膝をし、テーブルの上に手をのせ、
反省ザルのポーズをとったのでした。
「あ!!、ホームランだ!!。」
と、つい言ってしまった二人でした、と。さ。!!。

これで、お。し。ま。い。

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