これは著者の平岡 久さんがご自身の青春時代であった24、5才の頃の
軍隊の体験をご自身の記録を元に昭和57年まとめ、自費出版にて発行され、
その後2003年に増補改訂版として再版されたものです。
平岡 久さんの許可を得て、ここに全文を転載致します。
著作権は平岡 久さんに帰属します。
よってこの記事の無断転載は厳禁です。
続 あと書き
昭和五十八年八月二日マクラミン峠の下で戦没者の慰霊をして続いて活字にする心算でした。然し活字にする段階で、遺族の感情、生還者の立場、死者の名誉等を考えると、段々内容が恐しくなり、真実の重さを噛みしめました。其れで表現方法を緩める事に考えを決めました。
偶然の事で本年七月二十日、NHKの朝の電話インタビューを受けました。所が其の反響が以外に大きく、活字化に踏み切る決心が出来ました。大恥を掻く覚悟が出来たのです。
最後に重ねて誌します。
此の手記を読まれる人は、戦争を企図し、計画し、命令した人々に対する憎しみの感情をイヤになり、私を異常性格者では無いかと考える人もあるでしょう。其の人は幸せです。地獄の戦場で春秋に富む人生を捨てさせられた、数百万の若人達、此の人達の最後を見、立会わなかった事は大変な幸せです。其の苦しみを体験せずに済んだ事は真に幸せです。私は戦野に屍をさらした人に代わって、万分の一でも良い「こんな不幸な事を二度とやるな」との願いを文字にしたいのです。
平和を願う気持ちだけお汲取り下さい。
昭和六十二年八月
平岡 久
改題・増補あと書き
戦争と餓えと兵士。初版、再版の時、二ヶ所で種々と悩んだ末に粉飾して活字化しました。其れを今回は真実に書き直した点と、巻頭言と世迷い言集で、書き加えました。真実のみで戦争の愚かさを明白にしたのです。
小泉内閣の手で、新たな戦前が暴走中です。呆けた平和病患者の戯言とお笑い下さい。
二〇〇三年五月
平岡 久
次へ続く
2003年5月再版発行
「飢餓の比島 ミンダナオ戦記」より転載 禁無断転載(著作権は平岡 久氏に帰属します。)
※(自費出版他発行分NO.94)
copyright by hisasi hiraoka 2003
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