アナログ音源再生計画 ★特集★
特集 壊れたカセットの修復〜パターン別修復の実践

[0]カセットの分解とテープの接合の実践

事件・事故別修復の実践
[1]子供がテープの中身を引っぱり出してクシャクシャにしてしまった
[2]ラジカセやカーステに巻き込んで途中で切れてしまった
[3]古いカセットのリーダーテープ部分が切れてしまった
[4]カセットハーフがキーキー鳴って再生音まで歪む、ハーフが壊れた

古いカセットのリーダーテープ部分が切れてしまった
特別取り扱いが悪い訳では無いのに、巻き戻しや早送りで突然リーダーテープが切れてしまうことがあります。

 とりわけオートリバースのデッキで切れやすい。事故というには偶然性の部分も多く、取り扱いや再生デッキが悪くなくても発生する厄介なトラブルです。

 原因は磁気テープとリーダーテープを接合しているスプライシングテープの経年劣化です。今までは一部のテープに特に顕著に見られた現象ですが、数年内に古いカセットでは順次必ず起こる事になるためメンテとしては最も重要な作業になると思います。

 しかしテープの途中で絡んだり切れたりする場合と異なり、録音内容が犠牲になることはほとんど無く比較的修復も簡単にできます。

【方法1】リーダーテープと磁気テープを再度接合する
【方法2】リールのハドメに直接磁気テープを巻き付け止める
【方法3】リールに直接磁気テープを巻き付け接着剤で止める

リーダーテープは、カセットの場合テープの保護というよりリールハブの切れ目によって磁気テープに線が入って録音時にドロップアウトするのを防ぐ役割をしています。中にはクリーニングテープの役目をしているものもありますが、録音できる部分では無いのでとってしまっても構いません。以下の方法2・3はリーダーをとって直接ハブに巻き付ける方法で、ここではこれを中心に説明します。

相当以前からFUJIの70年代の一部のテープに集中して発生していたが、21世紀初頭には全てのカセットで起こる現象である。

実際にはレコードのダビングものなど「ええぃ、くっそ〜またかい!」とそのまま捨ててしまったカセットも何本かある(^^;
(1)リーダーテープと磁気テープを再度接合する
これは途中で切れたテープをつなぐ要領と同じなので[0]カセットの分解とテープの接合の実践を参照下さい。この場合のポイントはリーダーと磁気テープは直角に接合されているためそのままでは平行につなげづらいため必ず斜めにカットし直す事です。

難点はセロテープのような代用品を利用すると再び切れる確率が高い、磁気テープ同士と異なりリーダーテープは厚みがあり、さらに最も内側でテープ自体が丸まってしまっているため接合の難易度が高いという事です。



以下の(2)(3)はリーダーテープを取り去って、直接リールハブに録音テープを巻き付ける方法です。(2)の方法は比較的新しいカセット、(3)は古いカセットが対象となります。

←カセットのリールハブにはリーダーテープを固定するための切れ込みがあり、そのままハサミで切っても良いのですが、このハドメ(緑の部分)は横にずらせば簡単にリーダー部分を取り去ることができます。

それなら、この部分に磁気テープをそのまま同じようにはめ込むだけでは無いかと思われるでしょうがカセットの製造年代によって若干その大きさが異なっています。大抵古いモノはハドメの長さが短く、新しいモノはやや長い。若干の違いのようですがこの差が作業に大きな影響を及ぼします。

結論から言えば古いカセットではうまくはめ込めませんので、別の方法で止める必要があります。


(2)リールのハドメに直接磁気テープを巻き付け止める
比較的新しいカセット(スケルトンタイプ、完全透明タイプに多い)では上記のハドメの長さ、しなやかさがあるためリーダーを取り去って直接磁気テープをはめ込む事が可能です。

まずテープをハドメにくるむようにして指で持ちます。
片方のツメをハブに差し込み、黄色の↑の部分をやや強く指のハラで押し込むように入れればカチッと止まります。

 
難点では無いのですが、割合新しいカセットではリーダー切れの確率が少ない。新しくても、不要なカセットをストックしておいて古いカセットの代用に部品を取るようにすると良い。

(3)リールに直接磁気テープを巻き付け接着剤で止める
全てのカセットで磁気テープをツメとリールの間に、はめ込めれば問題ないのですがツメの形状がメーカーや品番により異なり、管理人の分解した古いテープ(70年代のTDK・FUJI)では上手くできませんでした。
 上記画像のように強く押し込んだらツメが割れてしまいました(-_-;)

 こうした古いカセットは、近年の新しいタイプのカセットを、ひとつ捨てるつもりでリールハブだけ交換すれば解決します。

 あいにく、捨てても良いカセットが見あたらない場合は、プラスチックを接着できるボンドをリール一周薄く付けて(ハブの黄色の部分)テープを巻き付けます。[下の左画像]
絶対に外側へ接着剤が着かないよう注意しましょう。

    [左:リールに直接接着剤を塗布]    [右:2、3周巻いた後テープに接着剤を塗布]
巻きはじめのテープは上記左画像のように丸まっているので、接着剤を付けなくてもある程度リールに巻き付けてしまってからテープに接着剤を付けても固定できます。[上の右画像]

乾いたらいずれも2〜3周テープを巻いて取り付ければ完了。十分張力強度は得られる筈です。

直接ハブに巻き付ける方法の難点は、いきなりテープの頭から録音されているテープでは最初の何秒かが再生できない点です。例え数秒でも無駄にしたくない場合は【方法1】でつなぐ必要があります。

 このようにリーダーテープ切れは、簡単な解決方法が複数ありますので是非、自分でできそうな方法を試して下さい。この中では(2)の方法であれば、今後も直接再生して問題は無いのですが、他の方法はいずれも接着剤を使用します。たとえ強度は得られるといっても、同じように経年劣化がありますので出来るだけ早めにデジタル化をオススメします。



(C)Fukutaro 2002.7

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