アナログ音源再生計画 ★特集★
特集 壊れたカセットの修復〜パターン別修復の実践

[0]カセットの分解とテープの接合の実践

事件・事故別修復の実践
[1]子供がテープの中身を引っぱり出してクシャクシャにしてしまった
[2]ラジカセやカーステに巻き込んで途中で切れてしまった
[3]古いカセットのリーダーテープ部分が切れてしまった
[4]カセットハーフがキーキー鳴って再生音まで歪む、ハーフが壊れた


壊れたカセットの修復にチャレンジする
カセットテープが切れてしまったが、修復してくれる業者を知らないか?という問い合わせがメールや掲示板で結構多く寄せられています。

 カセット全盛時代の70〜80年代には、電気屋さんやオーディオショップに接合用テープやメンテ用品が豊富に並べられていましたから、その説明書などを見れば初めてのトラブルでもなんとか修復できました。

しかし20世紀において録音メディアの「横綱」であったカセットも21世紀には番付を落として一気に幕下陥落、今や引退の危機(涙)。誰もカセットが切れたからといって「直してあげましょう」とは言ってくれない。

 それなら私が一肌脱ぎましょう、とはさすがのお人好しの管理人でも思いません(^^;
なぜなら、誰でも修復はできるからです。

この頁ではカセットテープの修復についてタイトルのように[1]〜[4]までの事故・事件について修復の実践を取り上げます。カセットをお持ちの誰もが経験した、あるいは、いずれ必ず遭遇する事ですのでぜひ参照下さい。勿論管理人も全ての事故に遭遇しました(涙)

おことわり
ここで紹介する方法は決して自分で器用だとは思わない管理人が試した、あるいは実践してきた方法なので万人向けだと考えていますが、この方法で失敗した場合に「どうしてくれる、責任取れ」と尻を持ってこられても困ります。修復はあくまで自己責任で行って下さい。
 特に接着テープの選定は「極端な例」を取り上げています。あくまで応急処置ですので単純に「セロテープでもいいのか」などと安心しないでくださいネ。


基本はカセットの分解とテープの接合
ほとんどのトラブルでこの作業が必要になります。

「分解したことが無いから不安」
「不器用なのでテープの接合ができない」
「何か特別の器具が必要なのでは?」


トラブルに見舞われて、「困った」という方のほとんどは、こうした理由からでは無いでしょうか?
 上記の心配は全く不要。どんな不器用な方でもダメになった部分以外は、ほぼ100%確実に修復できます。

そもそも、何のトラブルも無いのに録音済みカセットを分解した経験のある方はいません。
器用不器用は、修復と全く関係はありませんし、特殊器具も専門知識も不要です。

用意する物は以下に記載しました。皆さん持ってますよね?

用意するもの
ドライバー
メガネのフレームのネジを止めるような小型の十字ドライバー。カセットハーフを開けるのに使用する。

接着テープ・接着剤
カットしたテープをつなぐのに使用します。本来はテープ接合専用のスプライシングテープ(左画像)を利用します。

 以前はカセット専用に2〜3センチのスプライシングをシールのようにしたアクセサリーも売っていました。しかし現在は都市部のごく一部の専門店に限られ入手困難な場合もあります。

 今回は「薄い接着テープなら何でもOK」ということにします。何と!掲載してある画像は事務所で使っているセロテープを大胆にも使ってチャレンジしてみました(^^;

 なお、リーダーテープ切れの場合は接着剤を利用する方法もあります。

下敷き
表面にざらつきのないセルロイドやプラスチック製の下敷き。テープ接合時に使用。無い場合の管理人のオススメはCDケースです。

ハサミ
磁気を帯びていないフツーのはさみ。テープカットに使用。

補助用具
細かい作業に自信がない方はピンセットを用意。その他カッターや線引きもまっすぐカットする場合は用意しておいた方がよいかも。

愛着と粘り・根気
これを用意しないと道具が揃ってもうまくいかない場合があります。
 昔、パチンコ屋の店内放送で『パチンコ必勝法は粘りと根気、粘りと根気でございます・・・』と流れてましたがカセット修復必勝法も同じです(ホントかよ(^^;)。そして何より愛着でしょうか。
 これはお店で売ってませんので、自分で揃えておく必要があります。全ての工程で使用。

清潔なお手手
 ハーフやテープを扱うのにヘンに気を使って極薄の手袋など使わないで素手が良い。ただしテープに指紋が付くとカビが付着しやすいのも確か。油性の方は手を洗って作業しましょう(^^;

準備ができたら要らないカセットを使ってハーフを開けてみましょう

事件・事故の概要と修復方法、予防策
子供がテープの中身を引っぱり出してクシャクシャにしてしまったぁ〜
かわいそうに(子供が(^^;)
小さなお子さんがいる家庭ではありがちの事件です。悪いのは親ですが、二度と聞けない大事なテープだったりすると我が子ながら首でも絞めたろか〜という事になります(爆)
カセットのメンテのページでは諦めて捨てると書きましたが、ここでは果敢にチャレンジしてみました。
【解決策】
テープを切って、根気よくほぐした後、つなぎ直す−実践例はここをクリック

【必要なもの】
ハサミ・接着テープ・丸箸・根気・子供への愛情

【予防策】
大切なテープは子供のそばへ置かない

ラジカセやカーステに巻き込んで途中で切れてしまったぁ〜
お気の毒に。。。
精度の良くないラジカセやカーステで早送り・巻き戻しからいきなり再生したり、スロットに挿入・取り出しの際おこりがちな事故です。
 途中で切れた場合と、キャプスタンなどにからんでテープが糸状に丸まってしまっているが切れていない場合があります。

【解決策】
カセットハーフを分解して不良部分をカットした後、つなぎ直す。
切れていない場合は丸まってしまっている部分を引き出して不良部分をカットした後、つなぎ直す。(分解の必要無し)−実践例はここをクリック

【必要なもの】
ドライバー・ハサミ・接着テープ
【予防策】
大切なテープはカーステやラジカセで聞かずに、専用デッキで再生する

古いカセットがリーダーテープの最初から切れてしまったぁ〜
ご愁傷様です。。。
はっきりいって、21世紀初頭この事故が起こるのは某社の某シリーズに集中しています。管理人の知人でも同様の事故が報告されています。
 ただし管理人は1960年代のテープの大半でリーダーテープ切れを経験しています。

当然、70年代以降のあらゆるメーカーのテープもいずれ起こる現象ですので、今後この事故が最も多く発生すると考えられます。
【解決策】
カセットハーフを分解してリーダーテープを取り除き、直接リールにテープを巻き付ける−実践例はここをクリック

【必要なもの】
ドライバー・接着材

【予防策】
リーダーテープの直前でテープを止める。


セットハーフが割れちゃったぁ キーキー鳴って再生音まで歪むぅ〜
南無阿弥陀仏。。。
床に落とした程度でカセットは割れません。余程、気にくわない事があって何かにぶつけたかバイクなどに轢かれたか(無惨)

一方正常なハーフがキーキーと鳴る事がある。この現象が起こるのは相当昔から某社の某シリーズに集中していますが、若干他社のカセットでもおこる現象です。
 原因はガイドローラの不具合と思われますが、ひどくなるとオープンに見られるテープ鳴きと同様再生音にも歪みが入りますのでダビングしても解決できません。

【解決策】
カセットハーフを分解して新しいハーフに入れ替える−実践例はここをクリック

【必要なもの】 ドライバー・別のカセット

【予防策】 
ハーフが割れた:ランボーに扱わない
ハーフ鳴き:なし

修復後は必ずデジタル化・ダビングしよう
特別大切なテープだからこそ修復する筈。
 ちゃんと再生できたら、できるだけ早くデジタル化あるいはMDにダビングしておきましょう。
例えしっかりと専用のスプライシングで接合しても再度剥がれる危険性は高いと思って下さい。

 現在のカセットの状況から言えば、別のカセットへのダビングはあまりオススメできません。手間はかかってもデジタル処理する方が今後も大事な録音を生かせると思います。
 特に一部分をカットしたテープでは接合部分で「プチ」とか「プス」というクリッカブルノイズが発生しますし、例え数秒でも途中をカットした場合はデジタル編集しないと聞きづらい録音になってしまいます。

 なお、最良の予防策は事故がおこる前にデジタル化する事であるのは言うまでもありません。


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(C)Fukutaro 2002.5 7015_
『ついに。。。ついに。。。カセット修理要請ギブスの完成じゃ。さっそくおまえも試してみよ。』
『父ちゃん、今どき左門不作だってカセットなんて持ってないぜ。今やMDだよ。』
『鼻型さんのお宅はスーパーCDよ』
『ばかもの〜(ちゃぶ台をひっくりかえしながら)そんな事だから大リーグでもセリエAでも通用しないんじゃぁ
『わかったよ父ちゃん、許してくれ。おいらもやってみる。ナニナニ、小型のドライバーでハーフのネジを開ける?父ちゃん、ウチにそんなドライバーあったっけ?』
『うちはビンボーだから買えないのよ』
『ばかもの〜ワシがこじあけてやるワイ
・・・ガンコ一徹アナログおやぢは手に持ったツルハシで見事カセットハーフをこじあけてたが、中身はバラバラ、テープはクシャクシャ、完全再生不能に陥ったとさ(涙)
            -父子の不毛の闘いはかなり続く-たまにどこかのページに掲載中(^^;