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 「天空翔破に憧れて」
少飛第14期生 仙石敏夫


全文掲載

これは元陸軍少年飛行兵第14期生だった仙石敏夫さんが昭和62年、
還暦記念に1年がかりで御自身の戦争体験を
まとめ自費出版にて発行したものです。

仙石敏夫さんの許可を得て、ここに全文を転載致します。
著作権は仙石敏夫さんに帰属します。
よってこの記事の無断転載は厳禁です。

第一章 東京陸軍航空学校
 二 三八式歩兵銃


我々に支給された唯一の兵器である。最初の分解組立、手入れ方法の教育が始まった時に気がついたが、銃口を覗いた場合普通はガラス管のようにきれいに光って見えなければいけないのに、自分の銃はいくら手入れしても覗くと真っ黒である、当時の言葉で言えば「天皇陛下からお預かりしている大切な兵器」である、これはえらいことになったと内心戦々恐々としていた。ところが最初の兵器検査で私に支給された銃は検査項目ほとんど不合格、ワーストナンパーワンの折紙つきの銃であることが判明し、やっと安心することができた。そして一年間この検査不合格の折紙つきは軍隊の経験のない人にはその有難味は分からないかも知れないが非常に値打ちがあった。つまり何時、如何なる時に銃口検査をされても手入れ不良と言われる心配がなく、ずいぶん戦友達に羨ましがられたものである。その代償に空包射撃がある時にはこっそり戦友の分まで私の銃で撃って空薬爽の員数だけを合せたりしたが、卒業前の習志野大演習では三、四人分の空包を撃って戦友達に感謝されたものである。

    昭和62年発行 
    「天空翔破に憧れて」少飛第14期生 仙石敏夫著より転載


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