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「安らかな死を支える」
152-110613
淀川キリスト教病院名誉ホスピス長 相木哲夫著 (要約)

第一章 現代における死とは

「人は生きてきたように死んでいく」
 「もしあなたが一カ月後、確実に死ぬとしたら、その一ケ月をどのように生きますか?」。この問いかけに対して、およそ次の三つのような反応があると思います。
@死の恐れに圧倒されて何も手につかず、おろおろして、不安にさいなまれてしまう人。
Aどうせ死ぬのなら、やりたいことをやろうという人。あるいは、刹那的になったリ、自暴自棄になってしまう人。
Bそれまでのわずかな期間でも、できるだけ充実した生活をしていこうとする人。
 @、Aの生き方は現実的な、よくあるタイプ、Bのような生き方は少数かもしれません。しかし、このような反応は、死を前にして急に出て来る生き方ではありません。それまで健康であった時、その人が積み重ねてきた生き様が、死という現実を前に、はっきりと現れてきたに過ぎないのです。
 臨床医として多くの人々の死を看取ってきて、強烈に印象に残り、教えられたことは、「人は生きてきたように死んでいく」ということです。言い換えれば、「生きてきたようにしか死ねない」ということです。

(次月に続く)




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