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 「天空翔破に憧れて」
少飛第14期生 仙石敏夫


全文掲載

これは元陸軍少年飛行兵第14期生だった仙石敏夫さんが昭和62年、
還暦記念に1年がかりで御自身の戦争体験を
まとめ自費出版にて発行したものです。

仙石敏夫さんの許可を得て、ここに全文を転載致します。
著作権は仙石敏夫さんに帰属します。
よってこの記事の無断転載は厳禁です。

はじめに

『天空翔破』これは東京陸軍航空学校教官百瀬教授が同校受験希望者の参考書として刊行された著書の題名である。昭和十五年に書店でこの本を見付けた時からその文字その言葉に憧れを抱き、やがて大空への勇飛を夢見て少年飛行兵を受験したが、直接の動機はこの一冊の本によるものと思う、そして四十数年を経た今も記念としてまだ手元に持っている。昭和十五年、早速受験はしたが幸か不幸か第一回目は不合格になり、翌十六年捲土重来を期しやっと合格通知を手にすることができた。世界中が戦争に巻き込まれていた昭和十七年から終戦まで軍籍にありながら、直接の戦闘に関係なく空中勤務者として厚遇され、ひたすら教育訓線のみに没頭し、尚、あの大戦争のなかで敵の機銃の音を聞いたこともなく、空襲を受けた経験もなしという経歴は、戦争体験者の中では珍しいのではないかと拙文を綴ってみたものである。

    昭和62年発行 
    「天空翔破に憧れて」少飛第14期生 仙石敏夫著より転載


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