ここでは行政書士について少し説明したいと思います。
これから依頼を考えている方、行政書士を目指している方など、いろんな方に知っていただけたらうれしいです。
分かりやすくするために出来るだけ簡単な表現を使っています。厳密には意味が異なることがありますがご容赦ください。
行政書士とは
行政書士ができる仕事は、
- 1.官公署に提出する書類を作成し、またその手続きを代理すること。
- 2.権利義務又は事実証明に関する書類を作成し、またその書類を代理人として作成すること。
- 3.許認可などに関して行われる聴聞などの意見陳述手続きについて代理すること。
- 4.行政書士が作成した書類についての、不服申立て手続きについて代理すること。
- 5.4の手続きについて、書類を作成すること。
- 6.これらに関して相談に乗ること。
- 7.他の法律で禁止されていないものであること。
と法律で決まっています。実は行政書士の仕事を一言で表すのはなかなか難しく、これらが行政書士を分かりにくい職業にしている一因ともいえます。
まずは漠然と「書類を作るお手伝いをする職業」という認識から入っていただければ良いと思います。
具体的な仕事内容
では、具体的にはどんな仕事を扱っているのでしょうか。
- 1.遺言や相続に関すること
- 遺言書の作成、遺産分割協議書の作成、相続人調査など
- 2.許認可申請に関すること
- 建設業許可、産廃許可、飲食店許可、風営業許可、深夜酒類提供届出など
- 3.個人の契約に関すること
- 売買契約、賃貸借・消費貸借契約、成年後見契約、内容証明など
- 4.法人の設立、運営に関すること
- 定款・議事録・契約書の作成、事業計画の作成、補助金申請、ISO申請など
- 5.土地活用に関すること
- 開発許可申請、農地転用申請など
- 6.国籍や入管手続きに関すること
- 在留資格・帰化申請など
- 7.自動車に関すること
- 自動車登録、名義変更、自動車税など
- 8.知的財産に関すること
- 著作権、種苗法に基づく品種登録など
いかがですか?実に多種多様な仕事ですがこれでもほんの一部。行政書士の扱う書類は一説では10,000種類を超えるとも言われています。当然、一人でその全てを扱うことは難しく、それぞれが専門分野をもって分担しているのが一般的です。
他士業との違い
行政書士と他の士業との仕事内容の違いは一般の方には非常に分かりにくいものだと思いますので、ここではその違いを簡単にまとめてみました。
行政書士 |
許認可申請、権利義務・事実証明書類の作成など |
弁護士 |
刑事訴訟での弁護人、民事訴訟での代理人など |
司法書士 |
不動産登記や商業登記、少額訴訟の代理人など |
税理士 |
税務書類の作成、代理など |
公認会計士 |
財務書類の作成、監査など |
社会保険労務士 |
社会保険の書類作成、代理など |
土地家屋調査士 |
土地・建物の調査、測量、不動産表示登記など |
弁理士 |
特許、実用新案、意匠、商標の出願など |
裏を返せば、これらが行政書士の扱うことができない(他の法律で禁止されている)仕事になるわけです。
行政書士に頼むメリット
行政書士に限らず、他の士業においても多くの手続きはご自分ですることができます。
わざわざ報酬を支払って頼む利点はどこにあるのでしょうか。
- 1.時間・労力・費用の節約ができる
- 一般の方では人生で何度も経験しないような手続きがあります。例えば遺言書の作成や遺産分割手続き、許認可の取得、会社の設立や内容証明の作成などです。これらはご自分でもできることではありますが、いざやろうとしたらどうなるでしょうか。専門書をそろえ、何日もかけて読破し、行政窓口との打合せをし、書類をつくり、訂正を指摘され、あるいは無効になり…などと、かかる時間と労力は少なくないでしょう。
手続きの遅れはそれだけで金銭的損失です。
行政書士は行政手続きの専門家ですから、ノウハウがありますし、ひいては時間や労力・費用の節約ができるのです。
- 2.トラブル予防のご提案
- ページの最初に「いろんな書類を作ることができる」と説明しましたが、ここで重要なのはむしろそのうしろの「ただし、他の法律で禁止されていないものに限る」です。
その代表的なものが弁護士の業務なのです。弁護士といえば裁判など紛争性のある事柄を扱いますが、行政書士は弁護士ではないので扱うことができません。ですから必然的に紛争が起こる前、つまりその予防が得意になってくるのです。
トラブルを起こさないためのご提案、起きても被害を小さく抑えるご提案が得意なのです。
また弁護士はトラブルを解決することが主業務ですからその報酬も高くなります。これは当然のことです。必要とする事柄に応じて、行政書士に賢く頼むことで費用を抑えることができます。
- 3.ワンストップサービスの提供
- もう何度も説明してきましたが行政書士はその扱う仕事の広さから、他の士業や職業とネットワークができることが多いでしょう。
例えば、飲食店を開きたいときにはどうでしょうか。
許可取得のための保健所との打合せを始め、同時に会社を設立する場合は司法書士と。店舗の設計には建築士やデザイナーと。経営については税理士や会計士と。従業員を雇う場合には社会保険労務士と。トラブルが起きた時には弁護士と。他にもたくさんの手続きや雑務が発生します。
行政書士はこれらのネットワークを通じて、ワンストップサービス(手続きが1ヶ所で済むということ)を提供することができます。ここでもお客様の時間と労力を節約できるのです。