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「希望は失望に終わることはない」
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島田 直 牧師

 昨年8月5日、チリで鉱山の落盤事故が発生し、33名の作業員が700mの地下に取り残された。当初、彼らの生存は絶望視されていた。しかし、事故から17日後、彼等の生存が確認された。そして、世界中の人々が見守る中、69日ぶりに全員が救出され、大きな感動を与えた。

 33名の作業員は地下700m、温度35度、湿度90%と言う過酷な閉塞空間の中で、どの様に生き抜いたのか、興味が尽きない。事故発生から17日間は、地上との連絡も取れず、なす術もなく、ただひたすら助けを待つだけであった。死をも覚悟せざるを得ない状況の中で、リーダー格のルイス・ウルスアさんは「助けは必ず来る。絶対に希望を失うな!」と仲間に言い聞かせ、神に祈ったという。

彼らが肉体的にも精神的にも守られた大きな要因は、「希望をもち続けた」ことと言っても過言ではないであろう。希望があるからこそ、耐え忍ぶことが出来、秩序が守られ、規則正しい生活が保たれた。希望があるから、互いに仕えることが出来た。現実的には絶望と言う中に置かれながらも、希望を失わなかった。だからこそ奇跡的な生還を成し遂げた。

 そして、その希望は神様から来る事を忘れてはならない。作業員のほとんどが神に祈り、救出された時にも神に感謝した。ある作業員は、「私達は33名ではなく、34名だった。そこに主(イエス・キリスト)も共におられた」と語った。また、ある作業員は、「私は神様に会った。また悪魔にも会った。しかし神様が勝利した」と語った。

 聖書に出てくる使徒パウロは、「そればかりではなく、患難さえも喜んでいます。それは、患難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出すと知っているからです。この希望は失望に終わることがありません。なぜなら、私たちに与えられた聖霊によって、神の愛が私たちの心に注がれているからです。」(聖書、新改訳ロマ5:3−5)と語る。パウロは迫害を受け、死をも覚悟しなければならない中を通されながらも、喜びを持ってイエス・キリストに仕えた。パウロを支えていたのはイエス・キリストにおける希望であった。そして希望は失望に終わることは絶対に無いのである。

 私達は、時には思いがけない大きな試練に直面することがある。しかしたとえ光の見出せない過酷な中にいようとも、絶対に希望を失うことなく、そういう中にあっても主を待ち望む者でありたい。何故なら、イエスは私達に希望を与え、そしてその希望は絶対に失望に終わることが無いからである。




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