公共補償とは?
公共事業による補償は、どのような考えのもとに行われているのでしょう。
以下の3つの日本国憲法から考えられています。
第14条【法の下の平等、貴族の禁止、栄典】
第17条【国及び公共団体の賠償責任】
第29条【財産権】
により、土地収用法・補償基準が作成されています。
第14条【法の下の平等、貴族の禁止、栄典】の1には、
「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」と書かれいます。つまり、全ての補償対象者は平等に補償されることになります。
第17条【国及び公共団体の賠償責任】には、
「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。」と書かれています。こちらは、不法行為は抜きとして、補償基準により補償を受けることができることを認めています。
第29条【財産権】の3のには、
「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用いることができる。」
と書かれています。平たく言いますと、道路などを公共のために造る場合は、正当な補償を行えば道路を造っても良いことになります。
よって、移転対象になられた方は、公共のために平等な補償金を受け取って移転しなくてはなりません。
しかしながら、補償を受けるほとんどの方は法律・基準については素人です。それに対して、補償を行う公共機関は熟知していて、かつ補償コンサルタントの意見を参考に補償交渉を行います。法の下では平等ですが、補償交渉を行うには平等とは言えません。
補償を受ける方には、さまざまな職業の方がいます。
例えば、農業、建築業、製造業の3人が建物の補償交渉を行った時、補償内容について理解をされる方はどなたでしょう。
この中では、建築業の方が比較的理解されるのではないかと思われます。他の方が、建築業の方と同等の交渉を行うには、建築業の方と同じ知識を持たなくてはなりません。
その1 日本国憲法と補償