おそらく誰も知らなかった?
21世紀におけるオープンリールの現状リポート
第4回報告 テープのカビについて | ||
■第4回目は最も管理人を悩ませたカビについてのリポートです。テープにカビが付着する事は最初から予想していた事で、少々のカビは古いテープだから仕方ないと考えていました。 ところが、復刻サービスを始めて間もなく数本まとめて送られてきたテープを見てビックリ!巻いてあるテープの表面全体にカビが真っ白く粉を吹いているのです。正直返却しようかと迷いましたが、内容は披露宴のテープで依頼者にとって貴重なもののようです。手に触れるのもいやだったのですが、中身を確認するためにとりあえず再生機へかけるとガイドローラーに真っ白くカビが付着する。これでは録音どころではない。 ■こうしたテープは再生はできますが何回か早送りしてカビを飛ばしても必ずヘッドに付着します。幸か不幸か当時のテープはハーフトラックモノラルでテープ幅の半分ずつ記録されており若干ヘッドが汚れても再生への影響が少ない(というより高域再生能力が低いので再生劣化が目立たない)ため無事録音は成功し依頼者の方からは喜んでもらえましたが、当方は散々でした。 ■右画像はその時のテープとは別の3号リールのカビ付着画像です。テープの表面、リールと全体にカビだらけになっているのが画像でもわかります。このようなテープは大抵箱やその中のビニール袋にもカビが生えています。 ■処理本数が増えるにつれこのようなテープに遭遇する機会も増えていった。仕事場である事務所にはテープデッキやPCその他の精密機器が置いてあり、また客も来るし家内も作業をしているので機器や人体に影響があるのは当然です。 特に家内には嫌がられました。彼女から見ればゴミのようなものが郵送されて中身はまさしくカビの生えた古いテープでは亭主のやっている事が不潔に思えても仕方がありません(^^;それでも私と家内はカビ類にそれ程敏感ではありませんが長男は幼少からアトピーでカビなどのハウスダストに強いアレルギーを持っているので近づけないよう注意しました。 たしかに趣味の延長とはいえ料金を頂いているから、カビの処理は当然かも知れないし私もある程度の予測はしていた事は最初に書いたとおりです。しかし『大事な録音テープが再生できなくなった』といって送られてきたものがカビだらけだったりすると「本当に大切なものをカビだらけにしておくの?」と言いたくなります。途中からは受付の注意書きにカビはできるだけ拭き取ってという事を掲載しましたが、リールの形状によって拭き取れない部分があるので最後まで悩まされました。 ■オープンリールの復刻サービスが、どんなに意欲や興味そして設備や技術力があっても業務(あるいはボランティアでも)として継続するのが難しいのは、むきだしのテープにカビが付着して飛散するという事実に対応しなければならない事です。手持ちテープだけを自分でデジタル化したいという方もカビアレルギーや鼻炎の方は十分注意してくださいネ。 ※余談ですが、カビではなくドロ水に落として汚れたようになったテープが送られてきた時はサスガの管理人も一瞬観ただけで返却しました。『ウチはゴミ処理工場ではない!』 |
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第1回報告 サービス開始と終了について 第2回報告 テープ切れの傾向と対策 第3回報告 120分カセットの修復 第5回のお話 |
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Last Update 2006.11 |