おそらく誰も知らなかった?
           21世紀におけるオープンリールの現状リポート
     
第3回報告 120分カセットテープの修復

復刻サービスを始めた当初は様々な依頼が舞い込みました。その中で多かったのがオープンではなくカセットテープの復刻依頼でした。こちらについては本来の意図とかけ離れてしまうのでお断りしましたが、物理的なトラブルの相談も非常に多かった。ほとんどが『テープが切れたがどうしたら良いか』という相談でしたが、今回取り上げるのは120分テープのトラブルです。

『大事なカセットテープが動かなくなってしまった』という相談を受け、依頼された方が相当な年輩だったので修復できるか分からないが一応状態を見ましょうという事で送られてきたモノです。早速見てみるとテープ同士がせって(くっついて)いました。依頼者の話では邦楽の練習用テープで何十回、何百回と再生するうちに回らなくなってしまったとの事。つまり再生を繰り返すうちにテープベースがすこしずつ延びて、あるいは変形して膨らんでしまいテープ同士がせって動かなくなってしまったのでした。

 マイクでの録音では取替の手間を出来るだけ省くために120分テープが結構用いられる事が多かったのですが「120分テープ」であるがゆえのトラブルがあります。同じサイズと録音速度で長時間を実現するためにはテープ厚を極限まで薄くし、カセットハーフのスペース一杯まで長く詰め込みます。そのため60分テープなどに比べ耐性が弱くすぐ切れたり折れたりしてしまう事が多い。そして切れないで何度も何度も繰り返し再生していると、ついにはベースが変形してせってしまい動かなくなる、誠にやっかいな代物です。

こうしたトラブルではテープをカットして少しでも間隔を空けるしか方法がありません。しかもテープ自体がたわんでいるためハーフを空けてテープを取り出すのは至難の業です。私の場合は分解せずにテープを少しずつ引っ張り出してカットした後繋いだと記憶しています。当然ながらカットした部分は救えないことになります。

皆さんも、もし手元に120分テープがあったら、この画像のような状態になっていないかチェックしてみましょう。まぁ余程再生を繰り返さないとこのようにはならないと思いますが。。。



第1回報告 サービス開始と終了について
第2回報告 テープ切れの傾向と対策

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Last Update 2006.6

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