おそらく誰も知らなかった?
           21世紀におけるオープンリールの現状リポート
     
第2回報告 リーダーテープ・磁気テープ切れ その傾向と対策 

第2回目の現状リポートはテープ切れの状況です。若者だけではなく古いテープもぶちきれます。何回も何回もつなぎ直して私も切れました(爆)

磁気テープの最初と最後に繋がれているリーダーテープというのは磁気テープの保護、往復録音テープの場合のどちら側かの目印の役割をするために付けられています。切れる部分はリーダーと磁気テープを接着するスプライシングテープが経年劣化で実際は「剥がれる」という状態になって発生します。

リーダーテープは実際の使用上はあってもなくても構わないような存在ですが私家録音時代にはテープも高価だったこともあるでしょうし大抵は磁気テープの最初からすぐに録音が始まっています。このような録音の仕方の場合はリーダーテープが無いと再生ヘッドから巻き取り空リールまでの間の録音部分は再生できなくなってしまいます。

もっとも復刻したテープはかなりの割合ですでにリーダーテープが無くなっていました。最初から付いていなかった訳ではなく、使用している間に剥がれてしまったのでしょう。

テープ切れの傾向
 このリーダーテープですが、復刻を手がけた1960年代以前のテープの8〜9割が最初のテスト再生時に切れました。状態を見ると切れた多くのテープはリーダーと磁気テープを接着するスプライシングテープ(以下接着テープ)が半透明化していた。接着テープは最初白色ですが時間の経過とともに透明になっていくようでした。中には白色状態を保っていても剥がれてしまうテープもありました。
 
 最も大変なのが磁気テープを細かくつなげて接着してある場合。カセットとちがいオープンでは磁気テープ同士を繋いだりカットしたりすることは日常的に行われてきましたから2〜3箇所つなげてあるテープというのは珍しくありませんでした。しかも、その殆どがきれてしまう。記憶では5号テープで10ヶ所以上つなげてあって全て切れたケースがあった。その都度つなぎ直す必要があり泣きたくなった(^^;リーダーテープ切れは最初から予想されたため再接着は無償で行いましたが、さすがにそのテープを送付された方からは別途修復料金をいただきました。

 普通は状態を見るために本番録音前に必ずテスト再生と早送りをするので、途中繋いであるテープはその時点で切れます。ところがテスト再生時切れないで本番で切れてしまう困ったテープもあり、再度録音し直したり面倒な事もありました。しかも切れた箇所は変形してそのまま接着できないため少しカットする。残念ながら音が飛ぶことになります。テープの途中で切れることで良いことはありません。

 テープ切れのほとんどは、上記のようにリーダーテープや磁気テープ自体が切れるのではなく接着テープが切れるのですが、中にはテープ自体が切れてしまったものも見受けられました。状態を見るとテープが乾燥してパリパリと割れてしまうような感じだった。磁気テープの磁性体部分だけが一部剥がれてしまうものもありました。


テープ切れの対策
 以上の状況から接着テープの耐用年数は30年程度と思われます。考えようによっては一般の粘着テープやセロファンテープに比べると非常に接着力が持続するといえましょう。しかし必ず寿命がきますので、これは再度接着テープを購入してつなぎ合わせるということになります。オープンはさほど難しくないがカセットの場合はかなり面倒です。

 テープ自体が切れるのは乾燥しすぎる場所に保管した場合かも知れません。日本の環境ではカビの発生が多いため記録メディアは湿気を避けるというのが常識的に語られますが乾燥させすぎても悪いと思います。

非常に少ないのですが40年近く経過したテープで、まるで新品のように箱やリールにカビも付着せずきれいに巻いてあるテープもありました。そんなテープでは接着テープもしっかりとしています。やはり保管状態によって寿命は大きく変わるという事ですね。


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Last Update 2006.4

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