オープンリール復刻図鑑


SONY・東通工


オールドテープファンなら御存知のように、国産の磁気テープを最初に開発したのは
SONYの前身東京通信工業です。

復刻テープのシェアを見る限り1960年代には最も普及していたブランドです。さらに60年代後半にはSLH(Super Low-nois Hi-output)テープでHi-Fiオーディオの分野でも時代の先鞭をつけました。

あらゆる種類・サイズのテープが現存していますが「Soni-Tape」(ソニテープ)と箱に記載されているものが古いテープです。

全国津々浦々、あらゆる用途・家庭から学校、企業まで非常に普及したブランドですので現在でも最も目にする機会が多いテープではないでしょうか。特に学校では録音機の普及にSONYが力を入れたためテープ自体も多いようです。


1950年代

5号(画像1)
横浜市T様所蔵品
SONYが東京通信工業から現社名に変える以前の時代のテープです。これはテープの箱の裏面に東京通信工業と記載されているので、すぐわかります。

 管理人の見たものは5号と7号リールだけですがラインナップは3号〜11号まであります。

 当時としては非常に高価なものなので、大事に保管されている可能性もあります。
[素材]アセテート

これ以前のSoni-Tapeの資料・話題は下記に掲載してありますので興味のある方はご覧下さい。
オープンリール黎明期〜2つのソニ・テープの謎?
オープンリール黎明期(2)〜紙テープと真空管録音機

1960年代

画像2
SONYに社名を変更してからもSoni-Tapeの名称は1960年代半ば頃まで使用されていたと思います。

 この箱では社名はSONYになっているので判ります。Soni-Tapeというタイトルでは非常に出回っていた銘柄のようです。

大変多くの方の保有を見かけております。

[素材]アセテート



画像3

1960年代半ば〜後半頃まで使用されていたテープ。
箱の表面には「SONY」の文字が使われているが裏面には「Soni-Tape」のロゴがあり、独自のテープブランドとして他社とは異なるという事を強調しようとする意図がわかります。

これ以降の箱には「Soni-Tape」という呼称は使われなくなりました。
[素材]アセテート


画像4-1
画像3の銘柄の次世代に発売されたテープで「Soni」という銘柄は使われなくなった最初の製品だと思います。管理人が使った最初のテープです。'60年代後半頃まで発売されていました。
 かなり普及したテープで3号〜7号までラインナップされています。

[素材]アセテート

    画像4-2


画像5
画像4のSONY-TAPE100シリーズの後、SUPER150というテープベースにテトロンを使った製品も出されましたが、このSUPER-Aは、他社製品同様ポリエステルベースのテープです。

これ以降オープンはローノイズタイプへ移行していき、ノーマルタイプのテープはこれが最終商品の筈です。

[素材]ポリエステル


画像8
画像5のSUPER-Aシリーズの後、HFタイプの間に発売されていたテープであるという情報を京都のT様よりいただきました。
 記憶では「酸化鉄」使用と記載されていたようで、SONYの最終ラインナップのULHの系列なのかも知れません。
 この前後のテープと比べると保有している割合はかなり少ないはずで、管理人も当時見た記憶がありませんでした。

[素材]ポリエステル

※画像番号は掲載順のため表示順序と異なっています。


画像6
ローノイズタイプ
SONYのローノイズテープHFです。銘柄のとおりHi-Fidelityと称して音楽録音を主体に60年代後半発売されたものです。
いわゆる「低雑音テープ」の中でも最も普及したタイプです。これより上の画像のタイプをローノイズタイプに対してノーマルタイプという呼び方もしました。


1960年代後半〜1970年代


画像7
LH(ローノイズ・ハイアウトプットタイプ)
LHタイプテープのバイアス変更が必要という難点を克服してノーマルバイアスでも最良の効果が得られるというポリシーで発売されたのがソニーのSLH(スーパー・ローノイズ・ハイアウトプット)です。
 実際にはソニーの録音機にはSLHポジションというバイアス切替スイッチが付いていましたが。。。
 このSLHのヒットで国内テープメーカーも同様のタイプを発売しオープンリールテープは70年代に爛熟期を迎える事になります。
※LHタイプテープについては3M(スコッチ)のページを参照下さい。

画像9
バックコートタイプ
磁性面の反対側に滑リづらくするため非常に細かい粒子のコーテッドを施したタイプです。ワウフラ特性が向上するという事でプロユースに開発したもののようですが1970年代は各社競って民生用テープにも採用された。
 ところが民生用デッキではプロ用と異なる走行ガイドの構造のため新品でもテープ鳴きが生ずる製品もあり、その良否で論議を呼んだ。
 現在再生しても、このバックコートタイプはテープ鳴きをおこしやすく、アマ用機器での再生には向かないのかも知れません。


画像10
 SONYのLHタイプオープン最後のシリーズ。SLHよりさらにローノイズ・ハイアウトプットを実現した製品SUPER=Sの次はULTRA=Uという製品名はSONYしては安易ですね(^^;
 すでに市場の主流はカセットに移行し、カセット自体が爛熟期といってよい時代のオープンテープでした。


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