音源メディアの変遷 

オープンリール黎明期(2)紙テープと真空管録音機

アナログ音源再生計画



東通工の1950年代オープンリール「ソニ・テープ」は紙ベースだった!?
この話題は、もう管理人の記憶や情報の範疇を超えたものなのですが「オープンリール黎明期〜2つのソニ・テープの謎?」を掲載したところ早速当時のsoniテープを保有している方から情報と画像の提供をいただきました。

 以下に掲載する画像はN様提供のものであることをお断りしておきます。
 
[画像1]

東通工初期の紙ベースのソニ・テープ(手前)。画像奥は初期の
アセテートベース・テープ
(画像提供・所蔵:静岡県N氏)

ご覧いただいでわかるように磁性面は茶色で一般のテープと変わりありませんがベースの色は白く見えて、編集用に使うホワイトテープのようです。画像を見る限りきっちりときれいに巻かれており、プラスチックベース、特にアセテートに見られるようなワカメ状態が無いようです。

N様の情報によれば「和紙がべースのため途中で何回かスプライシングしてありますが糊が劣化していまして切れてしまいます。従って今でも手に入りますEMITEC製スプライシングテープでつなぎました」という事です。紙でも和紙を使用したところが日本製らしい発想ではないでしょうか?

現実に再生可能か?
管理人が最も興味を持つのが「実際に再生可能か」という事ですが、N様がわざわざダビングしたカセットを送ってくれました。データでは19cmで録音したものであるという事です。

 ラジオ放送(昭和30年代のNHK第二放送の学校向け番組)を録音した音を聞いてみましたが、ドロップアウトも無く大変鮮明に録音されていました。特に、カセットへのダビングであるのにも係わらずテープヒスが少ない事に驚きました。

 当時の日本の技術の高さに驚く次第です。

[画像2]

東通工初期の「テープコーダー」
(画像提供・所蔵:静岡県N氏)

画像2は当時の録音機の現物です。上に乗っているのが付属のマイク。消去と録再の2ヘッド、右のレバーが再生・早送り巻き戻しレバー、レバーの右端の白いボタンが録音ボタンのようです。左のレバーは録音・再生時の音量調整レバーだそうです。
 
その後の東通工の録音機にはSONYのマークが見られますがこの機器では東通工のをかたどったロゴが見られます。

当時の録音機は回路に真空管が使用されていました。しかも3極のダルマ管という大きな真空管を使っていましたから相当熱くなったのでは無いでしょうか?その分真空管独特のふくよかで柔らかい音がします。(ダビングしたテープを聞いた感想ですが)

ご覧のようにレベルメーターは無く「マジックアイ」(SONYのカタログによる)という光の強さで音量を調整する方法で録音していたようです。これは1960年代半ば頃までの録音機では一般に用いられていたようで、多くの方のテープの録音の中で聞かれました。

アナログオヤヂである管理人も、これまで古い資料や情報を多方面から頂き、実際大切に所有している方がおり、テープの再生も出来るという現実を目の当たりにすると感動を覚えざるを得ません。
 同時にメディアメーカー(ハード・ソフトとも)も、新しい商品の開発だけに熱心になるのではなく、少しは過去の記録メディアに対しても、もっとフォローがあっても良いのでは無いかと思いました。



(C)Fukutaro 2002.5 Last Update 2004.10

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