ヨセ
ヨセの基本
02/05/05
ヨセの手筋1
02/05/20
ヨセの問題 地の大きさ
03/01/22
九路盤
03/11/03
ヨセの手筋2
05/03/19
踏み込みのヨセ
17/01/01
得するヨセ
ヨセの手筋3 
1ランク上がるヨセ 
22/2/
   

ヨセの基本
  アマチュアの人が専門棋士と対戦し、ヨセに入る頃は20目もリードしていたのに負けてしまう碁はたびたびお目にかかります。アマチュア同士でもヨセに強い人は勝率がいいようです。ヨセは地味なもので勉強しにくいものです。ヨセの考え方としては、大きな価値となる手から打っていけばよいのです。しかし、先手、後手の関係、死活の絡んだヨセなどあって複雑です。ヨセの考え方の基本をつかんでみましょう。
1 双方の眼形に影響のある個所
        自分或いは相手のどちらかの眼形に影響を与えるような個所は、ヨセの最大重要点となりま
     す。相手の方に弱い石があれば攻め含みのヨセになるし、反対に自分の方に弱い石があれば
     それを補強しながら利益を得ていくヨセを打つことになります。
1図  ヨセ+安定




2図  単なるヨセ



1図
黒1は10目位の手ですが、それにも増して大きいことは、黒1によってこの一団の黒石が安定したことです。反対に1のところへ白から打たれるとこの黒石の一団の眼形は不安になります。白からこの一団を攻められてしまいます。黒1はヨセの手というよりも中盤で打つべき重大な要所です。
2図
同じ形のようですが黒1の価値は違ってきます。
1図の黒1を手抜きして白に1のところを打たれると、この一団の黒は外へ進出しているから死ぬ石ではありません。しかし、眼形の不安があるので黒は活動を制限され、白はそのにらみで有利に展開していきます。
2 自己の形を整え相手の形を崩す
   今まで欠点があった自己の形を整え相手の形を崩してから次のヨセをねらいます。
3図



4図



3図
黒1とツグのと白に1のところへキリ取られるのと比較すると10目以上の損得になる手ですが、実際はその計算以上の大きさになります。黒1に白が手抜きすると黒3の手が生じます。
4図
白1とキリ3と抜くのはまさに自己の形を整え相手の形を崩すのにピッタリした手です。黒手抜きすると白5から13まで打たれると、黒には12の右のキリのキズがあるので白を隅で生かすより仕方がありません。

3 絶対逃せぬ先手のヨセ

黒、白どちらが打っても先手のところは絶対逃さないで打ちたいものです。
5図


6図


5図の黒1、3のハネツギは大体において白4までの受けが必然で、黒が先手で打てるところです。これを黒が適当な時期に打っておくのを怠って6図のように逆に白から先に1、3と打たれる機会を与えてしまうと黒2、4と後手を引くことになり、この出入りは白地、黒地ともに2目の増減があり、合計4目の差になります。互いに先手で打てるヨセの形ではタダ得、タダ損になるので逃さないようにしたい。
絶対逃せぬ先手のところでも、打つべき時期は難しい。その部分で相手の石に死活の不安も形の欠点もなくなり、そこを応ずるのが一番大きいと見られるときです。

4 自分が打てば後手でも、相手が打てば先手の個所

自分が打てば相手が受けなければならないところはズンズン打ってしまい、先手で打てるヨセがなくなって、アトは後手となるところばかりになった時、どこを選ぶかが問題です。
7図


8図


7図の黒1は後手ですが8図と比較して2目の利を得ました。
8図の白1は先手です。黒2と受けなければ黒は大損害です。白は先手で8図のヨセを打つことが出来ました。
初心者は8図を早い段階で打ってしまいがちですが、上手な人はコウになった時のことを考えて絶対にきく8図の白1は時期を見て打ちます。

5  ヨセの力は隅と辺とへ

互いの死活がはっきりしたヨセになると中央を打つのは単なる中央の地とりに限定されるので、隅や辺の地に重点をおく方が利益が多い。仮に中央へ三手かけて30目の地が出来たとすると一手10目となります。隅や辺では一手10目ぐらいの価値ある手はザラにあります。
9図

10図

9図の白1は一手18目の利益となります。白7と打った後黒が9のところへ受けるのは白に11目ただ稼がれたことになり代償が取れないので、黒としては他へ打ちたい。黒8を手抜きすると黒14までとなります。9図と10図とは18目も違ってきます。
中央を囲うことは労多くして功少ないことを理解していただきたい。

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ヨセの手筋
終盤に入って最早手のないようなところに手を生じ、相手の気付かないようなところで利益をあげるヨセの手筋を知れば勝率アップにつがると思います。
ツケの手筋
1図

白1とツケるのはこの場合の手筋です。黒2には白3を利かし、白5とツグのが非常に大きな手です。白1で5、黒1と交換するのは無策です。


2図

問題は黒2ときた場合です。白3、5と隅に生きますが、白9までとなった後に、黒10やあるいは12が利いて上辺の白に影響するので白は生きても不満です。

3図

黒2にたいしては白3、5と打つのが手筋です。以下白13までと生きるのは隅を荒らして大きく、2図のような黒の利きもなく、逆に白15のノゾキから17のあたりの利きの楽しみも残りました。
4図

実戦に良く出来る形です。黒1のツケはダメヅマリになっている白の形の不備を突くヨセの手筋です。
5図

黒1のツケが手筋です。白先で打つときも1のところです。急所です。白は一眼もありません。
6図

黒1に白2と抵抗すると黒5までとなり被害が増大します。


7図

黒1のツケは後手ですが、次のヨセを残した大きな手です。黒1で3のコスミでは白地への食い込みが小さく、不満です。
8図

黒1のツケに白2とハネ出すと黒9まで白地にめりこんでいくので恐れる必要はありません。
9図

7図の後の次のヨセです。黒1のハサミツケから3のワタリを先手で打てます。
コスミの手筋
1図

この形では白1とコスむのが手筋で、黒2と応じるほかに方法がなく、白5までと先手です。
2図

白1のケイマはしゃれているようですが、黒2から6までと応じられ1図より劣ります。
3図

この形での白1のコスミも手筋です。黒2から8までと応じるのが正着です。
4図

白1のコスミに黒2ですと白5までのコウになります。黒の負担の重いコウです。
5図

よく出る形です。黒1のコスミは白地削減の手筋です。黒7まで黒は気持ちよくシボッて白地を削減しました。

6図

黒1のコスミが手筋です。白2はやもうえない。黒3と連絡して白地はかなり目減りしました。
7図

黒1のコスミツケが妙手です。白はダメヅマリで窮屈です。白2と遮れば黒3でセキになりました。


8図

黒1のコスミが常用の手筋です。白6までは黒先手で6目ほど得をしています。
9図  黒7は6の左へトリ返し

黒1のコスミが面白い手筋で、捨石の利用として素晴らしいものがあります。
10図

黒1のコスミが手筋です。このコスミは気付きにくい手ですが、2目ほどトクな手です。

キリの手筋

1図

キリの手筋を知らないと黒1、3は先手ヨセとして深く考えずに打ってしまう。

2図

黒1のキリがうまい手です。白2なら黒3とツケ5とワタってしまいます。

3図

白2と受けなら黒3、5の先手ヨセを打ち、後に黒7のアテも先手で打てます。1図とは2目違います。
4図

黒1がキリの手筋です。黒3と大ゲイマスベリする前に、黒1のキリを打つのが手順です。
5図

黒1のキリに白2と欲張ると、黒3のツケが手筋になり、黒が得をします。
6図

黒1のキリが手筋です。白2には黒3のハネが先手で利いて白地が減り、黒地が増えました。
7図

黒が手抜きのままの進行では白1、5のハネを先手で打たれ6図とは4目も違います。

8図

白1のハネがきてからでは黒2のキリも効果はありません。タイミングが重要です。

9図

何気なく黒1、3と打っていませんか。白は先手で地を増やしました。黒にいい手があります。
10図

黒1とキリを入れるのがうまい手です。そして黒3と引きます。この形は白の手入れが必要です。
11図

白1とノビる手はありませんが、ノビたらどうなるかを示しました。
12図

黒5まで白全滅です。10図の黒1の意味を示した図になりました。


捨て打ちの手筋
1図

黒1、3が捨て打ちの常用手筋です。黒先手2目ほど得をしたことになります。


2図

白1が捨て打ちの面白い手筋です。こういうヨセが打てるようになりたいものです。


3図

黒1から7まで白からの7のハネツギを先手で防ぎました。

オキの手筋
1図

黒1とハネて白2となり先手でヨセたのでいい気持ちでいる人は4目損と知ってびっくりです。
2図

力自慢の人は黒1とアテ白6まで先手でヨセいい気持ちですが、2目損と知ってなぜ・・・
3図

正しいヨセは黒1のオキです。正確なヨセを知っている人は非常に少ない。
4図

置碁の定石でよく出来る形ですが、黒1とオク筋が面白い。黒3とダマってツグのがなかなか打てない。黒7まで黒はかなり得をしました。白6で5の一子をトルこともできますが、そうすると黒7、白6となって白が後手になってしまいます。
5図

白1のオキは常用の手筋です。白は先手でかなりヨセました。黒2を3に打つと白2で困ってしまいます。

6図

黒1が最善のヨセです。白2と黒をサエギろうとすると、黒3と打ち白4とサエギると黒7で白ツブレです。



7図

黒1のオキに対しては白2とツキアタり黒3と戻って、白6まで先手でヨセることができました。


8図

白1のオキに黒2と欲張ると、白3、5の手段が成立します。黒は2目を取られてしまいました。
9図

白1のオキに黒2は仕方がありません。黒6まで白は先手でかなりの得をしました。

腹ヅケの手筋
1図

白1が腹ヅケの巧妙な手筋です。黒2内側へオサエると白3以下9まで生きてしまいました。

2図

黒2と外側からオサエれば白3とヒキ、以下白7までで攻めあいは白勝ちです。


3図

白1とキリを入れて、白3と腹ヅケの手筋を使います。以下白7までかなりヨセました。

両バネの手筋
1図

まず黒1のノゾキを打ってから黒3、5とハネツグのが手順です。黒7まで先手です。黒1を打たないで単に黒3、5と打つと白6で1の位置へカケツグので黒一目損です。

2図

白1とノゾいてから、白3、5、7、とヨセるのが正しい手順です。白1を打たないで直ちに白3から7まで打つと、黒8を1に打って白9のハネが先手になりません。白2目の損です。
3図

黒1、3のハネツギを先にしてから、黒5が正しい手順です。同じようでも黒5の方を先に打つと2目損になります。




コウねらいの手筋
1図

白1、3は常用の手筋です。そして白5、7がコウをねらう手筋です。この形は実戦でもできますので、その時使えるようにしたいものです。
2図  白7コウトル

白1、3が1図と同じようなコウねらいの手筋です。黒8まで眼二つで後手で生きるなら白は満足です。





3図

白3に黒4とサガルと白5、7と黒にとっては大変なコウになってしまいます。1図の黒4でも同じようなことが起こります。





4図

白1のハネに黒2のオサエならば、白3、5をキカし、次いで白7、9、11とコウをねらいます。すごいネライがあるものです。




5図

コウ材が有利な時は白1とコウで頑張ることが出来ます。黒2と下がるのは白3のキリを入れ手抜きされてしまいます。黒2は一路左へカケツげば両コウになります。
6図

ヨセの最終段階です。黒1とコウをしかけます。黒の花見コウですから負けることはほとんどありません。白6とツガセて黒7に打ちます。この後コウに勝てば一目の得になります。

連れ戻しの手筋
1図

黒1、白2で白地は2目です。こういうヨセをするのが大部分のアマチュアです。これは正しいヨセではありません。







2図  黒3取り返す

黒1と2子にして捨てるというか、連れ戻すのが得なヨセです。黒は2子取られ一子取り返して白地は一目です。1図より一目得です。
知らなかった

一目取られるのを2目取らせれば損をする(錯覚でした)と思っているので深く考えずに1図のように打ってしまうのです。
3図  黒3(1) 白4(1の左)
          黒5(2)

黒1と五子にして捨て、その後黒3と取り返してアゲハマの元を取り、白地は一目減で差し引き黒の一目得になります。




ヨセの手筋はまだいろいろ(例えばワリコミ)ありますが、今回はここまでにして後日続きを作成します。

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